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長い別れ
酔っぱらい男、テリー・レノックスと友人になった私立探偵フィリップ・マーロウ。大富豪の娘との夫婦関係が破綻したテリーは、なんとか彼女と元の鞘に収まったようだったが、ある日、突然現われ、メキシコまで送ってほしいとマーロウに頼んできた。そして彼を送り届けて戻ったマーロウは勾留されてしまう。テリーには妻殺しの嫌疑がかっていたのだった。彼は自殺、マーロウには、ギムレットを飲んですべて忘れてほしい、という手紙が届く……。男の友情を描いたチャンドラー畢生の大作を、これ以上望むべくもない名手渾身の翻訳で贈る新訳決定版。/解説=杉江松恋 -
通り魔
街は女、秋は死の季節。闇は彼の親友、獲物は女だった――通り魔は夜の闇を身にまとい、女を襲った。「クリフォードはお礼を申します、マダム」これが彼の口ぐせだった。刑事たちの追求もむなしく、ついに殺人事件は起った……大都会の犯罪を追う警察官の悲哀をみごとに浮き彫りにした作品。 -
レディ・キラー
“今夜8時、レディを殺す。どうにかできるかい?”金髪の少年が持ってきた一通の手紙は、新聞の文字を切り抜いて綴ってあった。一見してホース刑事は誰かのいたずらだろうと思った。しかし、上司のバーンズ警部の命令は絶対だった――レディを探せ。その手紙を前にした刑事たちが奇異に感じたのも無理はなかった。だが、そのとき犯人は!? -
大いなる眠り
ハードボイルドの旗手チャンドラーの長編処女作。主人公の私立探偵フィリップ・マーロウはこれによって一躍、有名になった。マーロウは富豪の将軍の邸宅へ招かれる。将軍の次女カーメンが、賭博場でふり出した約束手形にからまる強請りの件で、その調査を依頼されたのだ。マーロウは張本人とみられるガイガーの家をさぐりに行った。だが、三発の銃声がとどろき、ガイガーは射殺されていた。踏みこんだ所はあやしげな秘密写真撮影の現場だった。次々に現れる不審な人物に加え、将軍家の長女の夫の失踪事件もからみ、事件はいよいよ複雑に。双葉氏の翻訳はその名調子で知られる。 -
過去ある女 プレイバック
まるで第一級の長篇小説のように面白い。 「生きていかなきゃならない夜がまだいっぱいありすぎる」――アメリカを逃れてカナダの港町ヴァンクーヴァーにやってきた謎に包まれた若い美女。彼女につきまとうジゴロ、ホテルのペントハウスに住む独身紳士、そして殺人課警視。彼女の部屋のバルコニーで発見された男の射殺体。悲劇的な女が投げこまれた花やかな、そして卑しい世界を、見事な台詞と小気味のいい展開で描いたフィルム・ノワールの逸品。 ユニバーサル社の資料室から発掘されたこの最終稿は、チャンドラー自らが「私が書いた映画脚本の中でも最高のひとつ」と自讃する。知られざる傑作を名訳で再刊したものを電子書籍化した。 丸谷才一はこの作品の初刊刊行時、〈これが文学でなくて何が文学か〉と題して、こう絶讃した(抜粋)。「いろいろな意味でおもしろい本だ。チャンドラー伝の一資料。彼の小説作法を映画性の側から考へるための重要な手がかり。フィリップ・マーロウのゐない物語をチャンドラーはどういふふうに作るか。しかし肝要なのは、このシナリオがまるで第一級の長篇小説のやうに楽しめるといふことだらう。……かういふ形でチャンドラーの作品をもう一つ読むことができるのは、幸せな話だつた」 -
田中小実昌哲学小説集成
田中小実昌 生誕100年記念刊行 『ポロポロ』から『アメン父』へ――。 幼少期、従軍、復員ののち東大哲学科入学。 米軍基地のアルバイトで暮らし、翻訳家、小説家となって後も、コミさんは哲学に関心を持ち続けた。 映画館への途中で、バスの旅で。カバンに忍ばせた文庫本に、文句と注釈をつけながらも読み続ける。 そんな日々が、いつしか「小説」となる……。 「哲学」「宗教」「小説」の三位一体のかんけいの謎を追究し、著者晩年の代表的シリーズとなった「哲学小説」を初集成(全三巻)。 第Ⅰ巻は『カント節』『モナドは窓がない』。 巻末に対談を付す。 (刊行予定) 2025年1月 第Ⅱ巻(『なやまない』『ないものの存在』) *第Ⅰ巻と同時刊行 2025年3月 第Ⅲ巻(単行本未収録短篇集) -
P+D BOOKS 香具師の旅
直木賞受賞作「ミミのこと」を含む名短篇集。 病気や飢餓をともに乗り越えた戦友・朝日丸と〈ぼく〉。戦後、朝日丸は浪曲師として有名になり、11人の原爆孤児たちを引き取って新聞にも載るが――。 「浪曲師朝日丸の話」と、耳が不自由で売春を生業としていたミミとの切ない純愛を描いた「ミミのこと」という第81回直木賞受賞作を中心に、夜の生活を拒否し、周囲にまったく気を使わない悪妻に嫌気がさして、かいがいしく世話を焼いてくれる女性との再婚を決意するが、その彼女が作った味噌汁の味に失望する「味噌汁に砂糖」、私小説的要素が強い表題作「香具師の旅」など、軽妙なタッチのなかにノスタルジーと深みを詰め込んだ珠玉の短編集。 -
プレイバック
私立探偵マーロウはある弁護士から駅に着くひとりの女を尾行し、その宿泊先を報告せよと依頼される。目的は知らされぬまま……。彼は列車から降りたった女を尾行するが、彼女は男につきまとわれ、どうやら脅されているらしい。ホテルにチェックインした女は、そこでも男につきまとわれていた。マーロウは依頼主の意思とは無関係に女の秘密をさぐろうと接触する。すると彼女は夜中に、バルコニーに男の死体があると助けを求めてきたが、マーロウが行くと死体は消えていた。何が起きたのか? この女は何者なのか? チャンドラーの実質的遺作!/解説=堂場瞬一 -
ほのぼの路線バスの旅
バスが大好き――。路線バスで東京を出発して箱根を越え、東海道を西へ、もっと西へ。山陽道をぬけて熊本、鹿児島まで。いい景色、いい飲み屋、いい人びととの出会い。ゆるり、ぶらり、ふらふら、コミさんのノスタルジック・ジャーニー。 〈巻末エッセイ〉戌井昭人 ■目次 バスが大好き 十年越しの東京湾ぐるり旅 東海道中バス栗毛 酒匂 小田原遠からず/行こか戻ろか 箱根のお山/ 右手に富士 左手に海を/京都三条は終着点 出発点 山陽道中バス栗毛 海の幸を供に山陽路をいく/ふるさとの山はかわってた/ おもいでの海に抱かれて 山陽道から火の国へ 海峡の橋をわたって/二十年かけて着いた南の町 あとがき 西へ西へとバスで 〈巻末エッセイ〉今でもバスに乗るたびに 戌井昭人