エッセイ・紀行 - 中公文庫作品一覧

  • 金子光晴を旅する
    3.0
    僕が旅立ちたいわけは、だがあんまり災難が多いからだ――上海、マレー半島、インドネシア、パリ。『マレー蘭印紀行』『どくろ杯』等にも綴られた詩人と妻の計画も希望もない四年に及ぶ放浪の旅を、本人たちへのインタビュー、その旅に魅せられた21人のエッセイで辿る。全集月報ほか単行本未収録作品多数。 文庫オリジナル (目次より) Ⅰ 金子光晴、旅を語る 不穏な漂泊者(聞き手:開高健) 人生五十年、あとは急降下(対談:寺山修司) Ⅱ 金子光晴の周辺 (森三千代/聞き手:松本亮) Ⅲ 金子光晴と私 『マレー蘭印紀行』『詩人』『新雑事秘辛』(松本亮) 『どくろ杯』『ねむれ巴里』『西ひがし』(秋山清) 光晴夫妻と巴里での出会い(永瀬義郎) 金子光晴の「時間」(阿部良雄) あくび(茨木のり子) 金子光晴について(吉本隆明) 悪友金子光晴と私(中西悟堂) 詩の蘇生に向かう放浪のヴェクトル(清岡卓行) 「生きている」流浪者の眼(窪田般彌) 怪物が死んだ(草野心平) 地獄の見世物としてのパリ(田村隆一) Ⅳ 金子光晴を旅する 螢の樹(奥本大三郎) 空白の海を越えて(小林紀晴) 金子光晴と森三千代を知らない(島尾伸三) 金子光晴(福田和也) 暇と求婚(角田光代) 「自由な関係」を探しに(山崎ナオコーラ) 私がいちばん読み返した本(高野秀行) 旅の混沌(沢木耕太郎)
  • 新編 散文の基本
    3.5
    短篇は他のどんなジャンルよりも発想や展開において、また構成や叙述において自由で柔軟なものだ――。「私の文章作法」「短篇小説論」を中心に日本語論、自作解説を増補した新編集版。『短編小説礼讃』の著者による小説作法の書。巻末に荒川洋治との対談「短篇小説を語る」を収録する。  〈解説〉荒川洋治 【目次】 *=新収録 Ⅰ 私の文章作法 書くということ/待つ・聞く・書く/好きな言葉/散文の基本/小説を超えるもの*/不朽のジャンル/「僕」の問題*/うらぎる言葉*/幼年の文学*/土地の感覚*/小説と年齢* Ⅱ 日本語について ニュアンスについて*/昔の言葉/いい文章*/淋しい文章/私の国語問題/読書会にて/読者への手紙 Ⅲ 短篇小説論 短篇作者の仕事/贋の首飾り/チェーホフの星/チェーホフの現在/日本語のルナール/国木田独歩がいた町で/おのずからの形式/短篇小説の青春*/陳腐な運命/芥川龍之介の短篇/真剣な遊戯/三浦哲郎氏の短篇/猫のいる短篇/私の処女作*/父をさがす子*/『自転車』のこと*/短い形式* 対談 短篇小説を語る* 荒川洋治×阿部昭 解説 荒川洋治
  • 台湾鉄路千公里 完全版
    4.5
