小林秀雄のレビュー一覧

  • 人間の建設
    50年以上も前の対談なので彼らが生きていたらいまの日本をどう見るのか気になる 神風特攻隊を挙げて日本人は小我を自分だとおもわない民族といっているが、いまではあれはヒロポンで覚醒状態だったというのが定説である 難しい話も多いがこの本も考えるヒントになることも多い
  • 人間の建設
    数学者と文芸評論家の対話をそのまま文章にしている「だけ」なのだが、余りにも多くのヒントやアイデアが散りばめられていて、自らの読むタイミングや心情によって光って見える箇所は変わってくる。そんな感想。
    砂金が流れる河のような名著。何度でも読もう。
    数学は情緒。
  • ドストエフスキイの生活
    狷介極まりない批評家と対峙すると、読者も鎧を着てしまうものだ。そんな先入観の中、ドストエフスキイというこれも一筋縄ではいかないロシアの文豪の歴史を紐解いた当該作品は、より本質を掴もうとする批評家、小林秀雄の姿勢が感じられ感銘を受けた。ドストエフスキイの作品は2〜3作読みもしたが、このような評伝に接っ...続きを読む
  • Xへの手紙・私小説論
    本書の奥付を見ると昭和48年3月発行、49年かかって読み終えた。それほど小林秀雄という山は険しいのだ。しかし、「Xへの手紙」は面白い。人間論、政治論、そして恋愛論、若き小林の生の声を聞くようだ。長谷川泰子との凄まじい恋愛がベースにあると仄聞するが、こんなところに表出している。「俺の考えによれば一般に...続きを読む
  • 人間の建設
    読むことはできても、腹落ちできるまで理解するのが難しい本。この本の内容を全て理解し、噛み砕いて自分の言葉に置き換えることができれば、思考が別の次元に踏み出せると思う。
  • 作家の顔
    小林秀雄は志賀直哉とランボウとベルグソンで成り立っているのではないかと思える。本作で志賀直哉に対する作者の愛がはっきりした。それにしても小林秀雄は難しい。削ぎ落とされた文章は核心に迫り、読者を圧倒する。批評の力の凄さと美しさを改めてかんじた。
  • モオツァルト・無常という事
    初めて小林秀雄の著作を読み、勝手に想像していたより内容がとっつきやすいことに驚いた。少し調べると、彼の評論の姿勢・内容に対する批判を見たが、そう言いたくなるのも理解できると思った。一方で、そうだそうだ!と私がならないのは、読んでいて彼の文章に「友達らしさ」を感じてしまったからだと思う。

    坂口安吾の...続きを読む
  • ドストエフスキイの生活
    小林秀雄 「 ドストエフスキイの生活 」 人物評価的な略伝のカテゴリーに入ると思う


    著者のドストエフスキー像は逆説的な表現が多い
    *人間は作品の原因なのでない〜むしろ、人間は作品の結果なのである
    *事件は彼にふりかかったのでなく、彼の運命が事件を希望したのである



    キーワードは、生活、病者の...続きを読む
  • 学生との対話(新潮文庫)
    小林秀雄という名前は聞いたことがあったが、初めて読んでみた。
    生の経験や対話を重視する言葉がいくつも出てくる。
    科学を否定するように聞こえる言葉もあるが、科学という一つの物差しで測れない人とのつながりや生きる意味など、そういうものにまで科学を取り入れようとする(また測れないから無用だとする)風潮を否...続きを読む
  • モオツァルト・無常という事
    小林秀雄の集大成というべき作品だと思います。毎回批評の切り口が斬新で、読者に新たな気づきをもたらしてくれます。難しい内容もありますが、教養として知っておくべき知識が盛り込まれているので、人生観を豊かにしてくれる作品でもあると思います。
  • 作家の顔
    全集の方に載っていた菊池寛先生についてや中原中也等重複するものもあつたが、改めて彼の見た作家たちの姿に触れてみる。
    作家の生活と作品の乖離や矛盾についてはよくよく取り上げられるし、作品と個人的な出来事はよくよく結び付けられて論じられる。そして、時に生活が作品を規定するかのやうに、あたかもその人間の個...続きを読む
  • 学生との対話(新潮文庫)
    科学は切り刻む。分析的。しかし,統合できない。細かいことが分かってくる。それで,どうなんだ?心を分析した。分析した結果,心が分かったのか。そもそもそんな問いすら忘れてしまっていないか。

    歴史書は鏡という字が使われている。歴史は自分自身の中にある。⇒「自分自身を見る鏡」「自分自身を見るということは過...続きを読む
  • モオツァルト・無常という事
    小林秀雄の文章を読んでいると心地が良いのだが、内容が良いものと悪いものがある。

    近代批評の確立者と言われたり、評論をダメにしたとか言われたりするが、個性のある文章を書いたに過ぎないと思う。
    大した内容でもないのに、引き込まれてしまう時があるし、全く面白くないのもある。
    情報が多いと言われている現代...続きを読む
  • 考えるヒント4
    冒頭の一文が好きで好きで、昔諳んじた。中原中也の思い出は、小林秀雄がとても身近に感じられる。とても辛くてとても好き。名著。
  • 学生との対話(新潮文庫)
    小林秀雄は、エラそうではあるが、快刀乱麻、切れ味のあるボキャブラリーとエクスプレッション、さらにパッション。若い人に熱烈な信者が出るのもうなずける。ほぼ肉声なので、その背筋の伸びた佇まいが行間から立ち昇るようでもある。
  • 作家の顔
    小林秀雄 「 作家の顔 」 作家論〜批判あり、尊敬あり、友情あり、感傷ありの作家論。打ち消し文や 難解な言葉が多くて 読んでいて 疲れるが、たしかに 面白い。

    作家の実生活から 思想や著作の主題を抽出して 作家論に展開している感じ。

    面白くて 興味を持ったのは 菊池寛、林房雄、イプセン「ヘッダガ...続きを読む
  • 地獄の季節
    ランボー 地獄の季節 。別訳本や解説本と一緒に読むと理解が深まる。詩人ランボーの反抗と挫折、生活、魂の告白と消耗、言葉の破壊と虚無と創造

    地獄=キリスト教的な地獄。私とは一つの他者→イロニー=自己からもう一つの自己を生み出すこと→自己を批判し、笑い、突き放すこと

    「私は美を膝の上に座らせた」〜錯...続きを読む
  • 地獄の季節
    彗星の如く登場した詩人ランボオの詩集。「地獄の季節」と「飾画」が併録されている。詩集というよりは独白に近い文章が綴られている。ランボオについては無知であるため詳しくは分かりかねるが、灰色の青春を送った孤独な青年の独白という感じだろうか。難解な語句が出てくるが、それを抜いても心を貫く一文があるだろう。...続きを読む
  • モオツァルト・無常という事
    小林秀雄 「 モオツァルト 無常という事 」 表題のほか、中世文学、日本美術、骨董に通じる美意識を捉えた随筆。美意識を 耳で捉えている印象を受ける。逆説的な表現も とても面白い


    表題の「モオツァルト」はモーツァルトの愚劣な生活と完璧な芸術の不調和に目付けした名随筆。肖像画と実生活からモーツァルト...続きを読む
  • モオツァルト・無常という事
    批評というのは小説と同様、創作行為に他ならない。ただし小説では時に作者は物語の陰に隠れられるのに対して、批評において言葉は作者そのものであり、語るべき対象ですら自身を写す鏡という違いがある。だからこそ知性と意思によって磨き上げられた評論は、抜き身の刀と向き合う様なスリリングな興奮が味わえる。近代人の...続きを読む