小林秀雄のレビュー一覧

  • 作家の顔

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    小林秀雄 「 作家の顔 」 作家論〜批判あり、尊敬あり、友情あり、感傷ありの作家論。打ち消し文や 難解な言葉が多くて 読んでいて 疲れるが、たしかに 面白い。

    作家の実生活から 思想や著作の主題を抽出して 作家論に展開している感じ。

    面白くて 興味を持ったのは 菊池寛、林房雄、イプセン「ヘッダガブラー」、パスカル「パンセ」、チェーホフ、ニーチェ。

    ランボオ、富永太郎、中原中也 の批評は 感傷的。興奮や哀しみの中で一気に書いた感じ

    顔の意味(解説 江藤淳 )
    *顔=心眼に映った精神の相貌
    *他人=自分を映す鏡→作家の顔=小林秀雄自身の顔

    正宗白鳥 との 思想と実生活 論争
    *人間とは何

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    2019年01月09日
  • 地獄の季節

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    ランボー 地獄の季節 。別訳本や解説本と一緒に読むと理解が深まる。詩人ランボーの反抗と挫折、生活、魂の告白と消耗、言葉の破壊と虚無と創造

    地獄=キリスト教的な地獄。私とは一つの他者→イロニー=自己からもう一つの自己を生み出すこと→自己を批判し、笑い、突き放すこと

    「私は美を膝の上に座らせた」〜錯乱Ⅱ末尾「今、美にお辞儀できる」とつながっている
    *美=既成の詩→詩に関わる前は 毎日が饗宴
    *美→苦々しい奴→醜い内実をつく→ランボーの真骨頂
    *私は正義に対して武装した=キリスト世界への反抗
    *親愛なる悪魔=ヴェルレーヌ?

    悪い血=自分探しの旅に出てはいけない
    *ゴール人=自分のルーツ→悪い血

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    2018年12月21日
  • 地獄の季節

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    彗星の如く登場した詩人ランボオの詩集。「地獄の季節」と「飾画」が併録されている。詩集というよりは独白に近い文章が綴られている。ランボオについては無知であるため詳しくは分かりかねるが、灰色の青春を送った孤独な青年の独白という感じだろうか。難解な語句が出てくるが、それを抜いても心を貫く一文があるだろう。その一文がどれなのかは人それぞれであると思いたい。

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    2017年07月26日
  • モオツァルト・無常という事

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    批評というのは小説と同様、創作行為に他ならない。ただし小説では時に作者は物語の陰に隠れられるのに対して、批評において言葉は作者そのものであり、語るべき対象ですら自身を写す鏡という違いがある。だからこそ知性と意思によって磨き上げられた評論は、抜き身の刀と向き合う様なスリリングな興奮が味わえる。近代人の権化たる小林秀雄の語り口は個人的であると同時に社会性を帯びており、戦後最初に発表したモーツァルト論は彼による敗戦後論とも受け取れる。そう、彼の語るモーツァルトと同じく、小林秀雄もまた歩き方の達人であったのだ。

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    2014年01月08日
  • Xへの手紙・私小説論

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    再読。小林秀雄という批評家に付き纏う難解さのイメージは、彼が批評の対象にしてきたものの多くが戦前から戦後までの、高度経済成長によって喪われてきた文化であることが原因ではないだろうか。後期に行く程に文体が洗練され、明晰さが発揮されていく内容は時に驚く程言葉が透明に感じられていくのだ。本文でも批評家と詩人は言葉それ自体を扱うものとして同一であるとの旨があるのも理解できる。そして30当時の己の人生観について、直感と情熱を持って練り上げた「Xへの手紙」が持つ確信さには、完膚無きまでに言葉に殺されてしまったのだ。

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    2014年01月05日
  • 地獄の季節

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     ≪サイコパス・PSYCHO-PASS≫で引用されている著作を探しているときにたまたま偶然手に取る。

