小島英俊の作品一覧
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Posted by ブクログ
「日本の鉄道関係技術が辿った経過」を概観する一冊である。例えば電気のことや、幾つかの装置の仕組みなど、やや専門的なことへの言及も在るが、表や図が適宜配され、技術に明るいでもない読者も或る程度内容は判る。実際、私自身も技術に明るいでもないが、「なるほど、そういうことか…」と愉しむことが出来た。著者も技術者や工学研究者ということでもないようで、であるからこそ、新旧の様々な技術を「判り易い」を目指して、丁寧であると同時に簡潔に説いてくれていると思う。
或いは「かなり“マニア”な鉄道ファンが読む本?」と思われてしまうかもしれないが、これは“鉄道”を切り口にした、産業と社会の広い分野に亘ることを考えられる内容も含んでいると思う。鉄道は明治期にどんどん広がった他方、レールや車輛、殊に機関車はかなり後から追うことになった。欧米諸国では「鉄鋼製造が先に在って、それから鉄道が登場」という経過なので、日本の経過は独特だ。
日本の鉄道技術が辿った長い経過を語りながら、話題は現在主流となっているモノのことや、日本の鉄道技術の国外進出のこと、リニア新幹線のような“未来”を目指して続けられている研究にも及ぶ。非常に興味深い!!
Posted by ブクログ
暑い日が続いている。
こういうときはどこか涼しいところに行きたいと思う。
夏休み、あるいはお盆休みで新幹線を利用して移動する機会も増える今日このごろ。
新幹線の成り立ちについて知っておくのもいいかと思い読んでみた。
流線形は新幹線のイメージそのものと言ってもいい。
そんな流線形を19世紀のアメリカ人が考えていた。
職業は、教会の牧師、新聞記者、推理小説作家、冶金学者、陸軍大佐など、鉄道と関わりのない人たちなのが面白い。
いかに空気抵抗を抑えて走るか。
紆余曲折を経て新幹線が開業して今に至る。
リニア新幹線に関しては、静岡県にいる「こじらせおじさん」のお陰で2027年開業が怪しくなっているが、超伝導リニアの技術について日本が独走している。
形一つで早さに関わるのか。普段、気にもしなかったので興味深いなあ。
Posted by ブクログ
鉄道好きにとって、趣味性と社会性を絶妙なバランスで両立させた良著です。
鉄道史なんて手垢がついた分野だと思ってましたが、本著の工夫に溢れたテーマ選定や構成には唸らされました。著者の広い分野にわたる造詣の深さがしっかり結実しているという印象です。
例えば、高速鉄道の章では、新幹線賛歌に終わることなく、最新の各国の状況や技術論に触れつつ、最後は中国の一帯一路政策に繋げていく展開はなかなか見事。
単に「へー」情報の羅列というトリビアで終わることなく、ストーリー感のある、一つ上のレイヤ感のある学びが得られた気持ちになれます。
写真、図画や表も活用してわかりやすく、豊富なデータで定量的に説明しているのも良いところ。文庫という物理的な制限からあまり大きくないし、解像度的にも色的にもなかなかしんどいですが、ベストを尽くした印象があります。
最終章「リニア新時代と鉄道の公益性」は、著者による日本鉄道業界への課題提起で、「中速鉄道(新幹線と在来線の間)が必要」、「リニアホントに要るの?」、「公益性と収益性のバランスをどう取るのか?」どれも重要なテーマです。
いち利用者、納税者としても考え続けないといけないテーマで、活発に議論されていくと良いなと。特に最後の「公益性と収益性」は、日本の鉄道会社がほぼ不動産会社になるような、新聞業界的な事態にはならないことを祈っています。