ブロンズ
レビュアー
  • 【合本版】終端街の昇降機守(3)【描き下ろしおまけ付き】
    購入済み

    異質な世界へ誘う青い昇降機。
    見通せない朧のような世界に、異質な存在へと飛び込んでいくトウカとナガツキ。
    一巻から登場していた青年アカツキは何を識っているのか?
    ペストマスクの男は一体「何」か?

    日常の話が挟まれながらも、トウカとナガツキそれぞれに芽生えた感情、明かされていくトウカの過去。


    突如水面に落ちた重い雫。
    その色はじわりと広がって密度を増していく。
    背筋をなぞるゆるりとした温度。
    四角でも丸でもない。
    たくさんのトマトも野菜もすりつぶし、混ざり混ざった不透明な世界の先にあるのはなにか。

    ガスパチョのような三巻です。

    #切ない #ドキドキハラハラ #深い

    1
    2025年11月29日
  • 【合本版】終端街の昇降機守(2)【描き下ろしおまけ付き】
    購入済み

    その感情を教えてくれたのは

    トウカがこれまでに出会ったことのないイレギュラーな昇降機たち。
    水の蛇、終端街に現れる杭を対処する女性マクラギ、昇降機の先で出逢ったマクラギの描いたスケッチによく似た少女。

    激しく動く時の中に挟まれた日常もいとおしい。


    描き下ろしの髪を下ろしたナガツキのさまや、各話のあとがきにも注目です。


    四角より丸。
    輝かしい、淡いこがねいろ。
    舌先にぴりりと残るジンジャー。
    香辛料と煮詰めたジンジャーの刺激を心地よく喉を通らせる、冷やっこさのある炭酸水。
    まるいレモンの薄切り越しの景色。
    クラフトレモンのジンジャエールのような、眩暈がしそうなくらい魅惑的な香りの第二巻です。

    #エモい #ドキドキハラハラ #深い

    1
    2025年11月29日
  • 【合本版】終端街の昇降機守(1)【描き下ろしおまけ付き】
    購入済み

    あなたは「終端」に何を見るか

    死した者が辿り着き生きる街、終端街。
    辿り着くために通る道程を案内するのが、街へ行く昇降機からの脅威を斬り伏せるトウカである。
    生前の記憶も道程の記憶も終端街には持っていけない。それはトウカのことも。
    しかし終端街にも一線を引いているトウカに、新たな出会いが生じる。

    トウカの昇降機守とは?
    トウカという存在とは。
    トウカの後輩を自称するナガツキの思惑とは。
    外套を被った男とトウカの関係とは。

    単話版にはない、各話のあとがきにも注目です。

    手に取ると無機質なようで熱がある。
    カリカリに火を通したベーコン。
    自然由来の水のあまみ。
    新鮮な瑞々しい野菜の歯触り。
    丸ではなく四角。
    平らに焼き目

    #切ない #ドキドキハラハラ #深い

    1
    2025年11月29日
  • 終端街の昇降機守(16)
    ネタバレ 購入済み

    世界にはまず黒があった。

    トウカの語られる過去は、真っ暗な水路の世界。でもその旅路はこれまでの彼を肯定してくれて、これからの彼を肯定しようとする道のりだった。
    真っ暗世界でも水の音や船の音、人の声がして、温度がして、恐ろしさはなく、寂しさもなく。そのなかで温かいスープを一緒に飲むことのよろこび。会話を交わすことの楽しさ。トウカがスープを提案してその味を共有した流れは造られた体験だったけれど、渡し守の去り行く者への想いの在り方があったから二人で出来た行為だったんだなと思う。

    世界にはまず黒があった。空の色だ。影の色だ。墨の色だ。君の色だ。
    古代エジプトでは、黒はナイル川から湧き出る黒土から連想される、豊穣と再生の色だ。

    #エモい #深い

    1
    2025年11月15日
  • 終端街の昇降機守(15)
    購入済み

    それは臓腑に落ちた熱のように

    怪我を負ったトウカの目覚めを待っていたナガツキ。ナガツキが病院で出会った男女は、医師だけではなく…。
    ナガツキの慟哭を前にしたトウカが、手を伸ばした先にあるもの。語られるトウカの在りし日とは。

    感情の洪水。撹拌された想いはそれでも、その向こうにあるあなたの姿を隠さない。ほとりと灯るじんわりとした熱。蜂蜜のやさしいあまさ。
    ホットはちみつレモンのような、温かい一話。

