あらすじ
養い先の家で惨い仕打ちを受け家を飛び出した孤児の飛鳥は、青年・祐也に助けられ彼の元で育てられる。育ての親である祐也への愛を、飛鳥はひそかに募らせていく。そしてある日、殺人事件が発生したことから飛鳥と祐也の運命は大きく動き出す――。情感溢れる筆致で少女の想いをみずみずしく描き 、北海道を中心に一大ブームを巻き起こした珠玉の名作。
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Posted by ブクログ
とても綺麗な文体で、また植物や雪に対する表現もまるで生きているかと思わせる雰囲気だった。
身寄りのない飛鳥ちゃんを引き取って育てるあげた祐也さん。
独身の男性一人で、育てるのはどんなに大変だっただろう。
でも、投げやりな人生の中で、飛鳥ちゃんの存在はどんどん大きくなっていったらしい。
お互いがお互いを必要としているのに、なかなか向き合えなくて
ハラハラしたけど、やっと向き合えた時はホッとした。
Posted by ブクログ
所蔵は講談社文庫なのですが、2008年に復刊されたこちらをアップ。
この『雪の断章』から始まり、『わすれな草』『花嫁人形』と
企業のお家騒動に巻き込まれた3人の従姉妹の愛の物語です。
そんな中でこの作品は、3部作の最初の小説としても読める
けれども、ひとつの独立して完結している小説として成立
している気がする。それは企業のお家騒動についてほとんど
触れられていないし、二人の従姉妹については全く触れられて
いないから。
それでも他の2作品を読むと、主人公の飛鳥の愛する滝杷青年
の存在が、全く違った角度でみられるところがおもしろい。
手元にある本はもう18年、繰り返し読んでぼろぼろだけれど
きっとこれからも所蔵しつづけるだろうと思う。
必然の出逢い…。
養家を飛び出した飛鳥を待っていた『運命の人』祐也さんとの出逢い。お互いに雪が好きだという二人が共に暮らし始めていく内に、互いを大事な存在だと気づいたのに、殺人事件や様々な誤解から、想いはすれ違っていって…。「雪の恋はどのような模様を織ってゆくのだろう」そう思いつつ読んだ。何があろうと自分の本心に嘘はつけない。心のままに生きる事こそが幸福への糸口。二人が結ばれるのは必然だった。失ってしまったものもあったが、心から祈りたい。飛鳥と祐也さんの二人に、幸多からん事をー。
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初めてこの本に出逢ったのはもう何年も前。しかも「いらないからあげる」というカタチで手にした本。古い本で最初読むのに躊躇したがどんどん惹きこまれていった。ミステリー的な要素も含まれているが基本的には純愛小説だと思う。
復古調なコトバがわたしはダイスキ。
何度も何度も読み返している愛読書のヒトツ。
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佐々木丸美さんは,青春時代に夢中になって読んだ作家さんです。
一つ一つの物語は独立していますが,大きな関連性を持っています。
作者が途中で筆を折られたのが残念でなりません。
いつ読んでも新たな発見が得られる,私にとって宝物のような小説です。
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再読。何度読んでもぐいぐい引き込まれていく。ついにはこの世界から抜け出せなくなるのではないかと思うくらいにのめりこんでしまう。雪の描写が物語を一層引き立てて美しい。この本から始まる孤児シリーズ、館シリーズもまた読み返してしまった。著者が亡くなったことが本当に残念。
Posted by ブクログ
復刊されたんですね。手に入らなくて苦労された方も多いはず。
味戸ケイコさんの表紙が書き下ろしということでほしいなー。
未発表の草稿もあるらしいです。たとえ1頁でも佐々木さんの書いたものが新しく読めるなんてうれしいです。
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---裏切りがあるから信じ、崩れるから積むのでしょう、溶けるから降るように。
心にじんと染みてきた言葉でした。響きの流れが美しい言葉でもあります。
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「森は生きている」を重奏低音のように.孤児の飛鳥が祐也と出会って生きて行く.無慈悲な権力の権化としての本岡家の存在が,少しご都合主義的ではあるが,祐也の親友史郎の存在や飛鳥の親友順子の関わりが真摯で誠実でとても好ましかった.最後はハッピーエンドだと思いたい.
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映画化された作品なのですね。
腕時計を買ったり演奏会に行ったり迎えに行った相手は誰だったのか?そこはスルーなんですね~~
私はそこが気になるんだけど。
Posted by ブクログ
相当古い本なのに古さを感じさせない描写。(”ベーゼ”には若干古さが)
男性はあまりに美化されている感じがするが、女性の描き方、
分析の仕方はすごい。特にトキさん。死ぬまで女は女だ。
一方順子や厚子さん。こういう潔い女性がこの時代にもいたのか・・・
飛鳥が不幸になるのだけはイヤだったので(彼女は決して好きな
性格ではないが)最後までハラハラしながら読んだ。
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芯の強い美しさを感じさせられる作品。ややミステリ部分もあるけれど、メインは一人の少女の愛の物語。愛、とはいっても甘ったるくはなく、案外とシビアです。それこそ降りしきる雪のイメージでした。
ラストの展開は予想はついたけれど、怒涛だなあ。そしてまさかあの人があんな方法を選んでしまうとは! 後味は悪くはないけれど、なんだかやりきれない……。
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むかし、学生の頃読んだ本。
その時は行間とか読めなくてなんかもどかしく思った。
今おとなになって読み返してみて
行間を読めるようになったのかといえば…
どうなのかなぁ?
