あらすじ
ホテルの喫茶ルームで向かい合う中年の男女。「二十八日の夜は?」との女の問いに、男は「二十八日? ああ、用がある」と答えた。漠然とした『用』という言葉で片付けた点に、この二人の関係が見えた……!? 作者が街の中でふと耳にした会話。そこから想像がふくらみ一編の小説が生まれる。短編の名手ならではの好評新スタイルミステリー!
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Posted by ブクログ
佐野洋の連作ミステリ短篇集『招いた女<街の中の声シリーズ>』を読みました。
佐野洋の作品は今年3月に読んだ『蝉の誤解』以来ですね。
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ホテルの喫茶ルームで向かい合う中年の男女。
「二十八日の夜は?」との女の問いに、男は「二十八日?ああ、用がある」と答えた。
漠然とした『用』という言葉で片付けた点に、この二人の関係が見えた…。
作者が街の中でふと耳にした会話。
そこから想像がふくらみ一編の小説が生まれる。
短編の名手ならではの好評新スタイルミステリー第三弾。
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光文社が発行している小説誌『小説宝石』に<街の中の声シリーズ>として掲載された作品を収録した第3作の短篇集です。
■用があります――招いた女――
■やめましょう――明かさない女――
■けいばっている――洩らした女――
■だめ、約束…――続ける女――
■関係…ああ、あるか――嘘をついた女――
■いい人なのに――探った女――
■解説 石毛木綿子(佐野洋 二女)
<街の中の声シリーズ>は、作家が街中でふと耳にした会話をもとにひとつの物語が生まれる… そんな趣向のシリーズです、、、
「28日?ああ、用がある」、「ねえ、もうやめましょうよ」、「いま、けいばっているの」、「だめよ。約束が……」等々、耳にした会話のキーワードから妄想を膨らませていくという発想が面白いですよね… どの作品も、男女の愛憎、不倫と殺人や陰謀を絡めてあり、昭和のサスペンスドラマの雰囲気がプンプン匂ってくる展開なのですが、事件の顛末を知りたくなり、ページを捲る手が止まらない、そんな作品ばかりでした。
不倫や浮気を気軽に愉しみ、それに対して罪悪感を持っていない人物たちが主人公なので、やや現実離れしている感じもするのですが、、、
それでも、身近にありそうな… あってもおかしくないなー と思わせる、微妙なバランスが良いのかもしれませんね。