あらすじ
日韓同時刊行された話題のホラー・ミステリーが文庫化。予防感染研究所に閉じ込められた若き研究者たちがゾンビ化の原因究明に挑む!
香月百合は新宿区戸山の予防感染研究所に休日出勤する。研究熱心で優秀な下村翔太や、医学博士で女性所員憧れの加瀬祐司も出勤していた。日曜なのに全所員の8%ほどの計40人が研究所にいるようだ。席に着いてWHOのサイトに接続すると、気になる報告があった。アフガニスタンやシリアなどの紛争地域で人が突然気絶し、1分前後経つと狂暴になって人を襲い始めるという。しばらくすると研究所内の大型テレビに、現実とは思えないニュース映像が流れた。人が人を襲う暴動が日本各地で起こっているというのだ。いや、世界中で。画面に向かって所員が呟いた。「これゾンビでしょ」。──外が騒がしくなってきた。研究所は2メートルの塀で囲われているが、このままではやがて所内もゾンビに襲われるかもしれない。脱出するには、ゾンビ化の原因を究明するしかないのだ。立ち上がる、百合たち若き研究者。そして、予防感染研究所に閉じ込められた四十人の戦いが始まった……。
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Posted by ブクログ
1.登場人物
香月百合…新宿の予防感染研究所研究員。獣医科学部に所属。
下村翔太…予防感染研究所研究員。感染病理部に所属。
加瀬祐司…予防感染研究所研究員。医学博士。細胞科学部に所属。
市川…予防感染研究所の管理人。定年退職後、ビル管理会社に再就職した老人。
一条…警察官。ゾンビ禍発生後、予防感染研究所に逃げてきた。
城田…男子大学生。ゾンビオタク。ゾンビ禍発生時、大学に避難していたが、大学がゾンビに襲われたため予防感染研究所に逃げてきた。
2.物語の始まり
香月百合は新宿区戸山の予防感染研究所に休日出勤する。研究熱心で優秀な下村翔太や、医学博士で女性所員憧れの加瀬祐司も出勤していた。日曜なのに全所員の8%ほどの計40人が研究所にいるようだ。席に着いてWHOのサイトに接続すると、気になる報告があった。アフガニスタンやシリアなどの紛争地域で人が突然気絶し、1分前後経つと狂暴になって人を襲い始めるという。しばらくすると研究所内の大型テレビに、現実とは思えないニュース映像が流れた。人が人を襲う暴動が日本各地で起こっているというのだ。いや、世界中で。画面に向かって所員が呟いた。「これゾンビでしょ」。
3.世界観・価値観
予防感染研究所は、日本でもっとも感染症を研究することに適した場所。
日本でもっとも感染症のことを考えている所員を擁し、日本でもっとも感染症について研究できる設備を整えている。
そこに集まった約40人の人間たちで、ゾンビ禍の原因を探っていく。
4.キーワード・テーマ
ゾンビの原型となるモンスターは1968年に『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に登場。
その後、ゲーム『バイオハザード』に登場したゾンビは映画化までされ、世界中へと市民権を広げていった。
現在までに様々なゾンビが生まれているが、『ゾンビ3.0』は、これまでのゾンビ像を踏襲しつつ、新たなゾンビ理論を打ち出した。
Posted by ブクログ
タイトルから想像したゾンビものとは全く違った見方が出来た1冊でした。コロナ禍を過ごした私達なら、もしかするとこんなことにもなるかも知れないと現実との境を越えながら楽しめるのではと思います。作り物とは思えない完成度でした。
Posted by ブクログ
『宮部みゆきのおすすめ本』で紹介されていた一冊
宮部さん曰く、
『私と同じようにゾンビに苦手意識のある方にも安心してお勧めできる、本書はゾンビパニック・スリラーではなく、上質の謎解きミステリーだ。』
わたしは宮部さんの反対で、ゾンビ映画はあれこれ観ていて(ブラピ主演の『ワールド・ウォーZ』が一番好き)、ドラマ『ウォーキング・デッド』シリーズ全部観て、マンガなら花沢健吾『アイアムアヒーロー』全巻読んでいる
なので手の内は知り尽くしている (^^)
しかし!
『超自然現象や魔法でゾンビになるのが元祖であり、言うなれば"ゾンビ1・0"で、ウイルス説や細菌説が"ゾンビ2・0"ってところですかね。』
確かにわたしがこれまで観たり読んだりしてきた作品は"ゾンビ2・0"までだった
そして"ゾンビ3・0"はそう来たか!!
医療サスペンスとか好きな人にもオススメです!
One book introduced in the 『Recommended Books by Miyabe Miyuki』
According to Miyabe-san,
"This book can be safely recommended even to those who, like me, have an aversion to zombies. It is not a zombie-panic thriller, but a high-quality mystery puzzle."
Contrary to Miyabe-san, I have watched various zombie movies (my favorite is Brad Pitt's "World War Z"), have seen the entire TV series "The Walking Dead," and have read all volumes of the manga "I Am a Hero" by Kengo Hanazawa.
So, you could say I've explored this territory quite thoroughly (^^)
However!
"The original zombies were created by supernatural phenomena or magic, so you could call that 'Zombie 1.0,' while the virus or bacterial theory is 'Zombie 2.0.'"
Certainly, works I have seen or read so far mostly fall under "Zombie 2.0."
And then, "Zombie 3.0," I didn't see that coming!!
I recommend this also to someone who likes medical suspense novels!
