あらすじ
高校時代からの片想いは、七年ぶりの再会により一瞬で幻滅に変わった――それでも宇喜多真里奈は、桜川九郎とともに事故物件が疑われる家へと赴く。しかし、そこで待ち受けていたのは死体でも幽霊でもなく、哀しき恋を抱く妖怪・ろくろ首の女性だった――…
妖怪×人間――異類婚姻譚、ふたたび。「まるで昔話のような」、完結まで収録!
一話完結の番外編「木製だから大丈夫」も収録!
感情タグBEST3
まるで昔話のような、完結
途中まで切ない純愛エピソードか?と思っていたけど
被害者の亡くなり方を知った時の反応が、まるで被害者を責めているようで
違和感を覚えていたら案の定どんでん返しが…
宇喜多さん、とても良いと思うのですがやはり九郎先輩は岩永嬢から逃げられない様子…
番外編を見る限りまだ宇喜多さんも諦めてはいないようなので
再登場に期待したい
匿名
餃子2
前巻から続いて餃子チェーン店の話で半分を占める。女というか、ろくろっ首の執念は恐ろしい。
しかし、九郎は・・・・・身近(元・恋人、現・恋人、とても縁の深い従姉妹)な女以外は何故か、巨乳と縁がある。
Posted by ブクログ
ろくろ首の葵と良助のエピソードは印象が二転三転するミステリ然とした内容だったなぁ…
82話で描かれた内容は『雪女のジレンマ』を思い起こす要素と見え、異類婚姻譚として申し分のない逢瀬と思えた
なのに真相と共に明かされるのは、ただの妖怪を恐れる人間、人間を祟ろうとする妖怪という昔話として嫌な意味でよく聞く話
というか、葵の正体がバレてしまった時に良助の中から愛情よりも恐怖が勝り、良助の裏切りを知った時から葵の中で愛情が消え去ったというのは哀しくは有るのだけど、それによって二人が辿ったのが復讐であり計画殺人だった点も併せて『雪女のジレンマ』とは別の意味で人間と妖怪が共に生きる難しさを見た気がするよ…
『雪女のジレンマ』では探偵役の琴子はあくまでも解決策を授けてくれる脇役のようなものだった。お話の最後に現れて同行動すべきかを示してくれる
けれど、本エピソードにおける探偵役は九郎であり、既に良助が死んでいる以上は解決してやる真相も助けるべき相手も無い
だから、そんな彼が動くとしたら、それこそ彼女である琴子の為となるわけか
葵の言動やこれまでの証言に違和感を覚えていたのに踏み込まなかった彼が琴子の役割が見えた途端に動き出す。九郎の姿は彼氏然としているというより、琴子の見えない場所で彼女の安らぎを守る為にどれだけ苦労しているかが見えるかのようだったよ
だというのに、琴子はあっさり動いてあっさり事件解決の手筈を整えていたわけか
九郎は琴子が安らぐ為に、琴子は九郎といちゃつく為に。似ているようですれ違う理由の下で行動する二人は確かに恋人然としているね。ただ、このすれ違い感が今度どうなっていくのやら…と思わなくもないけれど
お似合いかは微妙だけれど想い合っているとは確実に判る
そんな二人を前にすれば真里奈に出来る事なんて何もなくて
この時、真里奈が負け惜しみを口にしたのはせめてもの強がり、または己を奮い立たせる為かと思ったのだけれど、どうやら作者後書きによると『すっぱいぶどう』を意識した表現だったようで
そうするとまだまだ吹っ切れてないのかぁ…という点に彼女が九郎と体験した昔話の後遺症は大きいのだな、ななて思ってしまったよ
ただ、それでも真里奈が「気味が悪いと思わないよ」と言ってやれたのは、己が人間か怪しく人生に展望を見出しているか曖昧な九郎にとって、せめてもの意味ある行動となったのではないかと期待してしまうが……