     詩集でした。うん詩集。
     ≪十六歳にして第一級の詩をうみだし、数年のうちに他の文学者の一生にも比すべき文学的燃焼をなしとげて彗星のごとく消え去った詩人≫というおもしろいアオリに惹かれて購入したら、これがとんだ間違いでした。
     いえ、間違いと言いますか、なんというか、途中、何度生欠伸を噛み殺し船をこいだことか。
     ランボオと彼のファンにぶん殴られそうだ。
     しかしながらそれ、陰鬱なる叫びがだだもれてびくびくする。
     なんというか、これは、若い感性があるうちでしか書けない作品のひとつだったのだ

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    2013年10月18日
  • 地獄の季節

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    小林秀雄氏を通したランボオ
    詩の受け止め方が下手なのですが、熱いものが伝わってくる。
    夭折した人間のエキスがぎゅーっと詰まっている感じ。

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    2013年05月16日
  • モオツァルト・無常という事

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    「評論の神様」小林秀雄の評論8編を収録。有名な『無常といふこと』は短く平易な文章で書かれているため、受験生にもオススメ。

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    2013年01月27日
  • 地獄の季節

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    いろんな翻訳家のものがありますが、やはり小林秀雄のが、サイコウ。

    16歳で詩を書き始め、19歳で筆を折る、何と小憎らしい詩人でしょう。

    でも、やっぱりスゴイなあ 。

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    2013年01月18日
  • 考えるヒント3

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    「夢もまた人生に必要ではないか、と。しかし、夢とは、覚めてみればこその夢なのではないか。日常の通念の世界でわれに還るからこそ、あれは美しい夢だったと言うのではないか。そして、通念とは万人の夢ではないのでしょうか。」(私の人生観)

    考えるヒントは私にとって、food for thought(思考の糧)であり、とてもすべてを理解したとは言い難いが、それでもなお率直な語りに刺激を受け、開眼させられることが多い。氏の文章を読むにつれ、もう一度日本の歴史を、中でも文学の歴史を、万葉集、西行、芭蕉、本居宣長と辿ってみたくなった。

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    2013年01月06日
  • モオツァルト・無常という事

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    ネタバレ

     昭和20年前後に書かれた文章なのだが、私にとってはもはや古文に近い感覚があるのはちょっとショックだった。しかも、タイトルのモーツァルトのところはいいとしても、西行、実朝、平家物語のあたりになると、本当の古文の引用が目白押しで、自分でも恐らく半分も内容を理解できてないと思われるまま、何とか最後までたどり着いたという感じである。(そんなこともあって、7月10日に「決断力」を読み終わってから、こんなに日数が過ぎてしまった。)

     それにしても、内容は深い。「小林氏の批評美学の集大成」「批評という形式にひそむあらゆる可能性が、氏の肉声に触れて最高の楽音を発しながら響き合っていた」という解説もあるが

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    2020年05月10日
  • 地獄の季節

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    まるで、走馬灯の中に佇んでいるような感覚だ。その激しい流れの中で、様々な感情、情景、景色が躍っている。それは、一種の夢の世界か。いや、いってみればそれは狂乱だ。しかも、決してそれに惑わされている様子はない。幽かに見える芯は、とても閑静としている。その源はなんだろうか。激しい感受性の暴発の中で、静かに時間の中を泳いでいる、もう一人のランボーが居るようでならない。それは、静かにニヒルな微笑みを浮かべ、言葉を紡ぎ続けている。

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    2013年03月04日
  • モオツァルト・無常という事

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    本書に収められた16の評論・エセー・雑文の、配列順序が宜しいのは、編集者の手腕でしょうか。 
    とくに「鉄斎」から最後の「真贋」までは、読み進めるにつれてくだけた話が増え、笑いすら誘う。
    冒頭の「モオツァルト」は難解といえばそうであるが、筆者の言わんとするところは良く伝わっていると思う。