    #胸キュン #切ない #感動する

    1
    2025年10月19日
  • 終端街の昇降機守(14)
    購入済み

    キミの名を教えて

    ペストマスクの男と交戦するナガツキ。その心中には、強く熱い芯があった。ナガツキに芽生えていた感情とは。
    そしてペストマスクの向こうに見えた顔に動揺するナガツキだが、トウカは朦朧とした意識の中それを否定する。
    トウカは暗い意識の中、自分の名前を呼びかけられるが…。

    焔を握ったような熱さ。暗闇の中に見えるもの。
    色はこがね。
    シナモン、カルダモン、クローブを混ぜた梅シロップのような、これから熟されていくものを目で追って行きたい1話でした。

    #アツい #ドキドキハラハラ #深い

    1
    2025年08月22日
  • 終端街の昇降機守(13)
    購入済み

    それは赤い雫の如く

    明かされるトウカの過去は、こちらの世界から見れば異端だらけの終端街でも異色なものだった。
    そして少し前にウラシマタロウ状態に巻き込まれたばかりな中、トウカとナガツキは「青ランプの昇降機」に乗り込む。そこには通路を挟んで並ぶ檻ばかりに見えたが…?

    突如水面に落ちた赤い雫。その赤は薄まることなく、冷ややかな空間でその密度を増していく。
    たくさんのトマトに野菜もすりつぶし、混ざり混ざった不透明な世界の先で、彼らが出会うものとは。
    ガスパチョのような予期せぬ1話です。

    #深い #アガる #ダーク

    1
    2025年07月25日
  • 終端街の昇降機守(12)
    購入済み

    トウカ行きつけの食事処「水魚飯店」の看板娘トア。トアは水魚飯店の主人に贈り物をしたいとトウカを誘うのだが…。個性豊かな人物たちが集う終端街での温かな一瞬が素敵です。トウカが脱ぐよ。トウカの髪下ろしも良いね…!
    果物たくさんの色とりどりなフルーツポンチのような、楽しくなる一話。

    #ほのぼの #癒やされる #じれったい

    1
    2025年06月27日
  • 終端街の昇降機守(11)
    購入済み

    異質な世界へ誘う青いエレベーター。今回辿り着いた世界から戻った時には、「ウラシマタロウ」になっているかもしれない…。そう話しながらも、トウカがとった行動とは。そして、終端街に戻ったトウカが出会う感情とは…。
    アカリヤという青年はなにを識っているのか。
    ほっとする温度があって、ほろほろとほどけていく優しさがあって、ひとめでは何を内包しているかわからない。そんな、コンソメで煮込まれたロールキャベツのような。果たしてこの中央には何があるのか?これからがドキドキする一話。

    #切ない #エモい #ドキドキハラハラ

    1
    2025年05月23日
  • 終端街の昇降機守(10)
    購入済み

    その感情を教えてくれたのは

    少女リンは、終端街の前と街へ続く道を知る少女だった。リンが心の奥底で抱きしめていた大切なものとはなんだったのか。それが紐解かれたとき、彼女には終端街がどう見えていたのか。
    後味がさらりとしてもの悲しいのに心にとすんと質量が残って、人肌ほどの温かさがあるのにどこか清々しい。グリーンピースのポタージュのような優しいお話。

    #切ない #感動する #エモい

    1
    2025年05月23日
  • 終端街の昇降機守(9)
    購入済み

    杭で留められた世界と歪み

    今まで何気なく通り過ぎていた風景がふと「ズレて」しまう世界。そんな世界を杭で留めることを生業としたマクラギが描いてくれたスケッチの中の違和感。異質な世界に繋がる青いランプのエレベーターで見つけた少女とは。紙の積み重ね、そこに差し込まれるシルバー。ミルクレープのように表面はなだらかだけど内側にはクリームの奔流があって、層を割るフォークが潜んだ苺を見つける瞬間の話。

    #切ない #ドキドキハラハラ #深い

    1
    2025年05月23日
  • 【描き下ろしおまけマンガ付き】終端街の昇降機守(8)
    購入済み

    それは穏やかな日常に見えて

    働いて、食事を腹に収めて、いつもの人々と出会って。日常はまるで水に注いだ蜂蜜のようにゆるやかに揺蕩うが、沈んだものは果たして何か。ナガツキが冴え冴えとした眼差しで見つめる世界は心地よい冷たさの炭酸水のようで、新たな人物が颯爽と現れ訪れた風は目の覚めるようなライムの香り。
    ライムの蜂蜜マリナードの炭酸割りのような、喉を心地よく通り抜ける味です。

    #切ない #エモい #アガる

    1
    2025年03月23日
  • 終端街の昇降機守(7)
    購入済み

    七話まで読んでくれ!

