青山文平の作品一覧
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
とても感慨深い本でした。
「半席」の続きです。徒目付の、片岡直人が主人公の江戸時代を舞台にした話です。
今回は上司の内藤はあまり出ませんが、海防の話が下地にあり、そのために長崎に行って来た話をし、直人に意見を求めます。
それとは別に、夫殺しの「なぜ」を調べ見抜こうとします。しかし、考えに考え、調べたり話を聞いても、完全には納得いかず、犯人の妻には死なれてしまいます。
その後、訳あって、川を泳いでいる男と知り合い、その男に何かを感じたのですが、結局は切り殺されます。死ぬ間際の「笑み」に何故を感じ、殺された男の過去を深くさかのぼり、その笑みの理由に行き着きます。暗闇を理解して、「見抜く」ことができた。
このことによって、ようやく夫殺しの妻の「なぜ」も理解できたが、ずっと心に留めなくてはならなくなったのです。
作者は、とてもきめ細やかに、丁寧に、事実や直人の心情を描いています。前作は爽やかな終わりでしたが、本作はとても深い、考えさせられる終わり方でした。
Posted by ブクログ
これまで読んできた時代小説の中でも変わってるけど、とても何か爽やかな小説でした。
どこかで藤沢周平に似ていると書いてあったから読み始めたのかもしれません。
主人公の片岡直人は半席という身分であり、とても苦労して徒目付となり、勘定方の偉い人になることを目標にして、旗本への昇格を狙っています。
しかし、上司の内藤から、事件の真の動機を調べるように言われるのです。その短編が6つあり、その過程で、直人は成長して、「見抜く者」になってゆくのです。事件の動機を探すのは、すでに事実は分かっているので、見抜くのが主体です。そこがサスペンスです。
武士の小説としては、戦さなどのない日常的な出来事が主で、作者が丁寧に説明してくれて、分かりやすく、さまざまな苦悶する人達をやさしくしかし真実味をもって描いています。
続編もあるので、近いうちに読みたいです。
Posted by ブクログ
面白かった!
最初から先が気になってどんどん読み進めた。
藩札掛として貧乏藩を立て直す話だったんだけど、主人公の聡明さと覚悟が伝わって来て痛快だった。
殺陣の描写もあって楽しかった。
清明の人生どうなっちゃうの〜って気になってたら、最後はああやっぱりね……でもどうすんの……って終わり方だった。
そしたら主人公が全く私と同じ気持ちで終わってて、すげ〜ってなった。
すげ〜ってのは、私は小説を読んでて登場人物に感情移入したことがほぼ無いんだけど、これは人が人に向ける感情において、私の気持ちと差異がないのがすごいなって思った。
私が青山文平を読んでる理由はそこだな。
前読んだ『乳付け』でもそうだったけど、そんなこと人生で経験したことないが、そうなったら嫌だなって思う感情を自然に思わせてくれる文章、感動する。
『乳付け』では主人公のお乳が出なくて我が子の乳を別の乳母に頼むんだけど、その乳母が旦那の昔馴染みの美女で、うまくいかない自分がたいへんよそ者に感じられて寂しいって描写。
そんな状況になったことないけど、もしなったら自分は悔しいし悲しいし寂しいし、お世話になってるのに乳母に出てって欲しくなっちゃうなって思った。
多分状況は違えど、人生で似たような疎外感を覚えることはあるんだろうね。
その気持ちを読み手に感じさせるための文章力? 表現力?があるのかなと思った。