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    2011年11月20日
  • 地獄の季節

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    ひたすら凄いとしか言いようがないんだけど。

    翻訳家の小林秀雄も凄い。
    何たるボキャブラリー。

    そもそも文学なんて 学生が読むものなんだから、何でも厨二病で片付けるのはどうかと思うよ。

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    2011年05月05日
  • 地獄の季節

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    2011.01.17-

    『地獄の季節』
    苦しみを、怒りを、煮詰めて凝縮させて美しい結晶にまで高めた。
    全身全霊で詩と向き合い、己の全てをかけて捨て去った。きっと彼は自分の思うとおりに生きたんだろう。そう信じたい。

    地獄の夜
     明らかに、俺たちはこの世にはいない。何の音も聞こえて来ない。俺の触感は消えた。ああ、俺の城館、俺のサックスと柳の林。夕を重ね、朝を重ね、夜は明けて、昼が来て、……ああ、俺は疲れた。
     怒りのために俺の地獄が、驕りのために俺の地獄が、――さては愛撫の地獄が、俺には要ったのかも知れない。地獄の合奏。
     疲れた果てはのたれ死だ。いよいよ墓場か、この身は蛆虫どもにくれてやる。

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    2014年10月15日
  • 地獄の季節

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    現代文、古文ともに、国語の授業の成績だけは良かった学生時代。が、詩だけは、全く分かりませんでした。
    ほんの数冊、詩集や詩について書かれたものを読んでみましたが、やっぱりよく分かりません。その時は分かった気になるけど、何を理解したつもりになったのかすら、すぐに忘れてしまいます。
    そんな私でも、ランボオのAube(黎明、または夜明け)を、美しいと感じ、最終行にたどり着くまでの21列を、1段ずつ降りながら、ゆっくりとその世界に浸るのでした。

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    2010年12月21日
  • 地獄の季節

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    時々、突然読む本。
    まあそれはそれは酷く才能に溢れた中2病。これとカラマーゾフって、なんとなく同じイメージが湧くんだけどなんでだろう。


    これを通勤時間に読むと、得も言われぬ気恥ずかしさを体感できますので皆さん是非。

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    2010年12月07日
  • モオツァルト・無常という事

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    「モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。涙の裡に玩弄するには美しすぎる。」様々なことに対して意見を寄せている著者。興味ある題目が多いのだか文章が難しいのでなかなか理解できない自分が悲しい。

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    2010年06月08日
  • モオツァルト・無常という事

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    小林秀雄『モオツァルト・無常という事』を読む。
    これまで小林秀雄の著作にはほとんどなじみがなかったが、
    新潮新書の『人生の鍛錬 小林秀雄の言葉』を折に触れ開く。
    小林秀雄の著作・講演から選り抜かれた言葉を
    ゆっくり味わいながら、宝の山に分け入ることになった。

    「無常という事」は、
    高校国語の教科書で読んで以来40年ぶりに読み直した。
    自分の受け止め方が変わった部分変わらない部分があることを
    面白く思った。

    過不足ない言葉で思想をカタチにする明晰。
    情におぼれず、かと言って
    論理でがんじがらめになることのない自由。
    文章のリズムが気持ちよく身体になじんでいく。
    僕も自分自身を見失うことなく、

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    2010年05月30日
  • モオツァルト・無常という事

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    和歌のくだりはごっつ眠いのでモオツァルトのみ評価。世間一般で知られている小林秀雄の評価から僕らの思い浮かべる人物像とはほど遠く感じる実際の秀雄像が、語り口からひしひしと感じられる気がします。CD等で聞いた印象を踏まえる限りサバサバした物言いの方なのだと思います。

    導入はほどほどに、モオツァルトの評論は楽しいです。ちゃんと聞いていない方、もしくは聞いていても材料として提出された曲目が分からない方でも読み飛ばしてその世界観に触れる事が出来ます。もちろん、聞いている方が望ましいですが、ここから始め、深める道もあるでしょう。テーマがモオツァルトということですが、現在それに触れている一般の方を想像す

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    2010年04月28日