【感想・ネタバレ】おれは一万石 : 2 塩の道のレビュー

あらすじ

深刻な東北の飢饉に比べればましだったが、高岡藩でも例年の七割ほどの米しか収穫できなかった。百姓を搾り上げることで急場を凌ごうとする国家老に正紀は反対するものの、新たな財源は見つからない。これでは藩政改革どころの話ではなかった……。待望のシリーズ第二弾!

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不器用な武士、大事業を為す

高岡藩主井上正国の後継ぎとして正国の娘と結婚した竹越正紀であった。
新婚であるにも拘わらず、正紀は藩の内情が厳しいことに考えを巡らせるのである。米の不作で藩財政逼迫の状況を何とか助けたいと考えた。とは言え、17歳の若さはどう見ても未だ半人前だ。また、以前利根川堤防の補強のため領地の小浮村を訪れたものの、正紀は高岡藩について詳しくない。正紀が想い描いたのは、利根川を利用する弁財船の中継地として河岸場と納屋の建設であった。

ただ、事業を始めるには段取りが必要だ。見積もり費用や施工者の選定、工事期間、施設の規模と図面、需要の確保など、予想しなければいけない事が山とあるだろう。しかし、正紀は元より江戸藩邸内の家老や中老までまるでそれに考えが及ばない。
侍というのは何んとおおらかなものだと思う。

物語は、江戸の塩問屋伊勢屋の萬太郞が、通り掛かりの醤油問屋武蔵屋の前に積まれた醤油樽が崩れ、下敷きになって亡くなる。伊勢屋は瀬戸内産の下り塩を仕入れて、商いは江戸市中の他、遠く北関東の上野、下野、常陸に販路を持った江戸でも屈指の大店である。
伊勢屋は、登録外の流しの杵造が持つ船を使い、塩等を常陸に運ばせた際、船が行方知れずになり荷物を掠われた。その時以来、伊勢屋の経営は行き詰まり、金貸し大和田屋から借金をするのだが、商いは元に戻らず借金が膨らみ、この返済の為に萬太郞が金策に歩き廻り、遭遇した事件だった。
高積み見廻り与力で正紀の友人の高野辺は、この事件が事故ではなく殺人の疑いがあると判断した。そして背後に同じ塩問屋都倉屋と大和田屋が伊勢屋の身代を乗っ取る企みを暴いたのである。
行徳の塩製造桜井屋の隠居長兵衛が萬太郞の話しを聞き及び、江戸に塩問屋の進出を計画していた。これが幸いして、伊勢屋は桜井屋にお店の権利などを長兵衛に譲渡して、その代金で伊勢屋は借金を返済した。
また、正紀も河岸場の建設を長兵衛に話したところ、長兵衛は快く納屋の建設を引き受け、荷物保管場所として利用することを約束すしてくれた。
土地の工面も、小浮村の農民が1000坪を10両で譲ってくれることになり、納屋建設に向うことになった。
正紀が荷物の搬入の際にも、乱暴狼藉に遭い苦労の連続であった。

こうして物語を読むと、正紀の事業が成功裏に成し遂げられたとは言えない。その辺りを作者が上手く描いていると感じた。

#笑える #切ない

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2026年01月30日

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