あらすじ
「次に目覚めた時、俺はこの街にいた」
案内人と友人になりたいと願ったトウカ。正体不明の声に導かれ、望み通り、ランプとして案内人の相棒になったはずだったが――。
自覚なき死者の生きる国“終端街”へようこそ――。
結月さくらがいざなう、想い絡み合うヒューマン・ファンタジー。
(第17話収録)
事故で命を落としたトアが出会ったのは、昇降機守を自称するトウカ。
死者の乗降場でたくさんの人を見送ったという彼は「自分の背負ってきたものと向き合えなかった者は人ではなくなる」とトアに話すが…。
トアの後悔に寄り添うトウカの言葉に胸を打たれました。
そんなトウカが探し続けている友人はどんな人物なのか、トウカにとってどのような存在だったのか…。
トウカの言葉の節々からその友人への尊敬と執着を感じ、ますます気になってしまいます。
そして、昇降機が"生える"不思議な世界観に思わず惹きこまれました。
死者の国を舞台に、どこか冷たい雰囲気がありながらも、そこで生きる人たちの温かさも描かれており、何度でも読み返したくなる作品です!
感情タグBEST3
トウカは結月先生の描く善性の人間だなあと再認識する一話でした。
善性の人間がすべてを擲って身を投じること、それは自己犠牲ではなくて献身か、はたまた。数百年の月日が突然なかったことになって街に産み落とされた意味とは。
トウカの生前観てきた死の淵に立った人々の怯えや恐れのない世界、終端街。
トウカとは違う視点から世界を覗きこんだふたりが、ニーチェの言う「深淵を覗くとき」にならないことを願ってしまう。
「この世界」が想定する最悪とは何か。
昇降機など、この世界のギミックや仕組みに意思は介在しているのか。
だれのたなごころの上に、彼らは立っているのか。
作品の深度が広がり、奥ゆきが深まるさまは、
ざらりとした舌触りのマッシュポテトの下にハーブやワインで味付けされた挽肉がみっしりとしているシェパーズパイに似ています。
かつかつと硬く香ばしい表面に匙を割り入れるとその層を知り、口に含んだとき層が混ざり合って、丹田に熱が落ちたとき、あなたが知るものは何か。
きっと、「終端街の昇降機守」を改めて読み返したくなるはずです。
匿名
更なる考察
『虚の水路』『終端街』とは?
少しずつ紐解かれていくようなストーリー展開に目が離せません。
そして、遅ればせながら登場人物の名前が全てカタカナなのに「そうか!」と合点がいきました。
(それにしても、昔から知っていたキャラの虚の番人がとても良い人で可愛くて驚きと共にほっこりー。)