小林秀雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
美しい文章という定義付けは難しいだろう。
たとえばノーベル文学賞に輝くアーネスト・ヘミングウェイの骨太ながらも。危いまでに繊細な心の陰影をのぞかせる文脈とか、妖しく美しくあることが、まるで運命づけられたようにしなやかに律動する川端康成の筆のすさびなどは、その最右翼と目してもよいだろう。
この本の表題にあるモオツァルトとは、あの18世紀に登場した天才的作曲家のことである。僕はミロス・フォアマンの映画でしか知らないが、この小林の書き残した評伝には間違いなくあの映画で描かれた天才が息づいている。それよりも並々ならぬ著者の洞察力と、その見識の水準のとてつもない高さに、ただただ脱帽するしかないという面 -
-
Posted by ブクログ
小林秀雄の『Xへの手紙』『私小説論』を読んだ。私小説論の方は、マルクス主義文学批評の時代背景がかなり色濃く出ていて、それへの反論として読むことももちろんできるが、いわゆる純文学というものが結局は民衆から乖離しては存立し得ないこと、またジイドによる試みが文学の客観性への疑いから次第に文学の成立過程そのものを自己言及的に題材とすることで延命を図ったが、それが次第にどん詰まりに陥ったこと、また通俗小説と純文学との関係など、文学を取り巻く状況はこの時代からあまり進歩していないように感じる。マルクス主義がポストコロニアリズムとなりフェミニズムとなり変わっても、結局他者と個人主義、社会と個人をめぐる問題の
-
Posted by ブクログ
ランボウの詩集ですね。
訳は、小林秀雄さん。
初版は1938年。復刻版です。
ランボウの代表作であり、最後の作品ですね。
散文詩が主です。
「錯乱 Ⅱ 」
夏、朝の四時、
愛の睡りはまださめぬ、
小立には、
祭の夜の臭いが立ちまよう。
向こうの、広い仕事場で、
エスペリードの陽をうけて、
もう『大工ら』は
肌着一枚で働いている。
苔むした『無人の境』に、黙りこくって、
勿体ぶった邸宅を、大工らは組んでいる、
街はやがてその上を、
偽の空で塗り潰そう。
ヴィナスよ、可愛い『職人ども』のために、
バビロンの王の家来たちのために、
暫くは心驕った『 -
Posted by ブクログ
藍色の海峡からオシアンの海にまで、葡萄酒色の空に薄くいろどられた薔薇色とオレンジ色の砂のうえに、幾筋もの水晶の大通りが高まり交叉すると、時を移さず年若く貧しい家族が住みついて、果物屋で命を保つ。豊かなものは何ひとつない。
詩集にはランボオの生い立ち、人生についての記載が沢山あり、解説者もランボオの人生と織り交ぜながら詩を解説しているのに最後のページで村上龍がランボオの人生とこの作品は全く関係ない。暇な日本人が作品と作者の生き方を重ねるというセンチメンタルな愚を犯すのが大好きなだけ。と書いてあって笑ってしまった、きっと深い意味はなくその通りなんだろうな。