小林秀雄のレビュー一覧

  • 人間の建設
    日本を代表する数字者と批評家の対談。150ページほどで読みやすいように思うのだが、あれって改めてどういう意味なんだろう?と再読したくなる一冊。

    扱うテーマごとに広さと深さが感じられる。ドストエフスキーとトルストイのやりとりはその象徴。
    ①数学を扱う岡潔が人間理解についてとても執着している点、②批評...続きを読む
  • 人間の建設
    ただのメモ

    無明≒小我≒西洋的な自我
    人は自己中心に知情意し, 感覚し, 行為するものであるが, 自己中心的な行為しようとする本能のことを無明という.
    岡潔は無明をおさえれば, やっていることが面白くなってくるというが, これは無明を超えた真の自分の心, ユングでいう自己から俯瞰してみるということ...続きを読む
  • モオツァルト・無常という事
    美麗な文章で綴られる芸術論ですが、アイロニーやユーモアもあり批評のレベルにとどまらないと思う。
    豊かな歴史的観点からの考察もさすが。
    「骨董」に関する氏の「骨董の世界が所謂「美術鑑賞」と異なるのは、品物を買ってから始まり、そこから品物が此方の生活に触れてくるのだ」との下り、サブスクとレコード購入の違...続きを読む
  • 学生との対話(新潮文庫)
    ものを考えるということ、ほんとうに知を愛し、表現する存在を愛しているのだと思わずにはいられない。
    驚き、考え、疑い、そして信じるということに出会う。そしてまた疑う。上手に質問するということは、答えを出すことではなく、その問い自体を問い続けること。生きること死ぬこと、そこから出発しなくて何を問うという...続きを読む
  • 人間の建設
    読んでいて、心が落ち着いた。

    情緒、詩人。
    落ち着いて読めたのは、岡潔さんの言う詩的なところが、この対談にもあったからでしょうか。
  • 考えるヒント2
    小林秀雄氏は、やはりとっつきにくい、何度も目を通すも、本書は流れがあってまだましであった。
    文芸春秋に記載されたエッセイであるが、各項目は、流れをもっていて「考えるヒント」よりは、分かりやすかった。

    気になったのは、次です。

    ・喧嘩という言葉は、大石内蔵助の使っている言葉で、たかが喧嘩に過ぎぬ。...続きを読む
  • モオツァルト・無常という事
    本文は、モーツァルト・美を求める心と題して、noteで投稿したものです。

     
     水曜日の朝、ぼくはモーツァルトのシンフォニー第40番第1楽章を聴いて、泣きそうになったのを思いだす。その日は、いつもより早く起きていたから丁度良いと思い、かけていた。
    しかし、何故モーツァルトは、シンフォニーで何役にも...続きを読む
  • 人間の建設
    小林秀雄と岡潔の教育や学問に対する考え方に共感した。

    現代の教育は競争や利益に主眼を置き、人間の情緒を無視して、ただ癖をつけるものになってしまっている。

    私自身、競争に勝つため、目の前の利益のために知識を自らに上書きする勉強をしてきた。
    その結果自分の感性、考えを疎かにするようになってしまってい...続きを読む
  • 人間の建設
    恥ずかしながら、学生時代数学が不得意であった私は、岡潔さんのことを知らなかった。数学者であることを知り「論理的な堅苦しい話をする方だったら嫌だな…」と思いながらも、小林秀雄さんとの対談という点に惹かれ、ページをめくった。

    数ページ読むとその懸念は吹き飛んだ。

    巻末の茂木健一郎さんの解説の言葉を借...続きを読む
  • 地獄の季節
    人生のもっと早い時期に読むべきだったと悔やまれる一方、今からでも読んで本当に良かったとも思えます。
    天才から吐き出される言葉。
  • 考えるヒント3
    死はそれを感じ、経験することで初めて言葉にできる。
     
    美しいモノを前にした時、言葉は目の邪魔になる。

    言葉は人間の理解と行動のための道具にしかすぎない。
    感動は消えてしまう。
    美しさを感じるために知る。



    耳を澄ますとは、音楽の明示する音を絶対的な正確さで捉えること。

    私の人生から割出した...続きを読む
  • Xへの手紙・私小説論
     この文庫を手に取ってみて、きっとはじめは奇異に感じるだろう。というのも、出だしの数編が小林秀雄の若書きの小説であったり、詩が入っていたりすることだ。しかもそれが暗いシニックなもので面白くない(そしてたぶんそんなに上手くない)ものであればなおさらだ。
     最初は疑問に思いながらも読み進めて行くと、『X...続きを読む
  • 学生との対話(新潮文庫)
    小林秀雄の講義および学生との質疑応答を記録した本。学生として、是非聴いてみたかったと思える内容。以下、印象に残った箇所(要点)。
    ・科学の進歩は著しい。しかし、科学は人間が思いついたひとつの能力に過ぎない。僕らが生きていくための知恵は、昔からさほど進歩していない。例えば、『論語』以上の知恵が現代の我...続きを読む
  • 本居宣長(上)
    もののあわれとはなにか。日本語とは、日本の文化、民族とはどのようにしてもたらされ、持ち続けられているか。日本についての深い考察。
  • Xへの手紙・私小説論
    「かたち」が沁みてくる。このひとはこのひとである以上、どうしようもなかつた、そのことに気づかされる時、「かたち」が浮かび上がつてくる。批評とは問題点を取り上げて改善を促す類のものではなく、この「かたち」に辿り着くことだと思ふ。
    「かたち」を物語として書いたところにも彼の姿が映つてゐるが、彼が生き響い...続きを読む
  • 学生との対話(新潮文庫)
    文筆家としての自覚と矜持を貫いた小林秀雄は、講演や対談の場での自らの話し言葉を文字にするときは、必ず速記原稿に目を通し、書き言葉に調えることを必須としていたとのこと。
    今回のこの本は、小林氏の著作権継承者である白洲明子氏の検分と容認を得てようやく刊行されたものなのです。
    そのような経緯があるのですが...続きを読む
  • 学生との対話(新潮文庫)
    熱量がある。


    以下引用

    諸君の現在の心の中に生きなければ歴史ではない

    現代のインテリは不思議を不思議とする素直な心を失っています

    信じるというのは、責任をとること

    物知り人を嫌う
  • 地獄の季節
    彼の叫びが木霊する。世界は明滅を繰り返す。
    生きていることが地獄であると知ってしまうことはどれほど窮屈なことだろうか。社会だとか、貧困だとかで地獄なのではない。そんなものは彼が何よりも嫌ったものだ。生きて死ぬこと、このことを前にしては、そんなもの些末なことに過ぎない。どんなにことばの地獄で汚そうとし...続きを読む
  • 考えるヒント4
    小林秀雄が中原中也について書いてあるということで、考えるヒントの新装版が3まで出るも、なかなか4が出ない為、古書にて購入。
  • 考えるヒント3
    「2」に完敗した。いやまるでその難解さに歯が立たなかった。悔しさと劣等感とで仕返しのように流して読んでやろうと、再度齧り始めたら驚きの咀嚼易さだった。しかも今まで読んできたどの文化評論よりも内容が濃く、今まで触れてきたあらゆる言説を網羅していた。
     現在までの文化批評なんざ、およそ小林秀雄の焼き直し...続きを読む