配信予定・最新刊
作品一覧
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-1巻495円 (税込)近江の琴糸、月瀬の奈良さらし、越後の筆匠、佐渡の人形遣い、雪の中の瞽女たち、信濃の山蚕、忘れられた巨桜たち……。昔ながらに手間と日数をかける職人の精緻な手仕事と、日本の山野の美は、まさに滅びようとしている。各地を訪ね、痛恨の思いと復興への願いをこめて書きしるす、記念碑的ルポルタージュ16章。
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5.0
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4.2
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3.9
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4.0作家人生の礎(いしずえ)となった地を、随筆と絵で辿る。 『雁の寺』『五番町夕霧楼』『金閣炎上』他、京都を舞台にした水上作品はいかにして生まれたか――。 僅か九歳で京都の寺に預けられた著者が、精神形成期を過ごしたこの地を、《愛憎もつれあって、悲しみも喜びも、吸いこんでいるつめたい土壌の街だけれども、いつまでたっても、この古都は私から消えぬ。》と綴る。 往時を回想しながら六孫王神社、五番町遊廓、今宮神社、相国寺塔頭瑞春院、衣笠山等持院、東山二条産寧坂、千本丸太町、保津峡、嵯峨鳥居本、大原桂徳院と十の地を巡り、自ら絵筆を揮い、街々の景色を描いた挿絵も掲載。
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3.6
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4.0
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-自身を見つめ直すかのような自伝的作品集。 ──ぼくは見た。カニ屋だった。ゆでたばかりの、太長い爪のわりに、甲がやや小さなズワイガニが、無造作に山積みされていた。むらがった男女たちは、誰もがただ、押しだまって、カニを喰っていた。雪のふり込む野天で、息をころしてカニを喰うさまは、これまでどこでも見たことのない、異様な光景である。── ふと立ち寄った先で見かけた何気ない光景に心を動かされる「寺泊」、疎開してきた知人の妻がチフスを患い、終戦の日にリヤカーで遠路病院まで運ぶ「リヤカーを曳いて」など『寺泊』に収録された10篇に加え、新宿ムーランルージュに出ていた元妻の思い出を綴った「わが風車」など4篇を併録した私小説集。
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4.0人間の欲を浮き彫りにする社会派ミステリー。 「工場はおそろしい水銀の水を流している。魚は獲ってはいけない。獲った魚を喰えば死の病いにとりつかれる。 そうだ、この海……この暗い海の底から、目に見えない何ものかが牙をむいて迫っている」 不知火海沿岸で発生した奇病“猫踊り”。魚や貝を食べると、猫はもちろん、人間までも前後不覚になり死んでしまう恐ろしい病気だ。その実態を調べるために東京の保健所から来た男が行方不明になる。警察医・木田民平は勢良警部補とともに、工場や投宿した旅館などを探るが、男はやがて鴉についばまれた死体で発見される。 男はなぜ殺されなければならなかったのか。そこには、さまざまな“欲”が、複雑に絡み合っていた――。 日本中を震撼させた水俣病を題材にし、直木賞候補にもなった衝撃作。
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-闇に押し込めた過去が露わに、凛烈な私小説。 或る日、生き別れた長男から、彼が経営するホールの祝賀会の案内状が届く。会場は世田谷区松原という。この地には、地縁という不分明な力で、度々磁石のように吸い寄せられてきた。 20代の初めに同棲した女性、消息不明となった長男、3歳の長女を残して消えた妻など、過去の闇に押し込めたはずの暦が同一の空間に甦る。 それは、風が肌を刺すような寒い秋の夜、様々な因縁から逃れられないことを知るのだった……。 自伝的表題作『秋夜』ほか、『むげんの鳥』、『お鳥』、『椿寺』、『むささびの話』、『馬の話』『狐の話』、『桐下駄の話』、『海の洞、『くがみの埋み火』の全10篇を収録。
