
SAKURA さくら 桜さんのレビュー一覧

レビュアー
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称徳天皇の治世は国にとっても、皇室にとっても「分岐点」だった。もしも阿倍(称徳)の思いが実現していたら、令和の今の皇室はどうなっていたのか…。その時代を生きる者達の思惑、そして脈々と継がれてきた「天皇」という存在を、侵してはならない神聖なものと捉えていたのもあって、到底受け入れ難いものだったのだろう。そんな中、神託の真偽を確認し、それを伝えた清麻呂は何を思っていたのか…。結果、阿倍の思いは潰えて、今まで阿倍の(聖武の)血筋を守るのに躍起になっていた藤原氏は称徳の崩御後、一転して聖武の血筋を徹底的に排除する方向へ。そして皇位は阿倍も予想しなかったであろう天智天皇の系統へと…。阿倍の崩御から皇統交
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そういう事か…!
因縁のある佐々木君が再び木戸家へ…。心を痛めつつも、慎太郎さんへの愛を胸に彼を許す麻子の懐の深さに感動。(慎太郎さんはまだ許してない様子だったけど) 一方で、えい子との件にも新展開が…。前にえい子と慎太郎さんとの写真見た時は「えっ?」と思ったけど、今回の佐々木君の回想シーンと、麻子の「子を認知しよう」と言った時の、慎太郎さんのキョトンとした表情、そしてえい子と見知らぬ男性とのロケットの写真…。「そういう事…!」と全てが繋がった。次回は慎太郎さんが何故親子を援助してたのかが明らかになるのかな…。(今回は色っぽいシーンなしだったんで、ちと寂しい…って思った不埒な自分w )
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完結編…。
「とうとう来てしまったか…。」史実辿ってわかってはいたけど、やっぱりやるせない。長屋に皇位への野心がなかったにせよ、その地位が、存在自体が藤原の脅威になったが故の悲劇…。でも理不尽に排除しようとすれば、その代償はいずれ払う事になるのは今でも同じ事。長屋の末路が本編の通りかはともかく、その後疫病の流行や内乱等があったのは事実。まさに因果応報とも言うべき代償を藤原4兄弟だけじゃなく、首(聖武)も払う事になった…。それにしても、氷高の言う「真実の歴史」は令和の今にどのくらい伝わっているんだろう…と考えずにはいられない。後に起きた事件を機に長屋の名誉は一応回復された様だけど、それでも長屋や吉備ら犠牲に
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まさに春の訪れ…
前巻までの展開で、ある程度ウヌとヒョンの明るい未来を予感させてたけど、最愛の人・ウヌの為に、彼女への待遇や後宮の有方を、反対派に反発の暇を与えず改革をしてみせたヒョンの鮮やかさ。有言実行する事で、生涯ウヌへの愛を貫く事を公言したんだね。ウヌもまた変わった。ヒョンが受けた傷を見て、彼を貶めようとした者達に激怒。かつては自分を苛めた女官達を庇う程寛大だったウヌが…。でもそんなウヌの優しさに触れ、相手を思いやる事を覚えたヒョンがそれを宥めて…。そうやって冬の吹雪のように荒れた中で生き、愛を育んだ二人にようやく春が訪れた…どうか幸多からん事を。
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十市皇女というと、額田王の娘であり、権力争いに翻弄された悲劇の皇女…というイメージだった。それと夫である大友皇子と高市皇子との三角関係に揺れていたとも…。万葉集にある挽歌から、高市が十市に恋愛感情を持っていたんじゃないかとは思っているけど、一方で大友とは本当に形だけの夫婦だったのか…?と疑問だった。この本を読んで、本当は十市と大友の仲はむしろ良好だったんじゃないかという思いが強くなった。その後の天武朝での十市の様子や、彼女に仕えていた侍女の歌から、十市は正直生き甲斐すら失っている状態だったのでは…と思えたから尚更…。(十市の急〇も病気というより自〇の可能性大だし) とはいえ、それが事実だとし
