黒田基樹のレビュー一覧

  • 百姓から見た戦国大名

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    戦国大名を、個々人の事績ではなく社会システムに埋め込まれた器官として紐解く。重層的な構造の中に位置付けることで見えてくる戦国大名の姿は、いわゆる歴史小説的なイメージとは一線を画す。
    近年の戦国研究の進展は目覚しいものがあり、フィクションの世界との乖離はどんどん大きくなっている。そうした研究の成果を新書の形で読めるというのはとても良いことだと思う。

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    2016年03月06日
  • 百姓から見た戦国大名

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    戦国時代を、底辺(とよく言われる)の農民の目線で見てみる。「村」という単位で見てみる。
    戦国時代は、飢饉の連続の時代だったという。それに加えて(なのか、こっちが鶏なのか?)大きな権力がなかったので、戦争が頻発する。
    大河ドラマでは描かないけど、どの大名も、戦争となると、戦場地域を荒らし、農作物を略奪、女性はレイプ。
    それどころか、ニンゲンを、その昔の黒人奴隷のように「商品」として拉致して売りさばいている。
    北朝鮮の拉致問題どころの騒ぎじゃない(笑)。
    というか、そういう、「簒奪」という経済活動だったと言っても良い。
    その戦争=紛争をブレイクダウン。細分化してクローズアップしてみると。
    結局のと

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    2014年12月15日
  • 戦国大名

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    ≪目次≫
    序章   戦国大名の概念
    第1章  戦国大名の家臣団構造
    第2章  戦国大名の税制
    第3章  戦国大名の流通政策
    第4章  戦国大名の行政機構
    第5章  戦国大名と国衆
    第6章  戦国大名の戦争
    終章   戦国大名から近世大名へ

    ≪内容≫
    戦国大名北条氏研究の第一人者による「戦国大名」論。近年の研究成果から、織豊期が特別で、近世の始まりとする史観は「おかしい」として、戦国大名は室町期と江戸期(元和偃武以降)の過渡期の存在であり、近世大名と戦国大名の大きな差は、「平和なのか戦争なのか」が大きいとした。織田信長も豊臣秀吉も基本的には戦国大名であり、北条氏や武田氏などとの差はない。秀吉政

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    2014年04月05日
  • 戦国大名

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    守護と戦国大名の違いは一円的な領国支配をしているか否か。中世と近世の社会をわけるのは自力救済か、より上位の権力に紛争解決権を預け自力救済を凍結するか。織豊大名と戦国大名に質的違いはない。統一政権ができてからの違いは戦争状態の停止によるもの。つまり国衆の家臣化による消滅。ただし、家老として自身の領国支配は続けて行く場合が多い。戦国大名の在り方を規定するのは村の在り方。中世後半は飢饉の時代。常に村は生き残るために紛争をかかえていた。戦国大名は村を持続可能にして治安を維持する代価としての年貢や夫役を徴収した。。国衆も同様に安全の代価として臣従して上納金を納めた。。だから敵の侵攻や飢饉に対応出来ない大

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    2014年02月13日
  • 百姓から見た戦国大名

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    ネタバレ

    武田、上杉、北条…数々の群雄が割拠し、しのぎを削った戦国時代。飢饉と戦争で疲弊した百姓は、社会的危機には公然と「世直し」を求めた。生き延びるために、ときに大名の戦争に参加し、また、隣村との境界争いなどにも武具を携えて参集した。いっぽう大名は、百姓に礼を尽くした施策を講じて領国の安定を図った。庶民の視点から乱世期の権力構造と社会システムをとらえなおす。(2006年刊)
     プロローグ 代替わりと「世直し」
     第1章 飢饉と戦争の時代
     第2章 村の仕組みと戦争
     第3章 地域国家の展開
     第4章 大名と村が向き合う
     第5章 戦国大名の構造改革
     第6章 大名の裁判と領国の平和
     

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    2013年10月28日
  • 百姓から見た戦国大名

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    「『大名主体の社会構造』の下で搾取され蹂躙される『被害者』の百姓」という、一般的なイメージが今更ながら覆される。

    村同士の争いに領主を巻き込み、飢饉が起きれば「世直し」としての大名の代替わりを要求…戦乱と飢餓の時代に生きるために戦う、そんな百姓の姿がよくわかっておもしろい。

    大名は「支配者」として以上に「社会システムの器官」として存在し、領国支配が大名と百姓の双務契約で成り立っていた、というのは知らなかった。

    それにしても、「ここ二十数年におよぶ戦国大名研究の成果の到達点として、また今後における研究の出発点」とまで筆者が言う本が新書で出るってのは、歴史好きにとって幸福だと思う。

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    2013年07月18日
  • 百姓から見た戦国大名

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    戦国時代において,村が慢性的な飢饉を背景に形成・維持され,村同士の用益をめぐる紛争に繋がっていたという指摘に驚いた。
    有名な武田・上杉間の幾たびにもわたる戦争を事例に,領主間の戦争が村同士の紛争の延長上にあるとし,戦争の実態を明らかにしている。

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    2011年09月24日
  • 百姓から見た戦国大名

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    [ 内容 ]
    武田、上杉、北条…数々の群雄が割拠し、しのぎを削った戦国時代。
    飢饉と戦争で疲弊した百姓は、社会的危機には公然と「世直し」を求めた。
    生き延びるために、ときに大名の戦争に参加し、また、隣村との境界争いなどにも武具を携えて参集した。
    いっぽう大名は、百姓に礼を尽くした施策を講じて領国の安定を図った。
    庶民の視点から乱世期の権力構造と社会システムをとらえなおす。

