望月麻衣のレビュー一覧
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心がふんわりと温かくなるような読後感を味わいました。
西洋占星術の世界観と、桜田千尋さんの幻想的なイラストで描かれる満月珈琲店がひとつに溶け合った小説で、まるで夢の中に迷い込んだような気持ちで読み進めることができました。
特に印象的だったのは、珈琲店の猫が占星術を使って、悩みを抱えていた人々を導いていく場面です。
猫という存在のやわらかさと、不思議な知恵を持った導き手のような役割が重なり合い、物語に独特の安心感を与えていました。
登場人物たちは偶然この珈琲店にたどり着いたのではなく、過去に猫を助けたことへの「お礼」として招かれていたという展開も素敵でした。
小さな善意が巡り巡って自分に返って -
Posted by ブクログ
この本は、ふと迷い込んだ先で出会う「満月珈琲店」を舞台に、心に悩みや迷いを抱えた人々が、星や占いをきっかけに少しずつ前向きになっていく物語です。短編集のように一話一話が独立していて、気軽に読めるのに、読後はじんわりと温かさが残ります。
星座や星のイメージがストーリーに優しく織り込まれており、占いやスピリチュアルに詳しくなくても楽しめる内容です。文章はとても柔らかく、疲れたときや寝る前の読書にもぴったり。挿絵や雰囲気づくりも素敵で、まるで本当にその喫茶店にいるような気持ちになれます。
ややゆったりしたテンポなので、サクサク進む物語よりも、癒される雰囲気を味わいたい人におすすめ。読後はちょっと -
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Posted by ブクログ
ネタバレ葵は鑑定に対する実力をつけるうちにいつしか清貴の鑑定眼・観察眼に、嫉妬をするようになり苦しむようになる。
そしてその最中葵は世界的女性キュレーター、サリーのもとでキュレーター育成の場に参加するためニューヨークに旅立つことに…
その中で葵はサリーが長年煩ってきた確執を解消したり、キュレーターの特待生と協力して見事な展示を完成させたり、利休の恋を応援したり…ニューヨークの舞台が葵を見事に成長させていく。
最後には清貴がニューヨークに駆けつけ、葵の展示に胸を打たれ、「サリーのもとで勉強してはどうか?」と提案する。しかし葵は清貴のもとで、まだまだ勉強したい、そして私の目標であり続けてほしいと気持ち -
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本編から5年後を、ОGМに憧れて2代目になりたい寿々の視点から描く番外編。小春たちがどうなったかワクワクしながら読んだ。心から小春と零人の結婚を祝う人々(と神々)の姿に心が明るく温かくなった。前世で心がすれ違い、お互いを傷つけてしまった2人が、しっかり思い合い、縁を結ぶことができて良かった。
今回ハッとしたのは、″この世の理は鏡″。人がどんなことをしようと、森羅万象は咎めない。ただ自分に返ってくるだけ。ということと、伝達が速く、良いことも悪いことも、頭に思い浮かべたことが実現しやすい「風の時代」は、思考が健全であるよう情報の取捨選択に努める必要があるということ。 -
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ここにきてコロナ初期の緊急事態宣言!
卒業後の輝かしい未来に想いを馳せていたことが上手くいかず。当たり前のような日常が戻ってきていても、あの頃の学生さんたちはかなり大変だったんだろうな、と思います。
美術に関わりたい、という気持ち。どんな仕事でも向き不向きがあるということ。恵まれている環境の中で、どれだけ努力できているかなど、一つ一つ何でも吸収していく葵とサポートする清貴がとても良かったです。新章のスタートといった感じでした。
葵ちゃんの鑑定眼だけでなく、どんな作品に対しても敬意を払い相手に寄り添い癒すという何という包容力。次はヨーロッパ編かな。