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『雪の断章』は大学時代の友人だったSさんに借りたんだっけ。
このSさんは、その当人がもう『雪の断章』に出てきそうな儚げな雰囲気なのね。抜けるように白い肌を持ち、色素の薄い茶色の瞳をいつも潤ませているという顔面のお人でした。しかも背が145cmぐらいしかないの。どこの萌えキャラだよお前ぇ。うーん、思い返すとキャラとしては萌えるなぁ。
で、そんな彼女のお悩みはその儚げな外見に惹かれて、街灯に群がる虫のように純朴な男どもが寄って来ることで、「友達と思っていた人がみんな告白してくる…」なんてよく潤んだ瞳で相談されたものでしたが、私は心の中では「それは君の顔が悪い!」とか思ってました。ゴメンナサイ。
ちなみに私は彼女に会う前に別の人を好きになっていたので、Sさんにとっては珍しく無害な男だったようです。私の方の浮いた話は早々のうちに木端微塵に砕け散りSさんとの近しい関係だけは残ったのですが(ゼミも一緒だったし)、もうその頃には彼女との友情は恋愛によって失うリスクを背負うには対価の合わないものに育っていたので、私は自分に何の変化ももたらさずに卒業による別れを迎えたのでした。
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けなげな主人公の頂点ですね。
小学生低学年あたりから引き取って育ててくれた親代わりの青年(当時。今は何才だろう…30後半?)に恋をした主人公が、隠して押し込め通してきた想いについて「私はあなたに育ててもらいました。だから言えません」と言う場面がものすごく好き。
でも好きなのはその青年の親友だったりするマガリです。
Posted by ブクログ
06年マイベスト7位。
孤児の飛鳥は、青年祐也に助けられ彼の元で育てられる。祐也への愛を密かに募らせていく飛鳥だったが、殺人事件が起こり…。北海道を舞台にしたミステリーとしても恋愛小説としても楽しめる作品。
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シリーズ復刊第一弾です。佐々木丸美さんの本は何度も読み返しているので、すっかりくたびれてしまいました。年季の入ったそれもいいですが、綺麗な単行本が手に入るのはうれしいです。
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孤児四部作(『雪の断章』『忘れな草』『花嫁人形』『風花の里』)の一作目。
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『ビブリア古書堂の事件手帖2-1 扉子と不思議な客人たち』で本書を知った。
登場人物の志田の好きな本が『雪の断章』。
志田は、「面白いって感じるのは同じでも、自分一人で読んでいたい本と、他人に薦めたくなる本の二種類があると思うんだよな。」と言って、『雪の断章』を古書店で見かける度に買って、まだ読んでない人にプレゼントしている。
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孤児が、引き取られた家でこき使われるも、運命的な出会いがあり——と、最初は読みながら少女漫画みたいだなと思った。
初出版が1975年で、使われてる言葉や登場人物の言動に時代を感じた。
裕也にも史郎にも飛鳥にも「なんでよ」といっぱい思うところがあった。
飛鳥が裕也至上主義になってしまうのは、その境遇から仕方のないことだけど、裕也は、保護者というならば、ゆくゆくは手を放し外の世界を見せてやるべき。
でも、それは中退して史郎と結婚することじゃないよ。
言う事聞くかは別として、「短大は卒業しなさい」と言ってあげなくちゃ。
飛鳥から言え、は言わせてるのと同じこと。選ばせてない。
せめて、一度離れてもなお――とかならなぁ。
けど、正しいかどうかではないんだろう。
史郎は、途中で薄々わかってしまうので、飛鳥にとって良い理解者であればあるほど心が痛んだ。
『森は生きている』は好きな物語だ。
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主人公は好きになれないけど、友だちの順子や、厚子、史郎さん、管理人のおじさんなど、周りの人々がとても魅力的でした。「森は生きている」が土台にあるのも良かったです。大好きな人は1月の精。最初から最後まで、切なくも美しい雪景色でした。
Posted by ブクログ
佐々木丸美作品初読み。
映画は見ていたので若かりし頃の斉藤由貴&榎木孝明&世良公則が脳内を疾走(笑)
名前も違うし、人物設定も多少違っていたり、実は重要な役目の人物が出てこなかったり。
小説では飛鳥の心の動きが重視されているのに映画はどちらかと言えばミステリーよりの斉藤由貴のプロモーション映画チックな感じが否めない。
いい男二人に囲まれるヒロインが羨ましいのはどちらも同じだけど(笑)
しかし、史郎の殺人の動機が理解できないわ。。。。
Posted by ブクログ
孤児である主人公が養女にと出された先でこき使われ
反抗し、自力で保護者を捕まえる話…でしょうか?w
あまりのこき使われ方に、リアリティがないな^と読んでいたのですが
ふと思い当たって発行日を見てみたら55年…。
この時期ならば、この状態は当然かもしれません。
最初に貰われた先の姉の方が殺され、その容疑が主人公に。
それを忘れたかのように日常は進みますが
ふとした時にひょっこりと話が顔を出してきます。
犯人は誰なのか。
周囲の偏見と確執と友情は?
そんな風に進んでいくのですが、文章が説明文のようで
正しい事を言っているけれど、それはちょっと…と思うような所も多々。
淡々とした説明文が苦手な場合、お薦めできない文章です。
Posted by ブクログ
孤児の飛鳥の、愛の形。
切ないほどの人を想う心、自分の足で立とうとする飛鳥の願いは痛いほど。
舞台が自分の住んでる街なので、雪の光景などありありと分かるのも素敵でした。
ただ、どうしても会話の不自然さが気になる…。
小説の地の文そのままのような、理路整然とした言葉で話す登場人物には
人間らしさをあまり感じられませんでした。
ストーリーや情景は好きなのだけど。
あと、味戸ケイコさんの絵は大好き。