石川智健のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
冤罪事件を再捜査するため、誤判対策室に集められた刑事と検事と弁護士。それぞれの思惑や葛藤も絡めながら話が進み、とても面白かったです。
裁判員裁判の問題点も提起されているのが出色でした。
裁判の迅速化のため論点整理が行われ、論点に合わない証拠は開示されないだけでなく、その証拠があることは検察しか知りません。ほかにも容疑者がいると示すため弁護人が証拠開示を求めようにも、どんな証拠があるかわからないので開示請求できない、という問題です。
裁判を迅速に進めるための仕組みは、冤罪を生みかねない。その危うさと、国民が司法に参加することの意義を改めて考えました。起訴状なども載せられていて、物語を楽しみながら -
Posted by ブクログ
ネタバレミステリのランキングに入っていたから読んだ本だけど、これはミステリというより戦争を知る本だった。空襲でいつ死ぬかわからない中で美を追求し、洋服を着てパーマをかけ化粧をしていた女性がいたとは。石川光陽氏が実在していたとは。吉川線の吉川さんが実在する人なんだからそりゃそうか。ほんとこれをアメリカがイランを攻撃しているさなかに読めて良かった。日本がこんな状況だったのもつい最近なのだ。恐ろしい。それでもエレガンスに生きようとする人達のなんとたくましいことか。私は小説から本当に多くのことを学んでいる。あと初読みの作家さんだったけど読みやすかった。
-
Posted by ブクログ
『今、死を撮っている。』
から始まり結びは
『今、生を撮っている。』
凄く印象的だ。
実在した人物達が活躍する戦時下のミステリ、ということで凄く興味深く読み始めた。
だんだんと、違う意味での興味深さに変わっていた。
参考文献の数でも分かる通り、凄く勉強されて書かれたのだと感じた。
終盤数ページは改行も無く、緊迫感が凄まじい。
こういった極限状況は、人を強くも弱くも、慈愛的にも狂気的にも変えてしまうものなんだろう。
『戦争は地獄だ。
この世の地獄だ。』
この言葉に尽きると思った。
『勝手に始めて勝手に負けた戦争に、私たちは翻弄されました』
この時代を生きた人達の代弁だと思った。
ミステリ -
Posted by ブクログ
秋さん、yyさん、まことさん、8さん、かなさん、くまさん、錚々たるメンバーのレビューを読んで気になっていました。
みなさんのレビュー力が半端なく、見つけたら絶対買おうと思っていました*( ᵕ̤ᴗᵕ̤ )*
第二次世界大戦末期の東京を舞台にしたミステリ。単なるミステリには落ち着かない。
空襲が日常となっていた東京。人の死が当たり前に起きていた時代に、「なぜその死は起きたのか」「それを記録する意味は何なのか」を問いかける。
世間では「洋装女性の連続首吊り自殺事件(“釣鐘草の衝動”)」が話題となっていたが、警察は自殺として処理をする。
主人公は警察の写真係。事件現場を常にカメラに収めているの -
Posted by ブクログ
死が日常という戦時中の閉塞感や空気感、それぞれの登場人物の葛藤や憤りがとてもリアルに伝わってきて、読後はいろいろな感情が溢れてきた。
戦争中の暮らしに加えて、操作手法も普段の作品と違ったアプローチが必要で、一体どれほどの資料調べ、下準備をされて書き上げられたのだろうと思うと、感服しかない。
空襲の場面の描写はとても臨場感があり、戦争の凄惨さが伝わる。
特にラストの大空襲で、千世がいろいろな「人」に出会いながら逃れるシーンは、まるで映画のクライマックスを見ているかのように印象的だった。
(映像化してほしいなぁ…)
1周読んだ後にもう1周読むと、途中途中のセリフや描写に伏線が張られている?の -
Posted by ブクログ
おっ、吉川線の吉川!実在の人物!と冒頭からちょっと興奮。
年間ランキングの中で、全く知らなかった本作。
吉川だけではなく、実在の人物をモデルにした登場人物が多数。
装丁やタイトルでは、とても戦中の話とは思えず、「インビジブル」っぽくしたらわかりやすいのに〜と軽い気持ちで読み始めたら、いやいや、敢えての装丁とタイトルなんだろうなと。
主人公は2人。相棒のライカで空襲までも記録に残す仕事をしている警視庁の石川。美しくありたい女性が集まるドレスメーキング女学院に通う千世。
激しい空襲が始まる中、2人とも自分の生き方に葛藤を抱えている。
それ以外にも、劇団や美容院、出版関係など戦局に翻弄されながら -
Posted by ブクログ
「エレガンス」という言葉が、様々な意味をもって語られる。紹介し尽くせば、ネタバレになるので控えざるを得ないけど、そのすべてが重要な言葉だったと思う。
大学の頃、隣にあった研究室に「美学」という看板を掲げていた部屋があった。やっていたのは哲学だった。どうしてこの名前にしたのかずっと疑問だった。やはり広い意味をもった言葉だったのだと独りごちた。
推理小説ではあるが、この私でさえ、中盤で犯人も手口も動機(!)さえも見当がついた。では、面白くなかったのか?と言えば、非常に面白かった、と言わざるを得ない。その証拠に読んでいる途中で本書主人公の1人である石川光陽(警視庁所属カメラマン)の著書を3冊も取 -
Posted by ブクログ
『宮部みゆきのおすすめ本』で紹介されていた一冊
宮部さん曰く、
『私と同じようにゾンビに苦手意識のある方にも安心してお勧めできる、本書はゾンビパニック・スリラーではなく、上質の謎解きミステリーだ。』
わたしは宮部さんの反対で、ゾンビ映画はあれこれ観ていて(ブラピ主演の『ワールド・ウォーZ』が一番好き)、ドラマ『ウォーキング・デッド』シリーズ全部観て、マンガなら花沢健吾『アイアムアヒーロー』全巻読んでいる
なので手の内は知り尽くしている (^^)
しかし!
『超自然現象や魔法でゾンビになるのが元祖であり、言うなれば"ゾンビ1・0"で、ウイルス説や細菌説が"