あらすじ
「――脱獄してきたよ。心の中から。行くところがないから、逃亡先を見つけて?」人助けをして線路に落ち、一躍お茶の間のヒーローになってしまった兄をもつ待中玲夫、16歳高校生。以来、一家はマスコミに追われ、玲夫は有名人としてクラスメイトに遠巻きにされてしまう。そんな、まるで非現実みたいな現実に叩き落とされた玲夫の前に突然現れたのは、「脱獄してきた」と笑う、砂糖菓子みたいな少女だった。あたりまえの今日がずっと続くと思っていた玲夫と、帰るところを失った少女が手を取りあって、東京の夜を駆ける。清水マリコ渾身のエスケープ・ストーリー。
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Posted by ブクログ
「――脱獄してきたよ。心の中から。行くところがないから、逃亡先を見つけて?」
あらすじの一文を見て、こりゃ駄目だな、と僕はそう思った。もうそこでノックアウト。レジへ直行、千円札を出したらお釣りが返ってきた。
つけ上がるな、のいじめのシーンとか好きじゃないし、日常の中に紛れた非日常ものである話なのに、主人公が置かれた状況がすでに非日常的であるところも、どうなの? って思った。でも、そこを除けば結構好き。蓉さんとかいいよね。惑わされ、進む道を見失ったり、謝りにきたおばさんはムカつくし、ゆずるがどういう人間なのかちょっとだけ知りたくなったり、事実の先に真実があったり、敬語を話す蓉さんの意味深な告白だったり、語りつくせない。
Posted by ブクログ
HURTLESS…無害の/傷のない
HURTFUL…(感情を)傷つける/有害な
清水マリコさんの(MF文庫Jでの)三年ぶりの新刊
深層世界と現実世界の間あたりに漂っている、清水マリコさん独特の雰囲気。
清水マリコさんの書く話は不思議が散りばめられているのですが、現実世界の書き方がしっかりしているのでリアリティがあって、それが現実に紛れ込んだ異種を際立たせて独特の雰囲気を出していると思います。
今回の作品の不思議少女は、本当の(?)不思議少女でしたね。