石川智健のレビュー一覧
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東京大空襲の描写は非常に生々しく、圧倒されるものがあった。燃え広がる街や逃げ惑う人々の姿から、戦争の恐ろしさと理不尽さが伝わってくる。国が始めた戦争によって、何の罪もない人々が翻弄され、人生を大きく変えられてしまう現実が印象的だった。
そのような時代の中で、個人主義は弾圧され、自由に生きることさえ難しい。しかし、ドレ女の女性達は「美しさ」を求め続けることで、戦争という大きな力に抗おうとしてるよう感じた。直接武器を取って戦うわけではなく、自分の価値観や美意識を守り続けることが、彼女にとっての抵抗だったのだと思う。
だからこそ、その姿はとても美しく、同時にどこか儚さも感じさせた。戦争という極限の状 -
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ネタバレこのミスランキングで気になった本だが、ミステリというよりは戦争小説らしくない戦争小説というのだろうか、戦争そのものではなくそこに生きた人々の生活に迫った本として、ものすごく読み応えがあった。
舞台は戦時下の東京。
実在した警視庁所属のカメラマン石川光陽と、吉川線を考案した捜査のプロ吉川澄一の二人が、女性連続不審死の謎に挑むというミステリ。
光陽の視点と千世という女性の視点で、物語が交互に語られる。
はじめは別々だった物語が交わり一つになっていくにつれ、どんどんストーリーに引き込まれた。
ミステリというよりも、戦時下の人々や街の様子の描写がすごくリアルで、読み応えがあった。
これまで戦争中は -
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ネタバレとても良い。
戦時中の話で、目を背けたくなる描写もあるけどなんて力強い小説なのだろう。
戦時中、ドレ女に通う女性たちの自殺が続く。
後に吉川線と呼ばれ、犯罪捜査の礎を築く吉川が自殺ではなく、他殺だといい光陽と二人での捜査が始まる。
光陽とドレ女の千世との目線の切り替えがとても良い。
この時代にいかに自分を保てるか、美しくエレガンスに自分の尊厳を守れるかだなんて相当難しかっただろう。
憲兵や隣組に罵倒され、それでも自分を曲げないドレ女に通う女性たちの強い思いに胸打たれた。
男が勝手に始めた戦争。
本当に陸軍に腹が立って仕方なかった。
これだけの市井の人が苦しみ、死が当たり前になっているのに、それ -
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2026年版「このミス」国内作品8位にランクインした「エレガンス」の作者・石川智健さんの過去作。
止まない身内の不祥事対策として、警察トップはアメリカ諜報企業・リスクヘッジ社を、組織全体を監視する第三者機関として採用。
警察内部を監視する役割の監察官と、警察内の不祥事を察知&もみ消しに動くリスクヘッジ社の息詰まる攻防が、スリリングかつスピーディーな展開で描かれる。
単純にどちらが善・悪という構図ではなく、言うなれば「怪盗vs探偵」のような感じ。
最終章は意外な展開を見せ、ラストは爽やかな余韻を残す。
いやー、あっという間に読み切ってしまった。
ちなみに文庫化前の原題は「もみ消しはスピーディ -
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絞殺や扼殺の際に被害者が抵抗し自分の爪で首の皮膚に傷をつけた防御創である吉川線、それに着目し名付けた吉川澄一さんと警視庁写真室勤務で警視総監直々の命令を受けて戦時下の東京の撮影をしていた石川光陽さん
どちらも実在の人物が戦時中に1944年12月から起きた連続した若い女性の死について捜査する、という内容。
表紙やタイトルからは想像していなかった戦時下、特に終戦まで1年もない時期の生活の厳しさが丁寧に描かれていてそっちに胸が苦しくなった。
全然エレガンスじゃない現実に対して、エレガンスに生きることで闘う。自分たちが持っている感覚を守る。それは平和になっても、どの時代でも大切な覚悟だ。
324ページ -
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物語の舞台は第二次世界大戦下の東京、1944年から1945年にかけて、当時は非国民とされた洋装姿で若い女性が首吊りの遺体として発見される事件が相次ぐ。キレイな遺体で花のように広がったスカートが特徴的であったため、「釣鐘草の衝動」と揶揄される事件を、警視庁の写真室所属の巡査「石川光陽」と、“吉川線”を発表した内務省の「吉川澄一」の2人が明らかにしていく…。このおふたりは実在された方々なんですね!
