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5.0折口信夫(釈迢空)は近代日本にまるで奇蹟のように、古代の心、古代の詩歌のひびきを、鮮烈に蘇らせた歌人であった――。 短歌滅亡論を唱えるも、その真意は再生への願いであり、日本語の多彩な表記を駆使しながらつねに短歌の未来と格闘し続けた。折口が残した6冊の歌集に私家版・自筆選集、短歌拾遺、さらに関東大震災に直面し、短歌形式に収めることのできない苛烈な体験を詠んだ詩作品含めた、初の文庫全歌集。 「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」 生涯「旅びと」であった折口の姿が立ち現れてくる。 (目次) 海やまのあひだ 春のことぶれ 水の上 遠やまひこ 天地に宣る 倭をぐな 私家版・自筆選集 短歌拾遺 詩拾遺 解題 解説 岡野弘彦 略年譜 作品初句索引
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4.7水の音と共に闇の中で目覚めた死者、滋賀津彦(大津皇子)。 一方、藤原南家豊成の娘・郎女は写経中のある日、二上山に見た俤に誘われ女人禁制の万法蔵院に足を踏み入れる。 罪を贖う間、山に葬られた滋賀津彦と彼が恋う耳面刀自の物語を聞かされた郎女の元に、「つた つた つた」滋賀津彦の亡霊が訪れ――。 ふたつの魂の神秘的な交感を描く、折口の代表的小説。 折口信夫の弟子で折口学の研究者として著名な故・池田弥三郎氏による詳細な補注、さらには作品執筆のきっかけとなった『山越阿弥陀図』および『當麻曼陀羅』をカラー口絵に収録。『死者の書』の決定版。
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4.2
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4.2民衆の紐帯であり自然の宝庫でもある社(やしろ)の破壊に反対する、南方熊楠の画期的論考「神社合祀に関する意見」。 伊良湖岬の浜辺で目にした椰子の実から日本人の来し方を想起する、柳田國男「海上の道」。 後に中将姫と呼ばれる藤原南家の姫君と、非業の死を遂げた大津皇子の交感を軸に綴られる、折口信夫「死者の書」。 近代女性の生き様を活写する「海女たち」「出稼ぎと旅」「女工たち」ほか、宮本常一「生活の記録」。 神話、伝承、歴史、生活、自然など、日本のすべてを包摂する厖大な文業から、傑作29篇を精選。 【ぼくがこれを選んだ理由】 民俗学は文学のすぐ隣にある。 南方熊楠の鎮守の森を擁護する論は今のエコロジーにつながっている。 柳田國男と宮本常一の論考を連ねると、正面から描かれた近代日本人の肖像が見えてくる。 折口信夫はもうそのまま文学。読んでいると古代の日本人とすぐにもハグできるような気持になる。(池澤夏樹) 解説=池澤夏樹 解題=鶴見太郎 月報=恩田陸・坂口恭平
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4.0時は八世紀半ば、平城京の都が栄えた頃。いずれ氏神に仕える者として、館の奥深くで育てられた藤原南家の娘――郎女は、ある年の春分の日の夕暮れ、荘厳な俤びとを、二上山の峰の間に見て、千部写経を発願する。一年後、千部を書き終えた郎女は、館から姿を消し、ひとり西へ向かう。郎女がたどり着いたのは、二上山のふもと、女人禁制の万法蔵院。結界破りの罪を贖うため、寺の庵に入れられた郎女は、そこで語り部の姥から、五十年前に謀反の罪で斬首された滋賀津彦と耳面刀自の話を聞かされるのだが――。第18回文化庁メディア芸術祭[マンガ部門]大賞「『五色の舟』(原作:津原泰水)」 受賞後第一作! 日本民俗学を築いた折口信夫の傑作小説を、初読四十年にしてついに漫画化。古代へと誘う魂の物語。
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-マレビトやヨリシロなど独創的な概念を通じ、古代の人々の考えと生活を明らかにしようとした折口。民俗学、国文学、芸能史など、既存の学問分野を超える思想を一冊で。
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-「優れた著作である、というより怖ろしい力を秘めた本である」――三浦雅士(新版解説) あるものを発生させる力というのは、その発生自体が目的で終息するわけではない。発生した後もその力は一つの傾向を保ち、発生させたものの変化を促し続けるのである――。古代人が諺や枕詞、呪詞に顕した神意と神への信頼を、折口は「生命の指標(らいふ・いんできす)」と名づけ、詩歌や物語の変遷を辿りながら、古代より脈打つ日本文学の精神を追究する。生涯にわたり書き改め続けた貴重な論考。 解説・井口樹生/三浦雅士 (目次) 詞章の伝承 文学様式の発生 律文学の根柢 声楽と文学と 小説戯曲文学における物語要素 文学と饗宴と 異人と文学と 翁舞・翁歌 日本文学の内容 日本文学発想法の一面――誹階文学と隠者文学と 笑う民族文学 追い書き 解説「日本文学の発生 序説」の課題 井口樹生 新版解説 凝視と方針 三浦雅士 著者略年譜
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「かの人の眠りは、徐かに覚めて行った」。都が平城京にあった時代、藤原南家郎女は彼岸の中日、二上山に俤びとの姿をみる。果たして、かの人はその昔罪なき咎で命を奪われた尊い御仁であった。やげて郎女は千部写経の成就に導かれ、亡き人の魂を慰めようとするのだが…………。 人の世と神の世を行き来する姫と、亡霊となった大津皇子との魂の交歓を描いた物語。本作は国文学者、歌人として有名な折口信夫が奈良の当麻寺に伝わる伝説に着想を得て書き上げた物語。