あらすじ
シェイクスピアの文学的造語の和訳の研究において日本を代表する研究者・剣持教授。彼の講義は高レベルであるが故か受講者は現在、出来の悪い生徒・出口のたった一人だけ……。Y大経済学部教授、柳沢良則。道路は右端を歩き、横断歩道以外で道を渡らない。安くてうまい"あじの開き"のためなら、足を棒にしても歩きつづける。本書は、道路交通法を遵守し、自由経済の法則に忠実な学者の、克明で愉快な記録である。
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Posted by ブクログ
道路を歩く時は常に右側、夜9時就寝厳守、ある意味ストイックな経済学者・Y大教授柳沢良則の日常を綴った作品。
最初の数巻は教授のカタブツさを笑い飛ばすエピソードが主体でしたが、徐々に教授のピュアな目を通して様々なキャラクターの生き様を描くハートフルな路線に変わってきました。僕の愛して止まない1作です。
お気に入りの巻をどれか1冊紹介しようとして、どれにするかとても悩んだのですが(でも楽しかったです)、やはり11巻を。
「あなたを知りたい」「オーロラ姫の眠り」「女王の帰還」「ソネット83番」「夫婦の音色」「夏の思い出」「遠きロマンス」…1つとしてハズレのない、とにかく豪華なラインナップですね。
中でも大好きなのが「オーロラ~」。人の「死」に初めて触れた華子ちゃん、あえて触れさせた教授、そして森田さんの妻へ向けた想い。全ての描写が驚くほど濃密で、1ページごとに切なくなります。
Posted by ブクログ
華子とお葬式に行く話は反則。電車の中で泣きそうになった。
あと、文学部教授とまじめで不器用な学生の話も良かった。豪徳寺のショパン、奥さんのピアノ……この巻のエピソードは柳沢教授のいいところが詰まっている。