廣野由美子のレビュー一覧

  • ミドルマーチ1

    Posted by ブクログ

    George Eliot(1819-80)

    英国ヴィクトリア期を代表する女流作家。寄宿学校で教育を受けた後、独学で外国語やその他の学問を学び、男性の名前で小説を発表する。男勝りの冷徹な理性で、現実社会の問題を見据え、確かな構成の小説に組み立てていった。

    彼女はほとんど独学でギリシア、ラテン、ヘブライ、ドイツ、フランス、イタリア語をマスターしたが、とりわけ若い頃ドイツとドイツ思想の研究に打ち込んだ。彼女はまた、ピューリタン寄りの福音信仰で育ったが、伝統的なキリスト教信仰から離脱していく。

    『ミドルマーチ』は町の名前だが、これは彼女が若い時代過ごしたコヴェントリーをモデルにしたと言われている

    0
    2022年02月21日
  • ミドルマーチ3

    Posted by ブクログ

    ドロシアとリドゲイト、2組の夫婦の変化。ドロシアは未亡人となりラディスローとの恋の障害に、リドゲイトとロザモンドの愛のない生活に目が離せない。
    眼が離せないことは他にもあるが特に後半不穏な空気に囲まれたバルストロードにヤキモキする。
    解説の人物相関図は頭の整理に役だった。

    0
    2022年01月03日
  • ミドルマーチ2

    Posted by ブクログ

    人間性は悪くはないけれど,フレッドのいい加減さにげんなりし,うまく行っているような人々も何かしら綻びが見え,うまく行ってない人々はこれからどうなるのかと嵐の予感にはらはらする.ほんと面白い.

    0
    2021年10月21日
  • 批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義

    Posted by ブクログ

    フランケンシュタインを元に文学論文の書き方の説明がされてる本 これがなかったら私はロンブンってナンデスカ?状態だったな

    0
    2021年10月10日
  • 小説読解入門 『ミドルマーチ』教養講義

    Posted by ブクログ

     「フランケンシュタイン」を素材に論じた、中公新書前著『批評理論入門』に続く本書は、イギリスの長編大作「ミドルマーチ」を題材として、小説をいかに読むか、どのようにすれば小説の面白さ、深みを味わうことができるか、について具体的な方法を示して解き明かしてくれる。

     第Iは、小説テクストの仕組みを分析する技法的側面からのアプローチ。三人称形式における介入する全知の語り手、意識の流れ、象徴性、ポリフォニーといった技法が、小説の中でどのように使われているか、どういった効果が生じるか、例をもって示される。

     第IIは、個人の細やかな感情から社会問題まで、社会全体の広範な領域にわたって取り組んだ『ミドル

    0
    2021年08月02日
  • ミドルマーチ4

    Posted by ブクログ

     銀行家バルストロードの前に、彼の過去の秘密を知る無頼漢ラッフルズが現れ、前巻では、バルストロードの回想の形で読者にもその秘密が明らかにされ、登場人物ウィル・ラディスローとの関わりも明らかになった。  

     ラッフルズに金をせびられ、気が気ではないバルストロードであったが、ラディスローが突然倒れ、彼の元に運び込まれたことから、医師リドゲイトに治療を頼むことに。看護を任されたバルストロードだったが、適正を欠いた看護もあり、ラッフルズは亡くなってしまった。
     また、診療を依頼されたリドゲイトだったが、一旦はバルストロードに断られた借金を受けてもらえることになり、当面生活が立ち行くことになった。
     

    0
    2021年07月12日
  • ミドルマーチ3

    Posted by ブクログ

     全8部のうち本巻は、折り返しを過ぎ第5部、第6部収録の巻。
     結婚であったり遺産相続を巡るドタバタなど、それなりの展開はあったものの、ここまで登場人物たちの生活や考え方が比較的平穏に描かれ、その人物像や関係性が明らかにされてきたが、本編では、各人物に様々な変化が生じ、物語全体が大きな転回を見せる。

     先ずはドロシアとカソーボン夫婦。自分亡き後、妻ドロシアが従弟ウィル・ラディスローの意のままになってしまうのではないかと恐れたカソーボンは、自分の死後夫たる自分の希望に従うことを誓ってくれと求める。煩悶するドロシアが答えをしようと夫のところに向かったとき、もはやその答えが夫に届くことはなかった。

    0
    2021年07月04日
  • ミドルマーチ1

    Posted by ブクログ

    2019年「ジョージ・エリオット生誕200年」や、「偉大なイギリス小説100第1位(2015年BBC)」という帯に惹かれて読み始めました。
    1巻を読み終わるのに、かなり時間がかかってしまった。2〜4巻をゆっくり読んでいきたい...

