石川智健のレビュー一覧

  • 60 誤判対策室

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    冤罪事件を再捜査するため、誤判対策室に集められた刑事と検事と弁護士。それぞれの思惑や葛藤も絡めながら話が進み、とても面白かったです。
    裁判員裁判の問題点も提起されているのが出色でした。
    裁判の迅速化のため論点整理が行われ、論点に合わない証拠は開示されないだけでなく、その証拠があることは検察しか知りません。ほかにも容疑者がいると示すため弁護人が証拠開示を求めようにも、どんな証拠があるかわからないので開示請求できない、という問題です。
    裁判を迅速に進めるための仕組みは、冤罪を生みかねない。その危うさと、国民が司法に参加することの意義を改めて考えました。起訴状なども載せられていて、物語を楽しみながら

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    2019年06月19日
  • エウレカの確率 よくわかる殺人経済学入門

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    前巻で一緒に捜査をしていた人とコンビを組んで、というわけではなくて、毎回相方さんが変わるみたいですね。毎回変わるのは常に新鮮でいいのですが、個人的にはずっと同じ人と一緒に捜査をしていった方が好きです。
    文章が読みやすく、すぐに世界に入り込めて一気読みしてしまいました。言いづらいことを淡々と言う主人公は読んでいて気持ちがいいものです。

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    2016年10月29日
  • エウレカの確率 経済学捜査員 伏見真守

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    個性的な登場人物と予想外の展開で思わず一気読み
    経済学の知識を使って推理するってのが斬新で面白かった。

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    2016年10月11日
  • エレガンス

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    「エレガンス」という言葉が、様々な意味をもって語られる。紹介し尽くせば、ネタバレになるので控えざるを得ないけど、そのすべてが重要な言葉だったと思う。

    大学の頃、隣にあった研究室に「美学」という看板を掲げていた部屋があった。やっていたのは哲学だった。どうしてこの名前にしたのかずっと疑問だった。やはり広い意味をもった言葉だったのだと独りごちた。

    推理小説ではあるが、この私でさえ、中盤で犯人も手口も動機(!)さえも見当がついた。では、面白くなかったのか?と言えば、非常に面白かった、と言わざるを得ない。その証拠に読んでいる途中で本書主人公の1人である石川光陽(警視庁所属カメラマン)の著書を3冊も取

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    2025年12月07日
  • エレガンス

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    elegansが出てきたからまあエレガンスやなぁってのは早目にわかって、ミステリとしてはガチガチでないけれども。でも、時代描写やその世界に生きる人々の姿を細やかに見せてくれて、こんな空気やラストの山津波みたいなあのシーンの為の物語なんだろうなと感じて、良かった。

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    2025年11月13日
  • エレガンス

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    優雅さなんて、どこにもない。それでも“エレガンス”だった。

    ミステリー小説によく出てくる「吉川線」を考案した吉川澄一と、実在した警視庁写真室巡査・石川光陽。
    彼らが、戦時下の東京──銃後が戦場となった街で起きた「釣鐘草の衝動」と呼ばれる連続不審死事件を追う。

    終盤にある、4ページ半にわたる東京大空襲の描写は圧巻。
    空行も改行もなく、ただびっしりと文字が埋め尽くすページ。
    その“文字の暴力”が、まさに空襲の暴挙そのものを表していた。文字だからこそ可能な、極限の表現だった。

    物語の主眼は吉川でも事件でもなく、「戦争」そのもの。
    ミステリーというより、“戦後80年の文学”として読むべき一作だ。

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    2025年11月06日
  • エレガンス

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    戦時下で次々と見つかる若い女性の死体。花のように広がったスカート、まるで生きているかのような美しい俯く姿。自殺か他殺か。
    特殊な状況下での警察の捜査も非常に興味を惹きつけられましたが、毎日繰り返される空襲、先の見えない状態に追い詰められた人々の様子や東京大空襲の様子が細かく描かれており、まるで耳元で悲鳴が聞こえそうな程でした。

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    2025年10月06日
  • エレガンス

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    大戦末期の東京。

    警視庁で総監から空襲の記録写真の撮影を命じられた石川光陽。
    数軒の家に匹敵する高価なカメラ、ライカDⅢを使う「警視庁のドラ息子」。

    東京空襲と時を同じくして発生した、若い女性の連続自殺事件の謎を吉川澄一と追う。

    吉川は絞殺死体特有の傷「吉川線」の発見や「手口分析」を普及させた鑑識の大家。

    女性たちはいずれも洋裁学校ドレスメーキング女学院の生徒たち。
    首をシーツで吊られた立位や座位で発見され、スカートが釣鐘草の形に見えることから、事件は「釣鐘草の衝動」と呼ばれる。

    吉川は遺体に共通する吉川線から他殺と断定し、連続殺人事件の捜査に切替わる。

    もう一人の主役は出版物の検

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    2025年10月02日
  • ゾンビ3.0

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    『宮部みゆきのおすすめ本』で紹介されていた一冊

    宮部さん曰く、
    『私と同じようにゾンビに苦手意識のある方にも安心してお勧めできる、本書はゾンビパニック・スリラーではなく、上質の謎解きミステリーだ。』

    わたしは宮部さんの反対で、ゾンビ映画はあれこれ観ていて(ブラピ主演の『ワールド・ウォーZ』が一番好き)、ドラマ『ウォーキング・デッド』シリーズ全部観て、マンガなら花沢健吾『アイアムアヒーロー』全巻読んでいる

    なので手の内は知り尽くしている (^^)

    しかし!

