「正しいことを、なるべく面白く、多くの人に」伝え続けてくれた山崎さん。最期の最期まで、その姿勢を貫き通してくれたということが本書を読んで実感できた。
特に本書は、今後もし自分ががんになったら必ず読み返したいと思う内容だった。
もっと山崎さんから沢山のことを教えてもらいたかったと悲しい気持ちは残るが、山崎さんの著書を読み返しながら自分なりに考えていきたいと思う。
[覚えておきたいこと]
☆癌に関する情報ソースは国立がん研究センターのHPと「診療ガイドライン」がオススメ。
☆経済学に「地位財」(経済学者ロバート・フランクの本より)と呼ばれる概念がある。自分の経済的な力・地位を対外的にアピールできる財のことで、不動産、高級自動車、衣装、アクセサリーなどが典型的に該当し、非地位財の典型は余暇の時間。
人は、何らかの地位財について、意図的に競争から降りると、家計が楽になって生活の幸福度が改善することが多い。
☆癌が再発したことに関して、それまでの検査や治療方針などの選択を検討し後悔することはない。ここまでに至った諸々は、「サンクコスト」である。大事なのは、これから何をするかだけだ。原因は、「そういう癌だった」と整理しておくのがよい。
☆ 「意見や主張の表現は、面白いものを上、真面目なものを中、怒りとして表すものを下とする」と心掛けている。
☆ 経済評論家人生の中での反省点→活動開始から5~10年くらいの頃までは、運用のプロである機関投資家の運用方法(例:日本の年金を運用するGPIFは国内外の債権、株式を各25%ずつ保有)を簡略化すれば、個人も理想的な資産運用ができると考えていたが、これは間違いだった。なぜかというと、プロの運用方法が必ずしも正しいわけではないことと、決められた時期にある程度のパフォーマンスを出すことが求められるプロに比べて、個人の時間軸や投資の目的は様々であるから。
個人で運用する商品は全世界株インデックスファンドだけでいい。運用に思い入れを持ち込まず、値動きしても一喜一憂しない程度の金額をそこに投入したら、あとは自分がどう稼ぐのか、運用以外の部分を大事にしよう。
☆ マーケティングとは、大して価値がないものを価値を大きく見せて売るための技術の寄せ集めに過ぎない。
☆ お金の損得よりも大事なものに気づくスイッチは「怒り」。
しかし、怒っている状態は自分の精神コントロールを失っている状態で判断を誤りやすいので、「怒り」はそのままにしておいてはいかず、妥当な理由(「信用」や「共感」など)に変換する必要がある。
怒りに対する感度を高く保ち、必要な時に正しく怒り、ただしいつまでも怒ってはいけない、ということを心がけることで、お金で考えた損得としては損であっても、自分が持っている「信用」の方が大切だ、といったことに気づくことができるようになる。
☆ 稲盛郡夫氏は部下に宛てた手紙の冒頭に、以下のように記した。「明るい人が成功する。人の長所を認める人が明るい」
この言葉を手紙の冒頭に持ってくるのは、人間が分かっているな、と感心した。仮にこのエピソードを誰かに話したとすると、私は楽しいし、それで感心されると嬉しい。感心されると、その発見がちょっと自慢で嬉しい。
正しくて、面白いことを、できるだけ沢山の人に伝えたい。伝えることで、私は感心されたい。
☆ 最後の最後に人生のコツをもう一つ付け加えるなら、「愛嬌」ではないか。愛嬌のある人になるために大切なのは、なんと言っても威張らないことだ。自分のことを笑う心の余裕、これが愛嬌の必要条件だ。