【感想・ネタバレ】終端街の昇降機守(16)のレビュー

あらすじ

「俺は、あなたの友人になりたい」
自身の過去にまつわる昔話を始めたトウカ。その口から語られたのは、死者としてやってきた虚の水路での、不思議な案内人との出会いだった――。

自覚なき死者の生きる国“終端街”へようこそ――。
結月さくらがいざなう、想い絡み合うヒューマン・ファンタジー。
(第16話収録)

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事故で命を落としたトアが出会ったのは、昇降機守を自称するトウカ。
死者の乗降場でたくさんの人を見送ったという彼は「自分の背負ってきたものと向き合えなかった者は人ではなくなる」とトアに話すが…。
トアの後悔に寄り添うトウカの言葉に胸を打たれました。
そんなトウカが探し続けている友人はどんな人物なのか、トウカにとってどのような存在だったのか…。
トウカの言葉の節々からその友人への尊敬と執着を感じ、ますます気になってしまいます。
そして、昇降機が"生える"不思議な世界観に思わず惹きこまれました。
死者の国を舞台に、どこか冷たい雰囲気がありながらも、そこで生きる人たちの温かさも描かれており、何度でも読み返したくなる作品です!

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感情タグBEST3

ネタバレ 購入済み

世界にはまず黒があった。

トウカの語られる過去は、真っ暗な水路の世界。でもその旅路はこれまでの彼を肯定してくれて、これからの彼を肯定しようとする道のりだった。
真っ暗世界でも水の音や船の音、人の声がして、温度がして、恐ろしさはなく、寂しさもなく。そのなかで温かいスープを一緒に飲むことのよろこび。会話を交わすことの楽しさ。トウカがスープを提案してその味を共有した流れは造られた体験だったけれど、渡し守の去り行く者への想いの在り方があったから二人で出来た行為だったんだなと思う。

世界にはまず黒があった。空の色だ。影の色だ。墨の色だ。君の色だ。
古代エジプトでは、黒はナイル川から湧き出る黒土から連想される、豊穣と再生の色だ。

黒と白の世界が温かいことに気付く一話。
はじまりのスープの味以外で例えるなら、グラオン豆(ひよこ豆)を使った小さなタルト、パステイシュ デ グラオン。
熱を通したあまい香り。手のひらに灯る熱のかたち。臓腑に染み入る素朴な味。
思い出を指折り数えたくなる味。

#エモい #深い

1
2025年11月15日

匿名

購入済み

虚の水路

虚の水路は空虚で暗い場所かと思っていた。
けれど、優しい場所だったー。
そんな風に思えました。

#感動する

1
2025年11月14日

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