【感想・ネタバレ】狼と香辛料XIX Spring LogIIのレビュー

まさかの商業ファンタジー、楽しみながら貨幣経済や商取引が学べてしまう恐るべき(?)ラノベ!
中世ヨーロッパ風の世界観というと様々な作品がありますが、本作はメインとなる要素がかなり異色。主人公は25歳の行商人ロレンス、武器とするのは商人としての知恵や経験、発想力や交渉術とバトル要素はまるで無し、剣も魔法も使いません。
商人なので勝負事は商売関連なのですが、これがまたどういう訳か物凄く熱い!
騙し騙され裏を読んで裏をかく……全霊を掛けた商売の駆け引きはバトルにも負けない緊張感があるんですねー。
ひょんなことから狼っ娘ホロと旅することになるロレンスですが、この狼っ娘が侮れない。
少女の姿ながら数百年を生きる賢狼で知恵も機転も凄まじく行く先々でロレンスはもちろん歴戦の商人達も唸らせます。しかし普段は飄々としつつ時折弱さや儚さを見せることもあり……二人の行く末にも注目です!
緻密なストーリー構成で推理モノや裁判モノに通じるハラハラ感とカタルシスがあり、それでいて文体はとても読みやすい本作。ラノベを敬遠する人にもぜひ読んでもらいたい一作です!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年06月10日

 短篇集。コル視点の「狼と甘い牙」、ホロ視点の「狼と香辛料の記憶」など多様ではあるが、シリーズ本編完結後の物語ということもあり、飽きが訪れるのは避けられない。
 特に「狼と香辛料の記憶」では、平凡な日々の繰り返しが記憶に残らずに流れていってしまう不安がホロを襲う。彼女のような特殊な環境にあらずとも、...続きを読むじりじり追い詰められるだけの受け身生活を送っている自分にとって無関係のテーマではない。

 こうした不安の中でまず考えるのは、やはり何かイベントの発生により生活に刺激を与えることだろう。作中のホロのように、ハンナの登場で夫と一悶着・・・とか、なるほど分からんでもない。自分から新しい世界にどんどん踏み込んでいくのは、こと若いうちは絶対に重要なことだと思う。
 しかし、そうした手段とはちょっと違う方向で物語が収まっていくのがこの小説の魅力なのかもしれない。双方の静かに燃える愛情が素敵ですき。終わり方はちょっと陳腐だけど、それはそれで。

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