石川智健のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ出だしで答えは出ているのに、ここからどうやって面白く出来るのかと半信半疑で読み始めました。
結末につながるヒントが少なく、完璧に予測出来る読者は少ないのではないかと思います。最後はどんでん返し、というよりは「そういうことなのね」という感想でした。
本当の死は身体の死ではない。身体の痛みや苦しみ、生が遮断される恐怖よりも、心の傷は耐え難い苦しみであり、本当の死をもたらすということ。
その恐怖に抗う様子を究極的な心理描写で描いている作品です。
個人的に登場人物達にフォーカスしたり感情移入しずらい描写だなと感じたのは、もしかしたら作者が本当に言いたかったことがたった一つだったからなのかもしれませ -
Posted by ブクログ
太平洋戦争末期の東京、洋装の若い女性の連続首つり自殺が起こる。自殺と扱われていたが、不自然さを感じた内務省の吉川澄一は、警視庁所属のカメラマン石川光陽と捜査を始める。
米軍の空襲が激しくなった東京、軍部の推奨するモンペを嫌い、禁止されているパーマをあてたヘアスタイルで自作の洋装を纏う女性たち。エレガンスへのこだわりと、連続偽装自殺の関連は?
実在した鑑識担当の吉川澄一とカメラマン石川光陽だけでなく、永井荷風も登場する。実在した人をモデルにした登場人物もいて興味深い。ドラマか映画になりそう。
3月10日の東京大空襲の場面は、読むのがつらい。 -
匿名
購入済みタイトルと表紙デザイン通り、オーソドックスなゾンビもののお話です。
世界中でゾンビが発生し、その原因を突き止めるべく、
研究員たちがゾンビに追われながら、原因究明に奔走します。
ゾンビたちと応戦するシーンは緊迫感があり楽しめました。
が、常識レベルを超えた遺伝子学の話題には、
へぇ…そうなんだ…ふーん…と、流し読みするしかなく、そこは正直楽しめませんでした。
理解出来無いことは無いけれど、初耳な専門用語が多く、説明調で、話のテンポが削がれた感じです。
ホラーミステリとのことですが、ミステリ要素は少なめです。
せっかくのゾンビモノだから、もっと恐ろしい雰囲気を期待していましたが、
登場人物が -
Posted by ブクログ
人類に与えられた7日間の試練とは。ゾンビに覆いつくされたこの世界に審判が下される-。
初めての石川智健san。
そして、本棚でも初めての「ゾンビ」小説となりました。
主人公の香月百合(かづきゆり)が新宿の予防感染研究所に休日出勤する「一日目」からスタート。WHOのサイトで、アフガニスタン等の紛争地域で、人が狂暴になったという記事を発見。その後、ニュース映像で人が人を襲う暴動が日本各地で起こりだす。ゾンビの襲撃をかいくぐりながら、ゾンビ化の原因を究明する「七日目」までのお話し。
医学博士の加瀬、管理人の市川、研究者の下村、途中で合流する警察官の一条たち。
一条と加瀬の過去には驚きましたが -
Posted by ブクログ
『ため息に溺れる』
読み込めば、滲み出てくる深い意味に非常にそそられた作品である。
これ程までに、タイトルから内容が全く予想できない本は無いのではと感じる。(個人的にではあるが)
本作は、名家の蔵元家で自殺が起こり、捜査を任された刑事・羽木薫が、自殺の理由やそこに隠された背景に迫る物語。
ただ、話の進み方は平行で、最後に突然山を登りだす感じ。
「名家での事件といえば」と言う感じの進み方をするので、少し勿体無い部分もある。
そのでも、推理小説としての評価はかなり高く、話の作りもしっかりとしている作品なので、読んでいて面白いところは多い。
タイトルから溢れ出る魅力に惑わされたら、ぜひ手に -
Posted by ブクログ
老朽化により修繕不能となったタワーマンション。
海外の投資家たちは住居を手放したり、同郷の人間を住まわせたり…。
結果、怪しく得体の知れない人間が流入し、日本人の住人が逃げるようにいなくなった。
それが通称・トウキョウマンションである。
そのなかにある「ケーケラの赤い雨」のパテラが売るカレーは、ぼったくりなのか情報があるのか?謎であるがちょいちょい登場する。
実際マンションの管理人であるキエフこそが、何者なんだろう?であるが…。
まともな人は、住んでいないと思われるマンションに次々と現れる犯罪者、マフィア、悪徳警官。
最後にわかるのはキエフの役目。
「人々は、国家というものに振り回されてきた