    『超自然現象や魔法でゾンビになるのが元祖であり、言うなれば"ゾンビ1・0"で、ウイルス説や細菌説が"

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    2025年09月22日
  • エレガンス

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    何といっても印象深いのは
    3月10日の東京大空襲の描写。
    3ページに渡って全く改行がないので、
    心して読み進めました。

    そこには、
    息をつかせる間も与えない、
    この世とは思えないほどの
    地獄絵図が描かれていました。
    本書を持つ手が震え、
    脳内が痺れるような感覚になりました。

    正直に言うと、この3ページで
    洋装女性の連続不審死に関わる
    ミステリーの解き明かしの要素が
    すべて吹っ飛んでしまうくらいの
    破壊力のある描写でした。

    ああ、戦争とは本当に本当に恐ろしい…。

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    2025年09月16日
  • ゾンビ3.0

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    ネタバレ

    タイトル通り、ゾンビ小説。唐突に大量発生し、猛威を振るい始めたゾンビに対し、その原因を追究する研究員たちの物語。研究所に立てこもるというシチュエーション自体はいわゆる「ゾンビ物」ではあるものの、過去にあったゾンビ物に関する情報を全てふまえた上で新たなゾンビ像を構築しており、対抗策もフィクションではなく、本当の現代医学を用いていたり、本当にゾンビが誕生する未来を見据えた内容にしたのだと思えた。タイトルの「3.0」に込められた心意気やよし。ていうかなんか偉そうだな。

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    2025年07月29日
  • ゾンビ3.0

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    なかなか痺れる展開だった。
    ゾンビを題材にしたパニック物は多々ある中でも上質な部類に入る作品と思う。
    途中、世界各地からリアルタイム配信をする人たちの様子が描かれていたが、ゾンビという未曾有の危機に世界中が一斉に襲われたなら、今起こっている争いごとなど小さなことと考え、一致団結して立ち向かえるのだろうな、と思った。
    だからといってゾンビが闊歩する世界に住みたいとも思わないのは言うまでもない。

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    2025年05月29日
  • ゾンビ3.0

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     WHO(世界保健機関)の新着記事に、まるでネットニュースかのような記事の見出しが載った。『原因不明の病気蔓延によって、人が凶暴化する可能性。当局が警戒』という内容で、感染症かどうかも定かではない事象は全世界に爆発的に広がり、日本も例外ではなかった。〈ゾンビ〉としか思えない人間の出現。新宿区戸山にある予防感染研究所で働く香月百合をはじめとする所員の面々も迫りくる謎の事象の猛威から身を守るために、研究所に籠城を決意する。人が人を食い荒らし、噛まれてもないのに〈ゾンビ〉化する人まで現れ、感染症か人為的なものか原因も分からないまま、騒ぎは大きくなっていき――。

     というのが本作の導入。変容していく

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    2025年02月06日
  • 闇の余白

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    ネタバレ

    犯罪は良くないけど、誰しも守りたい人がいると
    言う事を強く受け取りました
    その為にここまで準備出来て実行に移す執念と
    頭の良さには驚きました
    現実にも児童養護施設の方の性被害などが
    ニュースになる事もあるので
    悲しいけど現実にあるんだと思いました

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    2025年01月11日
  • ゾンビ3.0

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    ネタバレ

    ゾンビ本、久しぶり。原因を探る過程に、サブストーリーを組み合わせ、タイムリミットの設定、何故いるのか不明な外来者などをバリア内に閉じ込めて、一気に読ませてくれる。コロナ禍を経たからこそ可能性がある原因。解決が早急過ぎるのは少し疑問だが、原因究明の過程はミステリーそのもの。エピローグはいらなかったかな。

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    2025年01月01日
  • ゾンビ3.0

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    世界中で始まったゾンビ化の謎を、研究者たちが解き明かそうとするお話。ゾンビ物としては比較的オーソドックスな形でスタートしますが、ゾンビ化の原因や過程はこれまでにないものだと思います。過去のゾンビ物も踏まえた作品になっているので、ゾンビ造詣が深い方ほど楽しめるかもしれません。

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    2024年12月31日
  • エウレカの確率 経済学捜査員 伏見真守

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    経済学から事件を解いていくスタイルが新鮮だった。

    経済学とプロファイラーが出てきたけど
    刑事とは違う色々な専門家が出てくるミステリーは
    結構好みかもしれない。

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    2024年07月07日
  • いたずらにモテる刑事の捜査報告書

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    警視庁捜査一課予備班に所属する、そこそこイケメンの久保と絶世の美男子日向刑事が2件の事件を解決します。
    予備班なんてあるんだなとか、校閲の仕事面白そうだな、と思いながら読みました。見た目が良すぎるとそれだけで人が寄ってくるので、傲慢になりがちですが、日向刑事は中身もイケメンだったので、本の中の人物を実在化できるならぜひみたいなと思いました。

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    2023年11月05日
  • 断罪~悪は夏の底に~

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    『絶対的な悪は存在しない。同様に、絶対的な正義もない。』

    警視庁捜査一課の青山 陽介は、担当の殺人事件で犯人と目された男とは別に真犯人がいると睨んだ。

    そして、不審な行方不明事件が続く武蔵野東警察署に出向く様、検事の稲城から指示される。

    そこで出会った検案医・夏目 橙子に不審の目を向ける。
    彼がたどり着く驚愕の真実とは?

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    2023年10月28日
  • 闇の余白

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    見事なオープニングと目の離せない展開 - 石川智健「闇の余白」★★★★☆

    抜群に面白かった。エピローグの奇抜さから、第1章の導入が強烈で目が話せなかった。最後が独白だったのが若干残念だったけど、謎さ満点のオープニング、闇法定取引、どこか影のある登場人物たちどれも見事だ!映画化してほしいけど地味になっちゃうのでやらないだろうな。
    動機や手法に無駄がなく、また無駄に長くなっておらずエンタメとしては満点の出来だ!

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    2023年10月27日