    0
    2021年05月12日
  • 小説読解入門 『ミドルマーチ』教養講義

    Posted by ブクログ

    著者が最近訳し終えた『ミドルマーチ』を題材に、小説というものを読み解く時に役に立つ知識をコンパクトにまとめてくれている。小説というものが、どういう部品でできているかを理解することで作者の”仕掛け”をより楽しめるし、どういうことを念頭において読むか意識することで作品の理解を深めることができる。『批評理論入門』もあわせて読むとさらに小説というもののいろんな仕組みや読み解き方がわかって面白い。最後に「小説を読むための技法と教養を身に着けること」にふれているが、この本はまさしくそのための本だろう。

    0
    2021年05月12日
  • ミドルマーチ2

    Posted by ブクログ

     全8部のうち本巻では第3部及び第4部収録。

     自分より優れている人のもとで魂の安らぎを得たいと考え、妻として我が身を捧げ、夫の生活を確固たるものにしながら、自分の生活を高めていこうと結婚生活に入ったドロシアであったが、夫カソーボンとの関係は結婚当初から違和に満ちたものとなってしまっていた。

     他方医学の発展と自己の成功の大志を抱く医師リドゲイトは、美しいロザモンドに魅せられ、予期していたよりも早い時期に結婚に向かうこととなった。

     また、ごうつくばりの老人の遺産を巡るゴタゴタや、政治に関心を示し始めた地主と周囲の者たちとの軋轢など、物語が動き出す速度が早まってきている感がする。

     人

    0
    2021年05月10日
  • 小説読解入門 『ミドルマーチ』教養講義

    Posted by ブクログ

    ミドルマーチを例に使用し、わかりやすく技法からの視点や心理や宗教などの教養面からの視点での読み方など、わかりやすく書かれている。
    そして読みやすかった。

    0
    2021年04月30日
  • 批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義

    Posted by ブクログ

    大学での講義ノートをもとに書き下ろされたもの。挙げられている事例が全て『フランケンシュタイン』から取られているので、『フランケンシュタイン』を読んでから本書に進む方が、自分の読後感と重ね合わせつつ講義を受けている感じがして、理解が深まるだろう。もっとも、『フランケンシュタイン』を読まずとも理解できるような工夫は、十分になされている。

    内容は2部構成で、前半は小説を内在的に理解するための「技法」。冒頭、反復、性格描写、結末など要点が網羅されていて、作品鑑賞にも活かせそうな内容。

    後半は批評理論で、脱構築、精神分析、ジェンダー、ポストコロニアルなど最近の議論が紹介されていて、勉強になる。こちら

    0
    2021年02月27日
  • ミドルマーチ3

    Posted by ブクログ

    下巻はリドゲイトの話が主であり、最後の方にドロシアが出てくる。そして、その後の話が終曲としてまとめられている。藤井元子の、訳であり、わかり易かった。

    0
    2021年09月07日
  • 批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義

    Posted by ブクログ

    文学理論と批評理論の双方を学べる書籍。
    基本的なことが分かりやすく書かれていて、とても良い復讐になったと感じている。またこれまで外国文学は翻訳に対しての苦手意識からそれほど読むことはなかったが、『フランケンシュタイン』の解説を読むことで読んでみたいと感じた。特定の作品を対象に批評理論の学びを進めることで、学んだことが実践できることは素晴らしいと感じた。

    0
    2020年10月06日
  • ミドルマーチ1

    Posted by ブクログ

    宗教や社会階級や個人の生きがいや結婚問題,生活のすべなどがミドルマーチという架空の田舎町を舞台に繰り広げられていく.誰が主人公でも面白い人物造形と丁寧な心理描写で物語世界にどんどん引き込まれていった.まだ1巻目なのでこの先の展開が楽しみである.

