あらすじ
『修羅の門』『修羅の刻』『海皇紀』‥稀代のストーリーテラー川原正敏最新作は、紀元前中国が舞台。
秦末の動乱期に覇を争った項羽、そして劉邦の生きざまを描き出す歴史絵巻。
主役には天才軍師・張良を据え、偉丈夫達の興亡を紡ぎだす!
劉邦 対 項羽の戦いは、次なる展開へ!
范増の死を知り、矛先を劉邦に定めた項羽は
十万の兵を率い、劉邦軍が留まる成皋へ奔る。
項羽打倒へ向け、鬼道の策を実行に移す張良は
項羽軍との直接対決‥「野戦」を決める‥‥?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
成皋を急襲する項羽と脱出する劉邦の二十巻。
久々の無双する項羽と、無双する窮奇。
今を勝利するための項羽と、明日勝利するための窮奇という対比になるのか。
成皋戦でのMVPは、盧綰ではないでしょうか。
何かと張良のやることにケチをつけてくるという役回りの劉邦の悪友。小心者というか、縄張り意識が強いというのか、劉邦との関係において、自分が一番でいたいという感情なんでしょね。
その盧綰の見せ場は、全軍迎撃の号令をかける場面。
「迎撃」のルビが「けえけき」になっています。いや、芸が細かい。
この場の最高位という責任、対するは無双の項羽。その重圧による声の裏返りです。
いいねぇ。普段あんなでもいざとなるとバシッと決めます、という人物かっこいいけども、盧綰のようにかっこわるいのもいいですよ。盧綰は本気だから、またいいのです。真剣にやった結果が、みっともなくなってしまった。
人間味があっていいじゃないですか。