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これを読んで思ったのは、人間にとっての罪の線引きは難しいという事。一見正しいと思ってた事が犯罪だったり、大丈夫だと思ってした事が犯罪の元になってたり…。この本の物語でも、実際軽犯罪にはなるかな…とも思える物もあるので、どこまでを罪とするか本当に至難だ。それにしても、それぞれの想い人にそれを暴かれるとは…。(しかも、館シリーズでお馴染みの男性陣)この4人に共通するのは、名前が似てる事と(姉妹じゃなければ、血縁でもないのに驚)、その想いが実らない事。(相手が妻帯者だったり、他に本命がいたり) ともあれ、彼女達が罪とどう向き合って行くか、その行く末が気になる。
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必然の出逢い…だったんだな
木戸さんと麻子の馴れ初め…って、妹のひろ子の縁談が持ち上がる以前に、二人は出逢っていたとわかり、まさに「必然の出逢い」だったんだな、と思った。父親との確執、犠牲になった者達、生まれついた家を呪いたくなる程、投げやりになっていた木戸さんだけど、今でも変わらぬ優しさと強さを持つ麻子の存在は、空虚だった彼の心を埋めていった…。たぶん、木戸さんはこの時から、麻子が自分同様、親の愛に恵まれていない事を察してたんだな…で、結婚の際、麻子の家を訪れ、それを確信したんだと…。出逢うべくして出逢った二人…その想いが全てを好転できますように…。
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この時代(奈良時代)は、一様に「天皇中心」「中央集権国家」と言われるけど、現代と形に若干差異はあっても、実際は「国の象徴」だったのかな…と思った。天皇になった阿倍も、皇太后である母や臣下である仲麻呂らの言いなり…というか、直接政事には関われない様だし…。私的な事も含めてそれが追い詰められる結果になろうとは…。阿倍自身も「これでいいんだろうか…」天皇として、人間として存在する意味を探ってたところに、「運命の人」道鏡との出会い…。(この時の阿倍はまだ気づいてないが) 阿倍がこれからどう動くのかの伏線なのだが、何か阿倍がその時その時の感情に流されてる様な気がしないでもない。
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私が阿倍(孝謙・称徳)について思ってたのは、彼女がどういう女性だったのか…という事。将来天皇となるが故に独身だったのと、後継ぎに恵まれなかったのは史実の通りだが、本当に異性と関わる事はなかったのか、恋愛をした事がなかったのか…。まあ資料(公文書)には、私的な事(特に恋愛)は殆ど書かれる事はないので、真実を明かすのは至難だろうけど、私はきっと資料には書かれない(書くわけにはいかない)ものもあったんじゃないかと…。だから本編のような展開も、そういう点ではありかな…とは思うけど。それはさておき、「恋は盲目」というだけに、阿倍の今後が本当、気がかりだ。
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本当の想いは…?
今まで、額田王のいた時代の(飛鳥時代)の小説や漫画を幾つか見てきたけど、殆どが当時の資料や有力説を元にしていた。でも元にしたものには、今でもそうだが、私的な事(特に恋愛)は資料に書かれない場合が多いし、ましてや当人の本心を推し測るのは難しい…。そういう点から私がいつも思ってた事…「額田が愛してたのは、大海人か中大兄か、それとも…?」だった。まあ、どんなに紐解いても額田の本当の想いは想像するしかないのだけれど…。実は別の作品で額田が鎌足を選ぶ(!)という展開のがあったのだが(とはいえ、真情を隠す為の口実だったんだけど)、それとも違ったストーリー展開に目を見張った。「こういう見方もできるんだな…」
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古代史は、遺された資料が少ない分謎が多い。この作品にしても、令和の今でも明かされていないものも存在する。長屋は血筋に恵まれ、皇位に最も近かったのに何故天皇にならなかったのか。何故〇ななければならなかったのか。親王待遇だったのに何故「長屋王」なのか…。枚挙に暇がないが、最後の阿閇から氷高への譲位も謎の一つ。かつて持統天皇が孫の文武天皇に譲位する為に即位し、阿閇がそれに習ったのなら、何故直接孫の首じゃなく、氷高を経由したのか…疑問だったので、この作品を見て「なるほど…あり得る!」と思った。この時代の資料にしてもそうだが、書き残すのはほぼ勝者側か当時の権力者だ。だからどうしても敗者側のは抹消されるし