新潮新人賞作品一覧

  • 朝顔の日
    3.8
    1巻1,232円 (税込)
    その日に死んでしまふ気がするのです──。昭和十六年、青森。凜太はTB(テーベ)を患い隔離病棟で療養する妻を足繁く見舞っている。しかし病状は悪化、ついには喉の安静のため、若い夫婦は会話を禁じられてしまう。静かに蝕まれる命と濃密で静謐な時。『指の骨』で新潮新人賞を受賞した大注目作家のデビュー第二作。芥川賞候補作。
  • いかれころ(新潮文庫)
    5.0
    昭和の終わり、南河内に暮らす一族の娘に縁談が持ち上がる。女性は25歳までにと見合い結婚する者も多い時代。本人の考えを他所に、結納金や世間体を巡り親戚中の思惑が忙しくぶつかり合う。その喧噪を、分家に暮らす4歳の奈々子はじっと見つめていた――「家」がもたらす奇妙なせめぎ合いを豊かに描き、新人らしからぬ力量と選委員が絶賛、三島由紀夫賞&新潮新人賞ダブル受賞のデビュー作。(解説・町田康)
  • 息

    3.9
    1巻2,090円 (税込)
    喘息の一息一息の、生と死のあわいのような苦しさ。その時間をともに生きた幼い日の姉と弟。弟が若くして死を選んだあと、姉は、父と母は、どう生きたか。喪失を抱えた家族の再生を、息を繋ぐようにして描きだす、各紙文芸時評絶賛の胸を打つ長篇小説。新潮新人賞受賞作「わからないままで」を併録。注目の新人、初めての本。
  • 輝ける闇の異端児 アルチュール・ランボー
    -
    ランボー没後130年を経てなお著者の心に棲みつづける魂を揺さぶる熱い思いを綴った小説 遥かなる時空と闇を割いて彼の声がきこえる。 『ロッシュ村幻影』を大幅に修正、新たな掌編もプラス。 【目次】 Ⅰロッシュ村幻影 その日のアルチュール ヴォンク駅から もう一人のランボー Ⅱ遥かなるハラル 旅日記 遥かなるハラル 付記 地中海―旅のはてに あとがき 参考文献・初出一覧 【著者】 井本元義 1943年生まれ 九州大学物理学科卒 詩集『花のストイック』『レ・モ・ノワール』『回帰』『虚日の季節』 小説『ロッシュ村幻影』『廃園』 エッセイ『太陽を灼いた青年 アルチュール・ランボーと旅して』 評伝『織坂幸治』 新潮新人賞佳作 「鉛の冬」 福岡市文学賞 『花のストイック』 文芸思潮まほろば賞 「トッカータとフーガ」 仏政府主催 仏語俳句大会グランプリ 日本ペンクラブ会員 福岡日仏協会理事
  • 影媛
    3.0
    1巻1,232円 (税込)
    物部家の巫・影媛は、神の声を聴くため翠鳥となって森を飛び回るうち、鹿狩りに熱狂する平群家の臣・志毘に出会い、恋に落ちる。しかし両家は対立する間柄、そして彼女はすでに皇太子に求婚されている身だった。特異な想像力と類まれな言語能力で描き切った、鮮烈な愛の物語。新潮新人賞最年少受賞の新鋭による待望の第二作。
  • 工場(新潮文庫)
    3.8
    大河が南北を隔てる巨大工場は、ひとつの街に匹敵する規模をもち、環境に順応した固有動物さえ生息する。ここで牛山佳子は書類廃棄に励み、佳子の兄は雑多な書類に赤字を施し、古笛青年は屋上緑化に相応しいコケを探す。しかし、精励するほどに謎はきざす。この仕事はなぜ必要なのか……。緻密に描き出される職場に、夢想のような日常が浮かぶ表題作ほか2作。新潮新人賞、織田作之助賞受賞。(解説・金井美恵子)
  • 後藤明生を読む
    -
    1巻2,860円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 2009年から活動してきた「後藤明生を読む会」の会員による作品集。 安亜沙(あん・あさ)1996年生まれ。美術家。個展にアンバー・ランド(Gallery PARC・京都/2019年)、ネオ人類研究(Oギャラリーeyes・大阪/2023年)など。 乾口達司(いぬいぐち・たつじ)1971年生まれ。会社員。著書に『花田清輝論』(柳原出版/2003年)、後藤明生著/乾口達司編『日本近代文学との戦い』(柳原出版/2004年)など。 甲木文武(かつき・ふみたけ)1977年生まれ。会社員。 金窪幸久(かねくぼ・ゆきひさ)1957年生まれ。元会社員。2021年永眠。 来多邨平(きたむら・たいら)1950年生まれ。