あらすじ
漱石はどんな乗り物で旅をしたのか?新婚旅行の汽車、イギリスに渡る船、満州の特別列車……、近代交通史を漱石の旅路から追う。
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Posted by ブクログ
夏目漱石の生涯を交通の視点から照らす意欲作。
1867年生まれ、1916年没。ちょうど日本の鉄道の発達と重なる生涯。坊ちゃんのマッチ箱の汽車だったり、鉄道の黎明時代。人力車や欧州航路など鉄道以外の交通についてもかなり細密。
得てしてこういう本は趣味本、素人っぽい本が多いのだが、この筆者の著作はレベルが高い。交通だけでない文学に関する造詣が深い。
Posted by ブクログ
コロナ後初の出張のおともに本書を持っていく。
著者は交通史の専門家(といっても、商社などで長く勤務したビジネスパーソンだった方)。
本書は「読んで楽しくわかりやすく」をモットーに書かれたものだ。
漱石の生涯をたどりつつ、発達していく交通機関の状況を説明していく。
・学生時代の旅で利用した蒸気船と蒸気機関車
・松山・熊本時代の地方の鉄道
・留学時の欧州航路とイギリスの鉄道・地下鉄
・満州訪問時の特別列車やトロッコ
・東京の人力車、馬車、自転車
・路面電車、郊外電車
ざっとこんな感じだった。
これまでにも小池滋さんの著作や、漱石の研究者の人たちの本でも、割と交通関係の論文があったような気がする。
一冊であれもこれも、ちょっとずつ知ることができるという意味で、楽しい本かもしれない。
一番印象的だったのは、漱石の自転車体験。
ロンドン時代のことだが、あれは…漱石でなくてもトラウマになるだろう。