    一九八〇年、『時刻表2万キロ』の著者は全線乗りつぶしのため台湾へと向かった。戒厳令下で日本人観光客は団体ツアーばかりの当時、阿里山鉄道を筆頭とする狭々軌鉄道や、開通したばかりの超特急、砂糖会社線などを八日間で乗り尽くす。その後の八三年、九四年の全島一周達成の紀行を増補した著者台湾紀行の完全版。〈解説〉関川夏央 (目次より) 台湾鉄路千公里 1 一九八〇年六月二日(月)  桃園国際機場/台北車站/自強号、往高雄/空襲警報時旅客須知 2 六月三日(火)  莒光号餐車/対号特快車/阿里山森林鉄路/呉鳳旅社 3 六月四日(水)  台糖公司虎尾総廠路線/集集線/海線、山線、循迴追分線/台中柳川西路 4 六月五日(木)  東勢線・内湾線/淡水線・新北投/台北夜場 5 六月六日(金)  濂洞・侯硐・菁桐/嶮路北迴線/花蓮新站 6 六月七日(土)  花蓮港/太魯閣峡/狭々軌特急、光華号/台東市 7 六月八日(日)  公路局公共汽車、金龍号/屏東線、東港線  終 章  あとがき 台湾鉄路千百公里 台湾一周二人三脚 台湾一周、全線開通 解説(関川夏央)
  • 科学者の創造性 雑誌『自然』より
    5.0
    一冊の本との出会いによって物理学を志した学生時代の回想から、講演「素粒子論はいずこへ」「科学の進歩と国際協力」、ノーベル賞授賞式への旅を綴った「旅のノートから」まで。科学雑誌『自然』に一九四七年から七五年にかけて発表したエッセイと講演を集成。文庫オリジナル。 〈巻末対談〉水上勉×湯川秀樹「京都と日本を語る」 (目次より) Ⅰ 思い出すこと/学術の交流/旅のノートから/若い人々へ/仁科芳雄先生の思い出/科学の進歩と国際協力/研究者としての人間/二つの道を一つに/科学者の創造性/物理学者群像/日本の科学の一〇〇年 Ⅱ 素粒子論の現状と将来(湯川記念館開館記念講演)/素粒子論はいずこへ/理論物理学の伝統について/将来計画の意義/物理学の老化と若返り/素粒子論の現状と将来(素粒子論三〇年)ベータ崩壊の古代史 〈巻末対談〉京都と日本を語る 水上勉×湯川秀樹
  • 月白の道 戦争散文集
    -
    「若い医者と軍人の結合体にとって、詩と死はただの同音ではなかった」(谷川雁) 医師で詩人の著者は臨時召集を受け、軍医少尉として出征。北ビルマの最前線ミイトキーナでは、司令官・水上源蔵少将に対し死守が命じられるが、少将は残存将兵への転身命令を発したのち自決。部隊は全滅を免れるも、その後は「中国の雲南からビルマをよぎって、タイのチェンマイまでの泥まみれの敗退」となった……。 壮絶を極めた南方戦線から奇跡的に生還した著者は、その記憶を書き残す決意を固めるには四半世紀の時間を要したと述懐している。