元出版社勤務。 後藤忠彦(ごとう・ただひこ)1933年生まれ。後藤規矩次・美知恵の三男として、旧朝鮮・永興で生まれる。2020年永眠。 後藤明生(ごとう・めいせい)1932年生まれ。小説家。後藤規矩次・美知恵の次男として、旧朝鮮・永興で生まれる。1999年永眠。代表作に『挾み撃ち』(河出書房新社/1973年)、『吉野大夫』(平凡社/1981年)、『壁の中』(中央公論社/1986年)など。 小林幹也(こばやし・みきや)1970年生まれ。教員・歌人・近畿大学文芸学部非常勤講師。歌集に『裸子植物』(砂子屋書房/2001年)、評論集『短歌定型との戦い』(短歌研究社/2011年)など。 竹永知弘(たけなが・ともひろ)1991年生まれ。日本現代文学研究、ライター。おもな研究対象は「内向の世代」。 名嘉真春紀(なかま・はるき)1986年生まれ。出版社勤務。 松井博之(まつい・ひろゆき)1966年生まれ。2003年、「<一>と<二>をめぐる思考―文学・明治四十年前後」で第三五回新潮新人賞評論部門を受賞。2012年永眠。著書に『<一>と<二>をめぐる思考―文学・明治四十年前後』(文芸社/2014年)。 松崎元子(まつざき・もとこ)1966年生まれ。アーリーバード・ブックス代表。後藤明生著作権継承者。 安田誠(やすだ・まこと)1970年生まれ。会社員。
  • 静かなる奔流
    -
    1巻1,430円 (税込)
    画家を目指す青年の孤独な努力の日々。研鑽と挫折の中、人々との出会いが彼の魂を感情豊かに成長させる。 将来自分の歯医者の仕事を継がせようとする父に、画家になる夢を砕かれた博は死んでもいいと思いながら山奥をさすらう。そこで偶然に道路工事の飯場に拾われ、一年を過ごす。人間とは何かを考え少し大人になった彼は、その後沖仲士の仕事に就き、肉体労働を通して個の存在としての人間を感じ、独自の勉強で再び絵を描き始める。ますます絵への情熱が強くなりついにパリ行を決行する博。多くの人々に影響されながらも、自己研鑽に励み、生きる意味を考え成長していく若者と、彼を取り巻く人々の魅力にも焦点を充てた重厚な青春小説。 【目次】 その一 山の日記 五月X日 五月XX日 五月XXX日 五月YX日 五月XYY日 六月Z日 六月ZZ日 六月ZZZ日 六月YY日 六月YW日 その二 地の微熱 一 二 三 四 五 その三 ユンヌ・シャンソン・イナシュヴェ 一 二 三 四 五 その四 山の福音 一 二 三 四 その五 カルテッド終楽章 一 二 三 四 五 エピローグ 傍景 美津子の生き立ち 一 二 補追 あとがき 著者紹介 【著者】 井本元義 1943年生。九州文学理学部物理学卒。丸の内サラリーマン生活四年の後、福岡で医療機器の企業経営40年。1969年「鉛の冬」が新潮新人賞候補にて掲載。2004年「詩集花のストイック」福岡市文学賞受賞。2015年仏語俳句グランプリにて招待受ける。2016年「トッカータとフーガ」が文芸思潮まほろば賞受賞。同人誌「海」「詩と眞實」所属。日本ペンクラブ会員。九州日仏友好協会理事
  • 図書準備室(新潮文庫)
    3.4
    なぜ30歳を過ぎても、私は働かず母の金で酒を飲んでいるのか。それはあの目に出会ってしまったから。中学の古参教師に告白させた生涯の罪を、虚無的に冷笑しつつ、不敵な価値転倒を企てる野心的表題作。級友たちの生け贄として凄惨ないじめの標的にされた少年が、独自の「論理」を通じて生存の暗部に迫る、新潮新人賞受賞作「冷たい水の羊」を併録。気鋭の作家、鮮烈のデビュー作品集。
  • ナイス・エイジ
    3.8
    1巻1,408円 (税込)
    未来人がオフ会に降臨!? 興味本位で参加したAV嬢の絵里は自分の孫と名乗る青年と知り合い同棲。その日常はネット民の際限なき好奇心の餌食となってゆく……。自分が信じるものだけが真実となる時代の炎上騒ぎをクールに描いた話題作と、啓蒙欲と性欲をこじらせた男子中学生が暴走する新潮新人賞受賞作「二人組み」を収録。
  • 肉骨茶
    3.0
    1巻1,232円 (税込)