Posted by ブクログ
タイトル通り、ゾンビ小説。唐突に大量発生し、猛威を振るい始めたゾンビに対し、その原因を追究する研究員たちの物語。研究所に立てこもるというシチュエーション自体はいわゆる「ゾンビ物」ではあるものの、過去にあったゾンビ物に関する情報を全てふまえた上で新たなゾンビ像を構築しており、対抗策もフィクションではなく、本当の現代医学を用いていたり、本当にゾンビが誕生する未来を見据えた内容にしたのだと思えた。タイトルの「3.0」に込められた心意気やよし。ていうかなんか偉そうだな。
Posted by ブクログ
なかなか痺れる展開だった。
ゾンビを題材にしたパニック物は多々ある中でも上質な部類に入る作品と思う。
途中、世界各地からリアルタイム配信をする人たちの様子が描かれていたが、ゾンビという未曾有の危機に世界中が一斉に襲われたなら、今起こっている争いごとなど小さなことと考え、一致団結して立ち向かえるのだろうな、と思った。
だからといってゾンビが闊歩する世界に住みたいとも思わないのは言うまでもない。
Posted by ブクログ
WHO(世界保健機関)の新着記事に、まるでネットニュースかのような記事の見出しが載った。『原因不明の病気蔓延によって、人が凶暴化する可能性。当局が警戒』という内容で、感染症かどうかも定かではない事象は全世界に爆発的に広がり、日本も例外ではなかった。〈ゾンビ〉としか思えない人間の出現。新宿区戸山にある予防感染研究所で働く香月百合をはじめとする所員の面々も迫りくる謎の事象の猛威から身を守るために、研究所に籠城を決意する。人が人を食い荒らし、噛まれてもないのに〈ゾンビ〉化する人まで現れ、感染症か人為的なものか原因も分からないまま、騒ぎは大きくなっていき――。
というのが本作の導入。変容していく世界の〈謎〉を解明しようとする研究者の姿を描いた壮大なパニックサスペンスで、物語の後半に突きとめられる〈ゾンビ〉化の原因はとてもユニークだな、と思いました。反面、どうしても『変容していく世界の真実』という部分に焦点が当てられているため、個々の心理(恐怖や不安、葛藤)の比重は控え目で、個人的に極限状況下の心理的な恐怖がそんなに感じられなくて、すこし寂しくはあったのですが、スピーディーに二転三転していく展開は楽しく、ミステリとしても、「あっ、こんな序盤に意外な伏線が」と気付かされる秀逸さも魅力的でした。
Posted by ブクログ
ゾンビ本、久しぶり。原因を探る過程に、サブストーリーを組み合わせ、タイムリミットの設定、何故いるのか不明な外来者などをバリア内に閉じ込めて、一気に読ませてくれる。コロナ禍を経たからこそ可能性がある原因。解決が早急過ぎるのは少し疑問だが、原因究明の過程はミステリーそのもの。エピローグはいらなかったかな。
Posted by ブクログ
世界中で始まったゾンビ化の謎を、研究者たちが解き明かそうとするお話。ゾンビ物としては比較的オーソドックスな形でスタートしますが、ゾンビ化の原因や過程はこれまでにないものだと思います。過去のゾンビ物も踏まえた作品になっているので、ゾンビ造詣が深い方ほど楽しめるかもしれません。
Posted by ブクログ
人類がどんどんゾンビ化していく。そんな中を生き残りながら原因を探っていくというサスペンス。読ませる展開で一気読み。おもしろい、のは嘘ではないのだが、傑作だというほどではないのはなぜだろう。単なる自分の好みなのかもしれないが。
匿名
タイトルと表紙デザイン通り、オーソドックスなゾンビもののお話です。
世界中でゾンビが発生し、その原因を突き止めるべく、
研究員たちがゾンビに追われながら、原因究明に奔走します。
ゾンビたちと応戦するシーンは緊迫感があり楽しめました。
が、常識レベルを超えた遺伝子学の話題には、
へぇ…そうなんだ…ふーん…と、流し読みするしかなく、そこは正直楽しめませんでした。
理解出来無いことは無いけれど、初耳な専門用語が多く、説明調で、話のテンポが削がれた感じです。
ホラーミステリとのことですが、ミステリ要素は少なめです。
せっかくのゾンビモノだから、もっと恐ろしい雰囲気を期待していましたが、
登場人物がほとんど理系の研究員ということもあり、賢く冷静で淡々とした感じで進みます。
良く言えば、イライラすることは無い。けど、物足りない。
Posted by ブクログ
人類に与えられた7日間の試練とは。ゾンビに覆いつくされたこの世界に審判が下される-。
初めての石川智健san。
そして、本棚でも初めての「ゾンビ」小説となりました。
主人公の香月百合(かづきゆり)が新宿の予防感染研究所に休日出勤する「一日目」からスタート。WHOのサイトで、アフガニスタン等の紛争地域で、人が狂暴になったという記事を発見。その後、ニュース映像で人が人を襲う暴動が日本各地で起こりだす。ゾンビの襲撃をかいくぐりながら、ゾンビ化の原因を究明する「七日目」までのお話し。
医学博士の加瀬、管理人の市川、研究者の下村、途中で合流する警察官の一条たち。
一条と加瀬の過去には驚きましたが、途中の生物学用語(DNAの塩基配列、IPpo-1制限酵素、モジホコリなど)の多さで、途中で挫折しそうになりました。。
難しいことは解りませんでしたが、「考える力こそが、人を救う。人を救う力がある。」という真理は覚えておきたいと思います!