一九六九年夏に西日本新聞に連載した「月白の道」は、2000キロの敗走を綴った戦場の記録である。 第一篇には、「私たちはおたがいに心の虫歯をもっていたほうがよい。…でないと、忘却というあの便利な力をかりて、微温的なその日ぐらしのなかに、ともすれば安住してしまうのだ」とある。声高に叫ぶのではなく感情を抑えたさざ波のような断章が連なり、野呂邦暢や川崎洋らが賞賛する詩的な香りの漂う孤高の戦記文学となった。 都合三度刊行された『月白の道』の「序」「あとがき」に加え、二度目の刊行時に書き加えられた後日譚とも言うべき「南の細道」、文藝春秋に寄稿した「軍神を返上した水上少将」、および、私家版『定本 丸山豊全散文集』から戦争・戦友に関する一〇篇を収録した、戦争散文の集大成。 さらに、谷川雁の追悼文、野呂邦暢、川崎洋、森崎和江のエッセイ、映像制作者・木村栄文の「『月白の道』に寄せて」を収録。
  • 追懐の筆 百鬼園追悼文集
    4.5
    師の臨終に立ち会い号泣し、奇禍に倒れた友の事故の様子を丹念に取材し記し、幽霊でも良いから夢に出てこいと弟子へ呼びかける。夏目漱石、芥川龍之介、鈴木三重吉ら一門の文学者から、親友宮城道雄、教え子、飼い猫クルツまで。哀惜をこめてその死を嘆き、思い出を綴る追悼文集。〈解説〉森まゆみ (目次より) Ⅰ 漱石先生臨終記/湖南の扇/亀鳴くや/花袋追慕/花袋忌の雨/寺田寅彦博士/御冥福を祈る/鈴木三重吉氏の事/四谷左門町/酒徒太宰治に手向く/黒い緋鯉/草平さんの幽霊/青葉しげれる/薤露蒿里の歌/舞台の幽霊/追悼句集 Ⅱ 朝雨/「臨時停車」より/東海道刈谷駅/「つはぶきの花」/宮城会演奏プログラム口上一束/ピールカマンチヤン/「新残夢三昧」より Ⅲ 鷄蘇仏/破軍星/空中分解/アヂンコート/片山敏彦君 解説 森まゆみ
  • 百鬼園戦後日記I
    5.0
    『東京焼盡』の翌日、昭和二十年八月二十二日から二十一年十二月三十一日までを収録。掘立て小屋の暮しを飄然と綴る。〈巻末エッセイ〉谷中安規(全三巻)
  • 名曲決定盤(上) 器楽・室内楽篇
    -
    クライスラー、エルマン、ティボーの歴史的名演奏をはじめ、コルトー、カサルスなど苦心の蒐集レコード一万枚をもとに、鋭い審美の耳と情熱的な筆で音楽を語る、あらえびす=野村胡堂の古典的名著。上下二巻。 〈解説〉山崎浩太郎
  • 海軍随筆
    -
    海軍兵学校や予科練、航空隊や潜水学校などを訪れ、生徒や士官の人柄に触れ、好感と共感をこめて歴史を繙いた「海軍」秘話の数々。特殊潜航艇乗組員の散華を描いて日本中を熱狂させた『海軍』発表の翌年に、「小説『海軍』を書いた動機」などを明かし、本名の「岩田豊雄」で発表した随筆集。解説・川村 湊