    [ 目次 ]
    プロローグ 代替わりと「世直し」
    第1章 飢饉と戦争の時代
    第2章 村の仕組みと戦争
    第3章 地域国家の展開
    第4章 大名と村が向き合う
    第5章 戦国大名の構造改革
    第6章 大名の裁判と領国の平和
    エピローグ

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    2014年10月27日
  • 羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで

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    著者は早稲田大学で学んだ日本中世史を専門とする駿河台大学教授。2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の時代考証を担当するため、情報整理と解明を目的として本書を執筆した。
    膨大な量の先行研究や同時代史料を俯瞰して執筆している事がよく分かる。そのため、『誰?』と思える人物名が頻出した。新しく知る人物もたくさんいた。特に、“秀吉の血縁者”の配偶者やその親族まで出て来ると、複雑さは増大した。また、本人の通称が確定できない場合は法号(戒名)で記述している。なかなかハードルが高い。

    そして、読み終わったその後に感じることは『やっぱりわかんないことだらけなんだなぁ』という当たり前の感想である。
    現代の

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    2025年12月05日
  • 徳川家康と今川氏真

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    古い説だと家康が氏真を遠ざけていたような伝え方だったが、実は氏真が北条に居られなくなった後家康のところに世話になってお互い利用しあいながら上手くやってたという話。
    昔の説は実は違ってました系の解説本。

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    2025年09月18日
  • 羽柴秀吉とその一族 秀吉の出自から秀長の家族まで

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    秀吉の出自から結婚までと、周辺の親類や子供たち、その妻子、徳川秀忠や織田秀信との関係など、基礎資料に基づいて妥当そうな関係を検証する。不明点もまだあるが、現時点での親族関係を捉える一冊。

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    2025年09月06日
  • 戦国関東覇権史 北条氏康の家臣団

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     北条五代のうち北条氏康の時代は、それなりの史料があることから領国支配の在り様がかなりの程度判明してきているらしい。
     本書は、「氏康・氏政を支えた一門・家老に焦点をあてて、北条家の政治・軍事動向における、大名執行部にみられた人員構成とその変遷状況を述べてきたものである」(あとがき)。
     扇谷・山内両上杉家の打倒、今川、武田、上杉、里見氏等と広域的に争った時代であり、各地の国衆の敵、味方が目まぐるしく変わるのが、いかにもこの時代らしい。

     本書は一般書として著されたものなので、史料から判明したことが平易な文章で解かれているし、関係の系図も付されるなど工夫はされている。ただほとんど知らない人名

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    2024年11月18日
  • お市の方の生涯 「天下一の美人」と娘たちの知られざる政治権力の実像

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    お市の方って、資料少なかったんですね。
    大河ドラマなどに戦国ものだと必ず出演してるので、勝手に知った気になっていました。
    こうやってしっかりと研究してくれるかこそ、お市の方の描き方が素敵になっていくんですね。

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    2024年02月20日
  • 下剋上

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    今の自分の興味の関係上、最近よくこの方の本をよく読むんだけど、内容もライトでマニアックすぎず笑、とても読みやすかった。
    下剋上の始まりから終わりまでの流れが大まかに理解できて、読む前の目標は達せられた感じ。

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    2023年12月30日
  • 家康の天下支配戦略 羽柴から松平へ

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    江戸幕府創成期にいかに外様大名を取り込むか、を婚姻と苗字授与を通じて体制を固めた事例が網羅されている。

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    2023年12月04日
  • 徳川家康と今川氏真

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    今川氏真の生涯について、父親戦死後の苦闘や、大名の地位を失った後の余生など知られざる一面が描かれている。妹が徳川秀忠の教育係になっていたとは知らなかった。

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    2023年08月08日
  • お市の方の生涯 「天下一の美人」と娘たちの知られざる政治権力の実像

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    お市の方や三姉妹について、信頼できる史料から実像を描き出している。有名人の割に意外と分からないことも多いのが印象的。

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    2023年05月09日
  • 家康の正妻 築山殿

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    ネタバレ

    戦国時代の女性に関する記録はほとんどないようで、家康の最初の妻であっても、記録に出てくるのはかなり時代が経ってからのようである。しかも他の事件と混同されていたりで、なかなか真実に近づくのは難しいとのことだが、著者はその色々な説を並べでどれが、より信頼性があるものかを選んで説明してくれているので、非常に参考になる一冊。
    なぜ、いつ岡崎で家康と別居したのか、なぜ浜松で自害したのか、信憑性の高い資料が出てくることを期待しています。
    NHK大河ドラマ「どうする家康」で有村架純が築山殿を演るということが分かっていて上梓している。

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    2023年03月14日
  • 国衆

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    戦国時代を見る粒度として、戦国大名より細かい見方が提示される。国衆の用語自体は、自分も、著者が監修した真田丸から見聞きするようになった気がするが、それが何なのか理解できた。国衆の戦国大名化の議論は、モデル化と捉えても面白い。

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    2022年06月26日
  • 国衆

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    <目次>
    はじめに
    第1章  国衆とは何か
    第2章  国衆の成立と構造
    第3章  北条氏と「他国衆」
    第4章  上杉謙信と国衆
    第5章  上野の横瀬・由良家
    第6章  信濃・上野の真田家
    第7章  戦国大名になった国衆たち

    <内容>
    一般には戦国大名と位置付けられているだろう、一国までいかないが、多くに地域を直接統治し、近くの戦国大名に仕えている(軍役など課されている)存在を「国衆」と呼ぶ。その事例を第3章以降、丁寧にまとめた論文系の新書。戦国期は必ずしも文献の残りは良くなく、でも学者は地道にまとめているようだ。かつてのように、「一土豪」となっていた感じから、領主的な顔の多くを紹介されている

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    2022年05月12日