佐野洋のレビュー一覧
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佐野洋という推理作家を読まんとする人がどれだけあるか。鮎川よりは格段に少ないだろうが、しっかりしたプロットで練りに練られた完全犯罪掌編6作は小粒ながらもぴりりと辛い。犯人当てという本格推理とはちょっとちがうけれども2転3転するストーリーテリングの巧みを味わうのにもってこいの1冊。
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ネタバレ推理小説のなかでも「読者への挑戦」に特化した犯人当てアンソロジー。今後シリーズ化されるようなので楽しみが増えた。
【◯看破 △引き分け ×お手上げ】
×高木彬光「妖婦の宿」
名作とは聞いていたが自分にはピンとこなかった
気づかない伏線があったのかな
〇坂口安吾「投手(ピッチャー)殺人事件」
イージー
△土屋隆夫「民主主義殺人事件」
冒頭の横読みは気づいたが犯人を間違えた
×江戸川乱歩「文学クイズ「探偵小説」」
穴埋め問題。昔に流行ったらしいが目新しさがあった
〇飛鳥高「車中の人」
イージー
×佐野洋「土曜日に死んだ女」
部屋に、足が引っかかるほどのガス管が?
×菊村到「追悼パー -
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佐野洋の連作ミステリ短篇集『蝉の誤解』を読みました。
佐野洋の作品は、『ミステリー傑作選・特別編〈5〉自選ショート・ミステリー』に収録されていた『若いオバアチャマ』以来なので、約1年振りですね。
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息子に届いた絵葉書には、怪獣のように大きな蝉の抜け殻が写っていた。
パソコンを使い、巧妙に作られた合成写真―その夜、私は悪夢にうなされた。
なぜ、蝉の抜け殻などに恐怖を覚えるのか?
私は、心の奥底に封じ込まれていた、ある記憶を辿り始める…(表題作)。
昆虫に題材を取り、紡ぎ出された男女の多様なドラマ九編。
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Posted by ブクログ
相変わらず厳しい論調で各作家を3枚にも4枚にも下ろしてしまう。失われる日本語を平成の世に正しく伝える最後の長老かのような微に入り細を穿つ、その選文眼は今回も健在だ。
やはりこういうのは非常に勉強になるし、編集者や校正の方々にとっても身が締まる思いがしているのではないだろうか。
しかしこれだけ色んな作家の慣用句や副詞の使い方を徹底的に取り上げ、論破しているのに対し、髙村薫氏の使い方に対してはあまり強い口調で間違いを正さなかったのは何故か?寧ろ新しい日本語を作ろうとしているのかといった表現で好評している傾向にある。佐野氏自身が彼女の文に惚れたのか、扱うテーマや小説観に惹かれたのかもしれないが、ち -
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ミステリーだけじゃない佐野洋の魅力たっぷりの1冊。
短篇5編。
この5つの話、
“後に全てが長編化されている”
という豪華短篇!!
<事故埠頭>
えぇぇぇえぇ・・・っていう展開。
ちょっと大人のミステリー。
<幻の殺人>
これはよく出来てる!!
最後のするする紐を解くように解決してく有様は圧巻。
<不完全試合>
野球の話。
ミステリーじゃないから、
ちょっとした休息になる♪
報われない感じがシュール。
<肌色の殻>
これはSF。
今までの話とは雰囲気がガラリと変わる。
あー、佐野洋は心理学科だったなぁって思える作品。
<紫の針>
これまたうま -
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佐野洋の連作ミステリ短篇集『墓苑とノーベル賞 岩中女史の生活記録』を読みました。
佐野洋の作品は昨年11月に読んだ『様々な別れ』以来ですね。
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岩中妙子は56歳の専業主婦。
転居先の自治会で防犯部長を押しつけられる。
だが、持ち前の好奇心から、次々と謎を追いかけていくことに……。
墓苑のセールス電話が引き起こす脅迫騒動(「墓苑とノーベル賞」)、生垣に貼られた犬の糞尿への過激な警告文(「警告と署長感謝状」)など、日常の些細な出来事から広がる事件を鮮やかな推理で解明する連作ミステリー。
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光文社が発行 -
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佐野洋のミステリ短篇集『様々な別れ』を読みました。
佐野洋の作品は今年2月に読んだ『思い通りの結末』以来ですね。
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血液型ABの男を捜し求め、数度の関係の後に姿を消した女。
他人の子供を宿した女と、それを承知で出産後の離婚を前提に結婚した男。
恋人とその叔母との異常愛を知って別れた女が、その男に再会。全く身に覚えのない行動調査報告書を妻に突き付けられた男。
一度だけ関係を持った男と自分の娘が結婚―。
短編ミステリーの名手が、男と女の別れをテーマに捻る傑作集。
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光文社が発行している小説誌『小説宝石』 -
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佐野洋の連作ミステリ短篇集『招いた女<街の中の声シリーズ>』を読みました。
佐野洋の作品は今年3月に読んだ『蝉の誤解』以来ですね。
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ホテルの喫茶ルームで向かい合う中年の男女。
「二十八日の夜は?」との女の問いに、男は「二十八日?ああ、用がある」と答えた。
漠然とした『用』という言葉で片付けた点に、この二人の関係が見えた…。
作者が街の中でふと耳にした会話。
そこから想像がふくらみ一編の小説が生まれる。
短編の名手ならではの好評新スタイルミステリー第三弾。
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光文社が発行している小説誌『小説宝石』に