この作品の表紙も好きです。正しく“エレガンス”ですね!
でもそれだけじゃないんです。もうね、読んでください…!!東京大空襲がどんなにひどかったか…!そして、彼女たちが最期まで“エレガンス”であ -
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プロローグ
「パン パンパーン!!!」
街の何処かでクラクションが鳴いている
私は、そうした喧騒もどこ吹く風で
シャッターを切りまくった
私の手の中には、ライカМ6が収まっている
レンズは、ズミクロンМ35mmアスフェリカル
街のスナップショットにはもってこいの画角だ
尚、“Leica”とは会社名のLeitz Cameraの略である
過去には、アンリ・カルティエ・ブレッソンや
ロバート・キャパ、木村伊兵衛といった
名カメラマンもこのライカを使用している
世界的な名機なのだ!
ファインダー越しにサングラスをかけ、スカーフを
頭に巻いた女性が映り込む
出し抜けにファインダーから目を上げる -
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1.登場人物
香月百合…新宿の予防感染研究所研究員。獣医科学部に所属。
下村翔太…予防感染研究所研究員。感染病理部に所属。
加瀬祐司…予防感染研究所研究員。医学博士。細胞科学部に所属。
市川…予防感染研究所の管理人。定年退職後、ビル管理会社に再就職した老人。
一条…警察官。ゾンビ禍発生後、予防感染研究所に逃げてきた。
城田…男子大学生。ゾンビオタク。ゾンビ禍発生時、大学に避難していたが、大学がゾンビに襲われたため予防感染研究所に逃げてきた。
2.物語の始まり
香月百合は新宿区戸山の予防感染研究所に休日出勤する。研究熱心で優秀な下村翔太や、医学博士で女性所員憧れの加瀬祐司も出勤していた。日曜な -
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ストーリーの背後に日米地位協定がどっしりと鎮座していると感じた.荒くれ者4人とリーダーの北森、暴力班を呼ばれ、警視庁の組織から浮いている存在だが、連続殺人事件を捜査する.庁内には支援者の白鳥がいるが、北森たちは孤軍奮闘しながら、真相にたどり着く.ジョン・ホワイトが犯人だと分かったが所在がつかめない.在日米軍も捜査しており、ミレイとガンナーとも遭遇する.乱闘場面の描写が楽しめ、汗や血が紙面から吹き出てくる感じだった.北森がホワイトを見つけ銃撃されるが、相棒が現れホワイトを捕まえる場面が面白かった.日米の事情を把握しているミレイの存在、官僚風を吹かせる風間慎一、北森の国会議員の父の意向、暴力団組長
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シリーズ、第二弾。
前作『60』から、登場人物が少し変わっています。
『誤判対策室』に所属する女性検事・春名、再雇用の老刑事・有馬、そして新しく採用されたのは、企業の法務担当の青年・塩見。
ある日、三ノ輪警察署から連絡が入る。
殺人容疑者が、自白の相手に有馬を指定した。
その容疑者とは、元裁判官の紺野。
法律の裏も表も熟知する容疑者に、警察署内はてんてこ舞い。
そこで、容疑者・紺野が有馬に仕掛けた不条理なゲームとは?(なんとなんと)。
『二十号手当』や『ミュンヒハウゼン症候群』など、様々な謎が駆け巡る。
そして、容疑者の弁護に立ったのは、前作のかつての仲間・世良であった。
この辺りは -
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無罪を訴える死刑囚を再調査するため、新たな組織が編成された。それが『誤判対策室』。
そこに配属されたのは、女性検察官の春名、老刑事の有馬、そしてイケメン弁護士の世良。
それぞれ訳ありの3人が集まる組織に、どんな難問が降りかかるのか?
基本的に、誤判対策室は、警視庁や検察庁から疎ましく思われていた。
確かに、一度確定した判決の粗探しをするような組織に、好意を寄せるところなどあり得ない。
ある日、有馬が掴んだ冤罪の可能性のある死刑囚。
しかし、調査を進めても、冤罪の可能性を示すカケラもない。
果たして、この死刑囚は、本当に冤罪なのか?
本人も自白しており、周りの状況も、彼の有罪を示すものばか