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Posted by ブクログ
素晴らしい親子のエピソードから始まったこの巻。
世代交代の進む梁山泊。
才能を開花させるニューヒーロー。
退役が近い古参兵。
またまた泣かされた。
Posted by ブクログ
本巻では古参の男達が多く死んだ。
王定六 戴宗に見染められ走り続ける。最後まで走り抜け死ぬまで走り続けた。人生完全走破。彼の足なら三千世界の彼方まで行けることであろう!
杜興 皆んなの嫌がることを進んでやる。そして卒なく器用にこなす。自分の心と身体を磨り減らし最後の最後まで人の為に生きる。そんな老人になりたい!
鮑旭 追い剥ぎだった彼は魯智深に連れられ王進の下で生まれ代わる。部下を守るリーダー!彼にこそ今の時代の中間管理職は学ぶべきものあり。死神と呼ばれた昔の彼が最後に少しだけ蘇る!
楊令伝の残数が少なくなってきました。
ラスト三巻楽しみです。
Posted by ブクログ
今回の展開はちょっと納得いきません。
ネタバレになるけど、いいかしら。(ダメなら読まないでね)
梁山泊は交易による莫大な利益によって、民から多額の税を徴収しなくてもすんでいる。
そのため梁山泊の商隊を軍が護衛している。
李媛が指揮する商隊を護衛していたのは弟の李英が率いる隊だった。
姉弟の父は、重装備部隊の隊長だった李応。
梁山泊には二世の将校が結構いる。
その中で、なかなか結果を出せない、上に引き上げてもらえない李英は焦っていた。
そんな時商隊が金軍に襲われて、李英は積み荷を守ることよりも、手柄を立てることを優先してしまった。
手柄を立てる=敵を打ち取ることが、積み荷を守ることだと思い込んだということも、ある。
しかし李媛はそんな弟を解任して、現場の指揮を執る。
結果として李媛の判断は正しかったわけだ。
なのに、梁山泊は、楊令の感傷(?)により、せっかく捕まえた捕虜を解放し、李英を元の部署にもどす。
なのに梁山泊は、「李媛がうるさい。黙らせろ」と言う。
正論なのはわかるが、うるさい、と。
いやいやいや。
李媛が正しいでしょ。
結果で判断するのが軍隊じゃないの?
判断ミスで、たくさんの人命を失うことになり、財産を奪われることになったかもしれなかったことを、なかったことにすることは、ほかの兵の士気にかかわるんじゃないの?
李媛は確かに北京大名府や開封府を攻め落としたいという野望を持っていたけど。
今は交易の仕事に誇りを持っている。
だからこそ、自分の感情だけで突っ走ってしまった弟を許せなかったのだ。
それを梁山泊は「黙らせろ」と。
黙らせるために、李媛にショックを与えるために、もともと李家に仕えていた杜興が自裁した。
私にはどうしても、杜興が命をかけてまで李媛を黙らせなければならないとは思えなかった。
李英の処遇に、誰も異を唱えない梁山泊が、不気味だと思った。
それ以外では、王定六や鮑旭のように、地味な仕事を実直に続けてきた者たちの死が辛かった。
特に鮑旭、まさしく朱仝が乗り移ったかのような戦いっぷり。ああ。
燕青のリタイヤも寂しい。
しかし感度が鈍ることは命を失うことにつながるのだから、燕青も年を取ったということなのだろう。
史進が50歳ですと?あの暴れん坊がねえ…。
Posted by ブクログ
「戴宗が、天下統一にこだわる気持が、わからんでもないな。しかし、困難な道だ。俺は、そう思う。岳家軍との交戦はあったが、いまいきなり戦の時代になることはない、と思っているよ。戦の時代は、童貫戦で一度終った。それは、俺にもよく見えてきた」
「いずれ、戦の時代になるのですか?」
「多分な。楊令殿も、その時に備えて、兵の入れ替えを急いでいるのだと思う」
この食堂は、味がいつも同じだった。飽きたような気分に、しばしば襲われる。料理人に、向上しようという気持ちがないのだと、李瑛は不満だった。兵糧は、不満を感じたことはまったくない。食事とは、どこかちょっと違うものだからだ。
「男は、一度だけでも、自分が生きたのだと思いたい。おまえのように小さくかたまっていても、同じであろう」