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  • 蒐集物語
    4.0
    「蒐集はものへの情愛である」「愚かなものを蒐集してはならない」「高い代価なるが故にものを誇るのは浅はかな趣味である」……。民藝運動の創始者であり、日本民藝館の創立者である著者が、真にものを愛する心と、蒐集の心得の真髄を、豊富な体験にまつわるエピソードをまじえて解き明かす名エッセイ。解説・柳 宗理

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  • アール・デコの時代
    3.0
    一九二〇年代、退嬰的な世紀末芸術の後に明るく花開いた美術様式、アール・デコ。ジャズ、ダンス、ファッション――祝祭的で都会的な美が欧州を席巻する。

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  • 小説の誕生
    4.5
    「小説論」というのは思考の本質において、評論でなく小説なのだ。(まえがきより) 小説的思考とは何か? 小説が生成する瞬間とはどういうものか? 小説的に世界を考えるとどうなるのか? 前へ、前へと思考を進める小説論。

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  • 大磯随想・世界と日本
    3.5
    引退後ほどなく、政治の「貧困」を憂いつつ未来への希望をこめて綴ったエッセイ集「大磯随想」。その最晩年に、マッカーサーやアデナウアー、ケネディら内外の政治家を回想し、日本外交について縦横に語った「世界と日本」。保守政治のエッセンスを余すことなく語った二篇。 〈解説〉井上寿一
  • グレイのものがたり
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 絵描き一家にシベリアンハスキーの子犬がやってきた。愛くるしくも一家をふりまわす子犬時代、成長したある日の突然の発作、そして末期ガンを宣告されて……。絵描きとして、その「死」から眼をそらさない決意をした著者が、風のように駆け抜けた5年の生活をスケッチと文章とで綴る――大人気グレイシリーズ三部作、合本により待望の復刊。 〈解説〉小川洋子
  • 最後の御前会議/戦後欧米見聞録 近衛文麿手記集成
    4.0
    戦前、歓呼の声で宰相の座についた公爵は、終戦直後、戦犯に指名され自死を選ぶ。今なお歴史的位置づけが揺れ動く近衛文麿の思想の軌跡を綴った手記六篇「最後の御前会議」「平和への努力」「近衛上奏文」「世界の現状を改善せよ」「戦後欧米見聞録」「英米本位の平和主義を排す」を集成。〈解説〉井上寿一
  • 芸談 談志百選
    -
    「芸人」という名称に、芸事を演る人間は何故か惚れるのだ――。芸に生き、芸を愛した談志が「見事な芸人根性」を認めた百人を語る。志ん生、文楽ら噺家たち。ビートたけし、爆笑問題、ダウンタウンらテレビの人気者。若き日に惚れこんだ色川武大、森繁久彌。山藤章二画伯との名コンビで送る究極の芸人批評。〈解説〉立川志の輔
  • 雪あかり日記/せせらぎ日記
    5.0
    一九三八年、日本大使館の改築のためベルリンに赴任した著者。改築資材を求め奔走し、歴史的建築物を訪ね歩く日々だが、戦火は否応なく迫っていた。建設総監シュペールとの面会、ベルリン芸術週間――歴史の転換点に立ち会ったモダニズム建築の巨匠、若き日の記録。 〈解説〉堀江敏幸
  • 上海時代(上) ジャーナリストの回想
    -
    満州事変、第一次上海事変の余韻さめやらぬ昭和八年、聯合通信支局長に就任した著者はが、抗日テロ、西安事件、蘆溝橋事件、そして日中全面戦争へと至る六年間、上海を舞台に取材報道にあたりながら、内外に築いた深い人脈を活かし和平実現に尽力した歴史的証言。日本エッセイストクラブ賞受賞作。
  • 熱球三十年 草創期の日本野球史
    -
    なつかしき早慶戦の球音高々と響かせ、友愛の生涯を野球にかけた、明治・大正・昭和にわたる学生野球育ての親の回顧、指針の名著。

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  • 私の人物案内
    -
    芸術の各分野に広い足跡をのこした著者の洒脱な人物評論。柔軟な感受性と良識が、小林秀雄、三好達治、大岡昇平、近衛文麿、白洲次郎、吉田茂など一代の知識人たちの肖像を、エピソードを交えて的確軽妙に描く。

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  • 完全版 南蛮阿房列車(上下合本)
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    ただ汽車に乗るためだけに、世界の隅々まで、鉄道旅を敢行。遠藤周作、北杜夫、開高健ら、珍友・畸人を道連れに、異国の鉄道を乗りまくる。著者ならではの、ユーモアと臨場感が満載の漫遊紀行の歴史的名作。全20篇を網羅した完全版。
  • どくろ杯/ねむれ巴里/西ひがし(合本)
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    「とうとう来てしまったのね」「賽は振られたのさ」行き詰まった二人の関係を清算するため、詩人と妻は希望も計画もないまま日本を出た。上海、マレー半島、インドネシア、パリ――四年に及ぶ放浪の旅を綴った自伝三部作を合本。 『どくろ杯』 詩集『こがね蟲』で詩壇に登場した詩人はその輝きを残し、夫人と中国に渡る。長い放浪の旅が始まった。 『ねむれ巴里』 深い傷心を抱きつつ三千代夫人と日本を脱出した詩人はヨーロッパをあてどなく流浪する。自伝第二部 『西ひがし』 三千代夫人はひとりベルギーに残った。暗い時代を予感しながら、詩人は暑熱と喧噪の東南アジアにさまよう。
  • 百鬼園戦後日記(全三巻合本)
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    『東京焼盡』の翌日、昭和二十年八月二十二日から二十四年十二月三十一日までを収録。掘立て小屋の暮しを飄然と綴る。〈巻末エッセイ〉谷中安規、高原四郎、平山三郎、中村武志。〈解説〉佐伯泰英。

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