    …と言いたくなるくらい、今話では一層結月先生の色を感じました。大蛇を倒すための戦法が、ぴたりとパズルのピースが嵌まったような爽快感で、何度も読み返しました。
    目の覚めるような、透明。可能性の色。そんな水信玄餅のような一話でした。

    #アツい #カッコいい #スカッとする

    2
    2025年02月01日
  • 終端街の昇降機守(6)
    購入済み

    世界の違和感はこんな形

    水が大蛇の姿をした「それ」の存在を推し量ることは、世界の理を尋ねることに近しくて。
    読者とトウカとナガツキの間で存在するズレを改めて目の当たりにしながら、自分の立つ地面の存在は改めて「何なのか」問いかけたくなる一話。
    大蛇の顎とトウカの立ち回りが見ていてテンションが上がります…!
    舌を刺激するジンジャーと弾ける泡沫、レモンの薄切りの向こうに見える世界は何色をしているだろう?クラフトレモンのジンジャエールのような一話です。

    #アツい #ドキドキハラハラ #深い

    1
    2025年02月01日
  • 【キャラクター設定画&イメージカット付き】終端街の昇降機守(5)
    購入済み

    それはまるでほむらのような

    トウカの回想がよぎりつつ、新たな階層に進む彼ら。電子書籍だと描き込みをサラッと流し見てしまいがちなんですが、それでも何度もページをくって読み返してしまう一話。
    ためつすがめつ見ては味わい深い、瑞々しいレタスとトマト、チーズにペパロニを挟んだ色とりどりのクラブハウスサンドのような一話。

    #アツい #ドキドキハラハラ #カッコいい

    1
    2025年02月01日
  • 終端街の昇降機守(4)
    ネタバレ 購入済み

    ネジの飛んだ後輩と歪な世界

    世界の歪さ、歪みを、改めて目の当たりにする一話。トウカとナガツキのやり取りの中で、「死ねない」ことを示すときにナガツキがトウカの腕を持って刺させるシーンが、トウカの気分もそれはげんなりするよね……としんなりしつつ読んでいる側としては胸高鳴りました。
    歪んだ男…良いよね…。
    まろい真円の中にナイフを入れるととろりと割れ出るような、エッグベネディクトのような一話でした。

    #深い #アガる #ダーク

    1
    2025年02月01日
  • 終端街の昇降機守(3)
    購入済み

    転換点、ひとつ

    突如現れた新たな人物がもたらす、動乱の中でも、戦闘や建物の描写など、繰り返し読むごとにほうと息つく面白さがあります。
    冷たいバニラアイスに熱いエスプレッソが注がれるアフォガードのように、作品の転換点が楽しめる一話です。

    #アツい #ドキドキハラハラ #カッコいい

    1
    2025年02月01日
  • 終端街の昇降機守(2)
    購入済み

    揺れる心の描写が素敵

    トウカの凪いだ心と反するように熱いアクションに胸躍りますが、それ以上に、人物の揺蕩うような心情の揺らぎが読んでいて引き込まれます。
    丸いバニラアイスの乗ったメロンクリームソーダのようなぱちりぱちりとした泡が心地よい一話です。

    #切ない #エモい #カッコいい

    1
    2025年02月01日
  • 終端街の昇降機守(1)
    購入済み

    仄暗いようで暖かな世界

    突然の事故で死んだトアは、気付けばエレベーター(昇降機)の中にいた。これは夢かと思うトアだが、そのエレベーターが止まった階で青年トウカに果ての見えない真っ直ぐ伸びた通路へ案内される。トウカはそこを死者の国へ行くための通過地点と話す。

    通過地点で直面するのは、自分の中に佇む目を背けてきたものたち。それを乗り越えると、次の世界に行けると言うがーーー。


    22-23ページのトアちゃんの歩く速度と同じように心に忍び寄る描写と、24ページでそれが堰を切ったように爆ぜる瞬間が最高に素敵!
    トアちゃんの心の柔らかい部分に触れながら、それを昇華させる運びが美しくて……本当に読んでほしい……彼女の願いがそこ

    #アツい #感動する #エモい

    2
    2024年11月29日