あらすじ
己の内に「幻獣・キマイラ」を秘めた2人の青年を描く著者渾身の大河伝奇小説。2人を救うためには、まず、キマイラ化とは何かを知らねばならない。なんと明治時代、中国は西域でそのキマイラと対峙し、腕を切り落とした青年がいた。その腕と、その秘密を明かす曼陀羅絵を巡る熾烈な争奪戦の末に、それらは、ようやく日本に持ち込まれることになる。
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Posted by ブクログ
父勘介の死から中国大陸を渡り歩くことになった馬垣勘九郎は、橘瑞超や吉川小一郎の探検隊と巡り合う。それから出合った幻獣との闘いで獣の腕を勘九郎が切り落とし、橘瑞超が持ち帰ることになる。キマイラの腕は、再び勘九郎のもとへ来るが、すぐに九鬼玄造へと渡る。ここまでの話を丁寧に語るために、馬垣勘介・勘九郎の父子から始まり、前田光世、周礼文、徐分強、王洪宝、ハッケンシュミット、そして、橘瑞超、吉川小一郎、ついに、グルジェフ、アレクサンドル、曹元深、謎の少年といった核心に迫る人物達が登場してくる。虚実の様々な人物が絡み合い、キマイラの謎が描かれているが、やはり長い。でも、おもしろい。ソノラマ文庫で出版されていた昇月変まで読んだときには、自分の頭の中で整理ができなかった。文庫では、ここで一旦途切れてしまうような事態(ソノラマ文庫の問題)のせいもあったと思う。何回も読んでいくうちに、如何にしてキマイラという獣、下法曼荼羅図の謎に近づいているのかがわかってきた。それでも、過去の話がまだ終わらない。次巻までいくと、やっと理解できると思う。本当の一巻ずつになり、現代が見えて来るかな?