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3.0人はなぜ「生」に執着し「色」に執着するのか。幼少時代の誦読と棚経を回想、一休和尚や正眼国師(盤珪禅師)の訳や解釈を学び直し、原点から人間の性を見つめ直す。色と欲に煩悶した日々を顧み、生き身のありがたさ、女性は弥勒菩薩など独自の境地に辿り着く。愚かさを見すえ、人間の真実に迫る水上版「色即是空」。<解説>高橋孝次 「般若心経」全文 序 章 「まかはんにゃはらみたしんぎょう」 第一章 漢字「般若心経」にめぐりあう 第二章 正眼国師の『心経抄』と私 第三章 一切は「空」である 第四章 私版「色即是空」の世界 第五章 一休における「色即是空」の世界 第六章 死して百日紅や椿の花となる 第七章 不浄を美しいと思うときもある 第八章 六根・六塵の本体は無である 第九章 無明とは何か 第十章 四苦八苦を成敗するには 第十一章 のたうちまわって生きるしかない
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-著者初の単行本と短篇集をカップリング。 単行本デビュー作である『フライパンの歌』は、戦後の赤貧時代を綴った自伝的作品。上京して早々に生活に行き詰まり、神田の工場に間借りして、妻と乳飲み子の3人暮らしを始めた安田。友人に紹介された出版社で編集長の肩書を得て、やっと生活が落ち着くかに見えたが、会社の経営が思わしくなく、安月給で妻はお乳も出ないほどの状況に……。そんななかでも、あまり悲壮感を漂わせることなく、飄々として生きる主人公を描く。 『風部落』は、貧しい集落に住む老婆が、重い病を患う息子のために、裕福な家の山雀を盗んでしまう表題作など8篇をまとめた、著者初の短篇集。 いずれも、「机にむかうと書きたいことはたくさんあった。」(『フライパンの歌』より)という、若き日の情熱を凝縮したような作品集。
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-1巻880円 (税込)『雁の寺』『寺泊』など作品の背景をエピソードを交えて、書くことの方法と身を削る「業」の厳しさを明かす。文学作法を自ら語るファン必携の一冊。〈解説〉掛野剛史 「雁の寺」四部作 「五番町夕霧楼」 「越前竹人形」 「越後つついし親不知」「霰」「静原物語」 「しがらき物語」「波影」「鴉の穴」 「飢餓海峡」8 「湖の琴」「銀の庭」「霙」 「城」「佐渡の埋れ火」「名塩川」「京の川」「畳職人谷捨蔵の憂鬱」 「弥陀の舞」「はなれ瞽女おりん」「馬よ花野に眠るべし」79 「凍てる庭」 「冥府の月」「桜守」 「好色」「男色」 「蓑笠の人」「越前一乗谷」 「焚火」「有明物語」「猿籠の牡丹」 「兵卒の鬃」「冬日の道」「道の花」「草民記一章」「『ぼろんか騒動』の多吉」 「宇野浩二伝」 「古河力作の生涯」「鶴の来る町」 「一休」 「近松物語の女たち」「あひるの子」「わが草木記」 「わが山河巡礼」「失われゆくものの記」「日本海の人と自然」「金閣と水俣」 「若狭幻想」 「霧と影」「死の流域」 「海の牙」「火の笛」 「寺泊」「壺坂幻想」他 「決潰」「棺の花」「ちりめん物語」 戯曲「雁の寺」他
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
幼い頃に京都の禅寺で精進料理の作り方を教えられた著者の暮らしと料理のエッセイ。
貧乏寺だったと表現される少年時代はそこにある物で食事を作るしかなく、工夫を重ね作り上げた料理は文章からでも美味しさが伝わってきます。
今のように何でもかんでも手に入ることはもちろんなく、逆に今の時代の方が豊かではないと感じてしまうほど、ありきたりな世の中になってしまったかもなと考えさせられました。
追い詰められることもなく、責められることもなく、それではモチベーションや意欲は正直保ちにくく本人の意思に委ねられ過ぎている気がします。どの時代が良いとか関係なく今生きているので色々と頑張らなきゃと思いました。
作中に何度