石川智健のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
老朽化により修繕不能となったタワーマンション。
海外の投資家たちは住居を手放したり、同郷の人間を住まわせたり…。
結果、怪しく得体の知れない人間が流入し、日本人の住人が逃げるようにいなくなった。
それが通称・トウキョウマンションである。
そのなかにある「ケーケラの赤い雨」のパテラが売るカレーは、ぼったくりなのか情報があるのか?謎であるがちょいちょい登場する。
実際マンションの管理人であるキエフこそが、何者なんだろう?であるが…。
まともな人は、住んでいないと思われるマンションに次々と現れる犯罪者、マフィア、悪徳警官。
最後にわかるのはキエフの役目。
「人々は、国家というものに振り回されてきた。
国の方針で、人々は死んでいった。個の力が及ばない国という集合体を否定はしない。ただ、国だけに頼るべきではない。
国という大枠の中で、小さな枠を作る必要があった。国が救えないと匙を投げた人を救うことができて、国からの暴力を撥ねのける小さいが強固な枠組みを作る必要があった」それがトウキョウマンション。
国に頼っても何もしてくれなければ、どうにかして見捨てられた人たちを救っていかなければ地獄のままである。
わからないわけではないがスッキリとはしない。
未来に不安と恐さがなくはないが、何ができるだろう…が現実である。
-
Posted by ブクログ
立川署の刑事2人が自然死と判断された女性の日記の内容が気になり、休日を利用して動く。
女性は、離婚していたが息子がいてその成長を喜んでいるかの内容が記されていた。
だが彼女の息子は幼い頃に亡くなっていたのだ。
身寄りのない彼女の死を残された人に伝えるべく、2人が行った先は、西多摩郡にある二荘村である。
村ならではの伝統や風習、そして言い伝えなど。
まさに一昔前のサスペンスドラマでも見てるかのよう。
人を喰らうという噂のある村。
亡くなっているはずの息子を監禁しているという村の三役やその彼が逃げたという後に次々とおこる殺人事件。
終幕での語りにいったいこれは…となる。
2人の刑事、バツイチで三十路を超えている愛想も趣味もない薫と貢いだ後に捨てられた金はあるがモテない冴えない赤川のコンビというのは面白くて楽しめた。 -
Posted by ブクログ
石川智健『警視庁暴力班』朝日文庫。
型破りの元スポーツ選手たちで組織された警視庁暴力班がアメリカから日本に渡って来た連続殺人鬼ジョン・ホワイトに挑む。
警察組織の闇と日米の微妙な関係を背景にした警察小説であるが、全てに於いて物足りない。
連続殺人鬼の背景も描き切れていないし、あれだけ手こずったはずが最後はあっさり捕まるし、微妙な立場に立たされたキャリアの北森も何となく助かった感じで、全てが納得出来ない不満足な内容だった。
警視庁暴力班と呼ばれる警視庁組織犯罪対策特別捜査隊特別班を率いるキャリアの北森優一は4人の部下たちが度々起こす暴力沙汰に辟易していた。
北森は政治家の父親が日米関係に横槍を入れたことから左遷されて、暴力班を率いることになったのだ。
北森の4人の部下は、元ラグビー選手の司馬有生、元レスリング選手の関屋康介、元力士の力丸光男、元レスラーの小薬学の一癖も二癖もある型破りの元スポーツ選手の寄せ集めだった。
都内で発生した連続猟奇殺人事件の捜査に駆り出された捜査一課は、在日米軍の介入を理由に捜査の中断を言い渡されるが、何故か北森の暴力班だけが捜査を許される。
本体価格880円
★★★ -
Posted by ブクログ
警察の人事交流で、八丈島へ行くことになった刑事の薫と赤川。特に事件もなく、非番の日、赤川の同級生が研究のため八丈島の近くの無人島へ行くこともあって、二人も同行した。そんな時、遠くの方で謎の客船を発見。近づいてみると、中には七人の若者がいた。クルーザーが壊れて、救命いかだで漂流していたところ、この客船を発見したという。
その時、客船が動いた。誰もいないはずなのに。客船内は色々不可思議な点があり、状況は困惑だらけな中、連続殺人が起きる。
序章から、復讐劇が始まるというゾクゾクした展開でしたが、読み終わった後、改めて振り返ってみると、色々不要な要素があるように感じました。
基本的には客船内での連続殺人事件の発生と推理、解決なのですが、人事交流や無人島などの設定といった「これ必要かな?」とか思ってしまいました。その分、客船での出来事をじっくりと味わいたかったです。ちょっと急ぎ目で連続殺人が発生していくので、あっという間感がありました。
もう少し、登場人物の心理描写が欲しかったです。
現場に残される謎のメッセージもわかりやすく伝えているのはわかるのですが、わかったところで復讐に直接関係のないキーワードなので、ちょっと微妙かなとか思ってしまいました。
本の帯では、「真実が2つある」と紹介されていますが、深く掘り下げてみると、多くの真実を発見できるので、どれが2つ?と迷ってしまいます。おそらく、プロローグとエピローグの独白による真実だと思いますが、あっと驚く要素が他にもあるので、スッキリというよりはざらつきのある気持ちがありました。
犯人の存在も、ミステリー好きの方には、多分わかるかと思います。疑問だと思った要素が、後になって発揮されるので、驚くというよりは、納得という気持ちが勝っていました。
最終的には、金持ちの気持ちは、よくわからないというのが正直な気持ちでした。
ただ、最後のエピローグは、ゾワっとさせる展開で面白かったです。不安を掻き立てる文章に衝撃が走っての結末なので、最終的には冷たい風が吹いたような気持ちになって楽しめました。 -
Posted by ブクログ
なにからなにまで中途半端でもったいない - 石川智健「本と踊れば恋をする」 ★★★☆☆
なんてもったいないんだ。主役の3人はきっちりキャラをつけているけど、活かしきれていない。贋作師と古本探偵の関係を深堀したほうがいいし、それぞれのうんちく的なものをいれればもっと広がっただろう。一話完結ものなんだから、各話で古本の中身を引用したような展開にすれば魅力的になったのに。何よりも何故本が盗まれたかの謎を全話を通じて縦軸として描かなきゃモヤモヤしたままで終わってしまう。
素材はいい。話もそれぞれを見ればいい。ただ、とおしてみるとやるせない感じですね。