「潰しても、潰れない。殺しても、死なない。権力というのは、そんなものだ、と俺は思っていますよ。青蓮寺が、権力そのものになるのは、これからではないでしょうか」
「開封府が崩壊する過程で、それから別のなにかが生み出されてくる。私は、そう思っていた。違ったな。権力が権力であることには変りなく、それが場所を移した、ということだと思う」
「そうたやすく、新しいものは生まれませんね、燕青殿」
「梁山泊が新しいものを生みつつある、と私は思っている。新しいものは、いまあるものを、踏み越えるか、打ち倒すかしないかぎり、場所は与えられない、とも思う」
「楊令殿は、新しいものに、場所を与えようとされているのでしょうか?」
「まさしく、そうだろう。生みの苦しみと言うのだろうか。私は、自分の生みの苦しみを、楊令殿に押しつけている、という気がしている。生れ出てきたものについて、つべこべ言っているだけだ。」
「燕青殿は、新しいものを生む苦しみの中におられる、と俺は思います」
「それは違うな、候真。生み出されたものを、どうやって守るか、ということについては、命を懸けられる。しかし、生み出すということについて、私は無力だ」
「民は、次々と上を望む。喜びなど、束の間のものだ。際限もなく、上を望む。絞り取れば、かなりのところまで、耐えもする。不思議なものだと、俺は思いはじめている」
「民に感謝されようというのが、甘い。そう思っているなら、正しく民のことを捉えていると言っていい。厳しくしたら、憎まれる。こちらの方は、多分、そうだろう。身勝手なものが、民なのだ。その民が、無償の血を流し、意味もなく死ぬことを肯んずる」
「方臘のもとで、それを見た、と言いたいのだな、呉用」
「ほかにも、いろいろ見たさ。人は単純に見えて複雑で、複雑に見えて単純だ」
「不安と添い寝する。それが頭領の宿命のようなものであろうな」
「俺の走っていく先には、いつも同志がいるよ」
「それだけですか?」
「俺は、寂しがり屋なのだ。ひとりで走っていると、寂しくて仕方がない。それで、出来るだけ早く、同志のところへ行こうとする。そうなのだと、走りながら考えて、わかったんだよ」
「あなたは、戦をどこまで読んでいるのですか、秦容?」
「読んでいる、と言うのでしょうか。三万の軍を率いて、ここを攻めている、という立場で考えているだけです」
「あなたが、指揮をしていますね」
「そのつもりはありませんが、俺のいる一千の舞台は仲間ですから、できるだけしなないように、と考えています」
「謝ることはない。商いが愉しくて、好きで、そしてきちんとできる。それは素晴らしいことではありませんか」
戦で死ぬことを、いとうのは恥だ。しかしそれは、自らの判断による敗北である。ひとりの人間のためだけに、死ねるのか。
すぐれた指揮官が、梁山泊軍には何人もいた。そういう人間と並んで一軍を預かるには、平凡の強さを生かすしかなかった。作戦も、指揮官から兵士にいたるまでの動きも、すべて平凡である。
しかし、屈しない。屈しないことだけは、平凡でもできるのだ。
「鮑旭殿」
「いい。軍法にはそむくが、俺は助けなければならないやつがいる。俺より先に、死なせたくないやつが」
Posted by ブクログ
前は李媛にいらっとしたけれど、落ち着いてよかった
・・・って思っていtのに、やっぱりいらいら。
しかも杜興・・・好きだったのに!ホントにココだったのかなあ、悲しい。
そして当然弟にもむっとする。
若いことを加味しても、この兄弟嫌いだー。
王定六もなんて。
燕青も!?と手に汗握る。ほっ。
としたら、鮑旭。
淋しい。
こうやって入れ替わって行くものだとしても。
Posted by ブクログ
戦乱渦巻くなか
それぞれに自が道を進み続ける
梁山泊は
独立し
金と宋が戦いあい
国が乱れ
何時に成ったら
中原に平和が訪れるのだろうかと思った
Posted by ブクログ
だんだんスケールがでかくなってくる。単なる歴史小説が、理想の社会とは何かという命題になってくる。
北方謙三は、楊令にそれを考えさせることによって、自ら理想の社会を描いて見せているのである。少しやり過ぎではないか。税負担が1割の社会が本当に可能であれば、政治家たちに読ませたいのだが。
交易で上がる利益だけで、それが可能というのは、いささか無理があるような気がする。