    0
    2020年04月16日
  • ミドルマーチ2

    Posted by ブクログ

    1巻を読み終えてしばらく経過していたので、誰が誰だか辿るのが大変だった(笑)。

    いやはやどうなるのかこの先。
    今回ドロシアのピシッとした自論の展開があったのは、やっとちょっとスッキリした。

    進行は第三者の目線で書かれていて、結構この進行役の発言も多い。遠くのものに目を向ける前に自分の足元を見よ、というようなところの例えは、今も昔も変わらない。

    さて。第3巻はいつ出るのだろう。3巻までで終わりと思ってたけど、全8部の3部と4部がこの2巻だと言うから、もしかして4巻まであるのか?と不安。
    話が長いのは一向に構わないが、出版を待つ時間が増えるのは少しばかりもどかしい。

    0
    2020年03月29日
  • 批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義

    Posted by ブクログ

    フランケンシュタインを題材に小説の技法と批評理論を実践を交えて紹介するカタログ本です。これ一冊でぱっと批評理論が概観できました。

    前半の小説技法編はためになり面白く読めました。ただキャラクターの項目はイギリス小説の「ストーリーよりもキャラクターが優先する」を紹介するだけで、それの反対理論が全くありません。少し納得しかねる主張ですけどここでいうキャラクーは人物の枠を超えて性格や感情・主張・動作まで含めたかなり細かいところなので、そのとおりなのかもしれません。

    後半の批判理論は批判のために小説をネタにしている理論が多かった。とくにジェンダー批評・フェミニズム批評・精神分析批評・マルクス批評は主

    0
    2019年12月04日
  • 深読みジェイン・オースティン 恋愛心理を解剖する

    Posted by ブクログ

    ジェイン・オースティン作品の主人公の恋愛心理を解きほぐしてくれる。人間のものの見方の歪みに焦点を当てて、作品を深く分析している。それぞれの作品の女主人公、エマとかエリザベスなど、の物事や世の中のとらえ方を「スキーマ」と呼び、「認知の歪み」を詳しく見ていく。さすが、オースティンは人間をよく見ているのだな。

    0
    2018年10月20日
  • ミステリーの人間学 英国古典探偵小説を読む

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    書架で見かけて。

    アンビバランス、という言葉がある。
    ある対象に相反する感情を抱くことだ。
    愛と憎しみとか。

    この本ほど、この言葉にぴったりくる本はない。

    読んだことのなかった、読むつもりもなかった作品を、
    探偵小説の歴史とともに、
    著者の人間観を明らかにし、
    後世への影響も含め、
    面白そうに次々と紹介してくれるのは良いのだが、
    それ以上はもう書かないでくれ、というほど解説してくれる。

    読み進めたいのに、読みたくない。
    とても複雑な気持ちになった。
    実際、何ページが本当に読まずに次の章に行ってしまった。
    長い読書人生、こんなことをしたのは初めてだ。

    後半になって読んだことのある作品を

    0
    2017年05月06日
  • ミステリーの人間学 英国古典探偵小説を読む

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    [ 内容 ]
    読者を謎解きに導く巧みなプロット。
    犯罪にいたる人間心理への緻密な洞察。
    一九世紀前半ごろ誕生した探偵小説は、文学に共通する「人間を描く」というテーマに鋭く迫る試みでもある。
    ディケンズ、コリンズ、ドイル、チェスタトン、クリスティーなどの、代表的な英国ミステリー作品を取り上げ、探偵小説の系譜、作品の魅力などを読み解く。

    [ 目次 ]
    序章 探偵小説の誕生
    第1章 心の闇を探る―チャールズ・ディケンズ
    第2章 被害者はこうしてつくられる―ウィルキー・コリンズ
    第3章 世界一有名な探偵の登場―アーサー・コナン・ドイル
    第4章 トリックと人間性―G.K.チェスタトン
    第5章 暴かれる

    0
    2011年04月27日