あらすじ
「そんな君に、どうか救いがありますように」
理想の死後の世界を完成させるため、何度も世界を作り直す案内人。多くの死者と出会う中で、彼の心に残っているのは、一緒にスープを飲んだ一人の青年で……。
自覚なき死者の生きる国“終端街”へようこそ――。
結月さくらがいざなう、想い絡み合うヒューマン・ファンタジー。
(第27話収録)
事故で命を落としたトアが出会ったのは、昇降機守を自称するトウカ。
死者の乗降場でたくさんの人を見送ったという彼は「自分の背負ってきたものと向き合えなかった者は人ではなくなる」とトアに話すが…。
トアの後悔に寄り添うトウカの言葉に胸を打たれました。
そんなトウカが探し続けている友人はどんな人物なのか、トウカにとってどのような存在だったのか…。
トウカの言葉の節々からその友人への尊敬と執着を感じ、ますます気になってしまいます。
そして、昇降機が"生える"不思議な世界観に思わず惹きこまれました。
死者の国を舞台に、どこか冷たい雰囲気がありながらも、そこで生きる人たちの温かさも描かれており、何度でも読み返したくなる作品です!
感情タグBEST3
どうか どうか
そんな君に 君のような多くの人に
どうか救いがありますように
この言葉が本当に好きで、愛おしくて。
善きひともそうでないひとも、すべてのひとを掬おうとしていた彼のなかにもあった、希う気持ちがとても尊重したいものに思えました。
彼を見下ろしていたカミサマが、いつしか彼とほぼ同じ目線の高さになっているところがとても印象深くて。
ヒトをヒトらしく生かしていくと生じるものの影響で歪んでしまう存在もあると告げられるなかで、選ぶ彼の決断。
結月先生の作品にはこれと決めて貫き通す意志の強さと環境が合致して理(ことわり)を撹拌する存在が在ることがあるのですが、そんな存在にわたしは弱いので今回もとても好きです…。
甘い香りの紅茶は、ティーポットから注ぐとカップの底に泳ぐ街が見える。
その上からミルクを注いで、ティーカップの中に花咲くように街に靄がかかる。
そこに砂糖をひとさじ、素敵な世界でありますように願う。
そんな、ミルクティーのような一話です。