    160cm35kgの高校生・赤猪子は、シンガポール・マレーシアへの旅の途中で母親のもとを抜け出し、友人ゾーイーの海辺の別荘に身を寄せる。それは食べるたびにエネルギーとなり脂肪となって自分の中に蓄積していく、日々の食物から逃れるためだったのだが――。新潮新人賞を最年少受賞、芥川賞候補ともなった衝撃のデビュー作。
  • 寝相
    3.7
    1巻1,584円 (税込)
    人生最後の日々を過ごす老人とその孫娘の静かな同居生活を描く「寝相」。失業中の男、元女番長、なぜか地面を這うようになった小学生が織り成す異色の群像劇「わたしの小春日和」。奇妙な美しさを放つ庭を男女四人の視点で鮮明に描き出す「楽器」(新潮新人賞受賞作)。目を凝らし、耳を澄ませるための三つの物語。瞠目のデビュー作。
  • 廃園 幻想花詩譚
    -
    1巻1,540円 (税込)
    花の精、花の香、花の色それは美しく、妖しげに揺れる業火 妖花が悪夢を呼び……退廃の美へ その時私はあっと声を上げた。荒涼とした風が沸き起こり、丘の上に広がる空の闇が布のように二枚にめくれ、大きくはためいて揺れた。そしてお互いに包みあうように丸まり、私を飲み込もうと覆いかぶさってきた。それは巨大な食虫花の漆黒の花弁だった。 【目次】 序 廃園 …… 牡丹 帰郷 …… ニセアカシア 髑髏と蝶 …… 桜 柳川 …… 椿 図書館 …… カンナ 器械屋の憂鬱 …… 泥の花 蟬しぐれ …… 睡蓮 ある弁護士の手記 …… ヒットラーの白い花 巴里スフロ通り …… 音の花 フルスタンベール広場 …… 桐の花 酔芙蓉 …… 酔芙蓉 緑の花 …… 緑の花 R共和国奇譚 …… 食虫花 【著者】 井本元義 1943 年生まれ 九州大学物理学科卒 詩集『花のストイック』『レ・モ・ノワール』『回帰』『虚日の季節』 小説『ロッシュ村幻影』『廃園』 エッセイ『太陽を灼いた青年 アルチュール・ランボーと旅して』 評伝『織坂幸治』 新潮新人賞佳作 「鉛の冬」 福岡市文学賞 『花のストイック』 文芸思潮まほろば賞 「トッカータとフーガ」 仏政府主催 仏語俳句大会グランプリ 日本ペンクラブ会員 福岡日仏協会理事
  • 狭間の者たちへ
    3.9
    1巻1,980円 (税込)
    保険営業所に勤める藤原は、通勤電車で見かける少女に日々「元気」をもらっていた。ある日、同じ少女を盗撮する男との奇妙な交流が始まり――。痴漢加害者の心理を容赦なく晒す表題作と、介護現場の暴力を克明に刻む新潮新人賞受賞作を収録。愚かさから目を背けたいのに一文字ごとに飲み込まれる、弩級の小説体験!
  • 百年泥(新潮文庫)
    4.0
    豪雨が続いて百年に一度の洪水がもたらしたものは、圧倒的な“泥”だった。南インド、チェンナイで若い IT 技術者達に日本語を教える「私」は、川の向こうの会社を目指し、見物人をかきわけ、橋を渡り始める。百年の泥はありとあらゆるものを呑み込んでいた。ウイスキーボトル、人魚のミイラ、大阪万博記念コイン、そして哀しみさえも……。新潮新人賞、芥川賞の二冠に輝いた話題沸騰の問題作。(解説・末木文美士)
  • P+D BOOKS 今も時だ・ブリキの北回帰線
    -
    1巻550円 (税込)
    全共闘運動の記念碑作品。  肺病病みのピアノ弾きが、献身的な恋人や死んだ両親を思い起こしつつ、騒動に巻き込まれていく。地下室での演奏。電気は消え、反対セクトとの乱闘の中、楽器同士が火花を散らし競演し、脳中にイメージが錯綜していく……。仲間たちと脱出したピアノ弾きは、最後は穏やかな気持ちで自分の吐いた血を見つめる……。  「JAZZによる問いかけ、自己を武器化せよ! 自己の感性の無限の解放! 」。バリケードの中の投石と怒号渦巻くジャズ・コンサートを描き、全共闘運動の記念碑的作品となった「今も時だ」は、テレビ・ディレクターだった田原総一朗が、1969年に企画した山下洋輔がバリケードの中でピアノを演奏したイベントを題材に小説化。新潮新人賞候補となり、商業誌デビューした作者の記念すべき作品。 ほか、自身の3ヶ月に及ぶインド旅行経験を元に、立松文学の原点を示す「ブリキの北回帰線」と、「部屋の中の部屋」を収録。いずれの作品も若い日の立松の青春の彷徨が描かれている。

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