廣野由美子のレビュー一覧
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George Eliot(1819-80)
英国ヴィクトリア期を代表する女流作家。寄宿学校で教育を受けた後、独学で外国語やその他の学問を学び、男性の名前で小説を発表する。男勝りの冷徹な理性で、現実社会の問題を見据え、確かな構成の小説に組み立てていった。
彼女はほとんど独学でギリシア、ラテン、ヘブライ、ドイツ、フランス、イタリア語をマスターしたが、とりわけ若い頃ドイツとドイツ思想の研究に打ち込んだ。彼女はまた、ピューリタン寄りの福音信仰で育ったが、伝統的なキリスト教信仰から離脱していく。
『ミドルマーチ』は町の名前だが、これは彼女が若い時代過ごしたコヴェントリーをモデルにしたと言われている -
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「フランケンシュタイン」を素材に論じた、中公新書前著『批評理論入門』に続く本書は、イギリスの長編大作「ミドルマーチ」を題材として、小説をいかに読むか、どのようにすれば小説の面白さ、深みを味わうことができるか、について具体的な方法を示して解き明かしてくれる。
第Iは、小説テクストの仕組みを分析する技法的側面からのアプローチ。三人称形式における介入する全知の語り手、意識の流れ、象徴性、ポリフォニーといった技法が、小説の中でどのように使われているか、どういった効果が生じるか、例をもって示される。
第IIは、個人の細やかな感情から社会問題まで、社会全体の広範な領域にわたって取り組んだ『ミドル -
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銀行家バルストロードの前に、彼の過去の秘密を知る無頼漢ラッフルズが現れ、前巻では、バルストロードの回想の形で読者にもその秘密が明らかにされ、登場人物ウィル・ラディスローとの関わりも明らかになった。
ラッフルズに金をせびられ、気が気ではないバルストロードであったが、ラディスローが突然倒れ、彼の元に運び込まれたことから、医師リドゲイトに治療を頼むことに。看護を任されたバルストロードだったが、適正を欠いた看護もあり、ラッフルズは亡くなってしまった。
また、診療を依頼されたリドゲイトだったが、一旦はバルストロードに断られた借金を受けてもらえることになり、当面生活が立ち行くことになった。
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全8部のうち本巻は、折り返しを過ぎ第5部、第6部収録の巻。
結婚であったり遺産相続を巡るドタバタなど、それなりの展開はあったものの、ここまで登場人物たちの生活や考え方が比較的平穏に描かれ、その人物像や関係性が明らかにされてきたが、本編では、各人物に様々な変化が生じ、物語全体が大きな転回を見せる。
先ずはドロシアとカソーボン夫婦。自分亡き後、妻ドロシアが従弟ウィル・ラディスローの意のままになってしまうのではないかと恐れたカソーボンは、自分の死後夫たる自分の希望に従うことを誓ってくれと求める。煩悶するドロシアが答えをしようと夫のところに向かったとき、もはやその答えが夫に届くことはなかった。 -
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全8部のうち本巻では第3部及び第4部収録。
自分より優れている人のもとで魂の安らぎを得たいと考え、妻として我が身を捧げ、夫の生活を確固たるものにしながら、自分の生活を高めていこうと結婚生活に入ったドロシアであったが、夫カソーボンとの関係は結婚当初から違和に満ちたものとなってしまっていた。
他方医学の発展と自己の成功の大志を抱く医師リドゲイトは、美しいロザモンドに魅せられ、予期していたよりも早い時期に結婚に向かうこととなった。
また、ごうつくばりの老人の遺産を巡るゴタゴタや、政治に関心を示し始めた地主と周囲の者たちとの軋轢など、物語が動き出す速度が早まってきている感がする。
人 -
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大学での講義ノートをもとに書き下ろされたもの。挙げられている事例が全て『フランケンシュタイン』から取られているので、『フランケンシュタイン』を読んでから本書に進む方が、自分の読後感と重ね合わせつつ講義を受けている感じがして、理解が深まるだろう。もっとも、『フランケンシュタイン』を読まずとも理解できるような工夫は、十分になされている。
内容は2部構成で、前半は小説を内在的に理解するための「技法」。冒頭、反復、性格描写、結末など要点が網羅されていて、作品鑑賞にも活かせそうな内容。
後半は批評理論で、脱構築、精神分析、ジェンダー、ポストコロニアルなど最近の議論が紹介されていて、勉強になる。こちら -
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1巻を読み終えてしばらく経過していたので、誰が誰だか辿るのが大変だった(笑)。
いやはやどうなるのかこの先。
今回ドロシアのピシッとした自論の展開があったのは、やっとちょっとスッキリした。
進行は第三者の目線で書かれていて、結構この進行役の発言も多い。遠くのものに目を向ける前に自分の足元を見よ、というようなところの例えは、今も昔も変わらない。
さて。第3巻はいつ出るのだろう。3巻までで終わりと思ってたけど、全8部の3部と4部がこの2巻だと言うから、もしかして4巻まであるのか?と不安。
話が長いのは一向に構わないが、出版を待つ時間が増えるのは少しばかりもどかしい。 -
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フランケンシュタインを題材に小説の技法と批評理論を実践を交えて紹介するカタログ本です。これ一冊でぱっと批評理論が概観できました。
前半の小説技法編はためになり面白く読めました。ただキャラクターの項目はイギリス小説の「ストーリーよりもキャラクターが優先する」を紹介するだけで、それの反対理論が全くありません。少し納得しかねる主張ですけどここでいうキャラクーは人物の枠を超えて性格や感情・主張・動作まで含めたかなり細かいところなので、そのとおりなのかもしれません。
後半の批判理論は批判のために小説をネタにしている理論が多かった。とくにジェンダー批評・フェミニズム批評・精神分析批評・マルクス批評は主 -
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ネタバレ書架で見かけて。
アンビバランス、という言葉がある。
ある対象に相反する感情を抱くことだ。
愛と憎しみとか。
この本ほど、この言葉にぴったりくる本はない。
読んだことのなかった、読むつもりもなかった作品を、
探偵小説の歴史とともに、
著者の人間観を明らかにし、
後世への影響も含め、
面白そうに次々と紹介してくれるのは良いのだが、
それ以上はもう書かないでくれ、というほど解説してくれる。
読み進めたいのに、読みたくない。
とても複雑な気持ちになった。
実際、何ページが本当に読まずに次の章に行ってしまった。
長い読書人生、こんなことをしたのは初めてだ。
後半になって読んだことのある作品を -
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ネタバレ[ 内容 ]
読者を謎解きに導く巧みなプロット。
犯罪にいたる人間心理への緻密な洞察。
一九世紀前半ごろ誕生した探偵小説は、文学に共通する「人間を描く」というテーマに鋭く迫る試みでもある。
ディケンズ、コリンズ、ドイル、チェスタトン、クリスティーなどの、代表的な英国ミステリー作品を取り上げ、探偵小説の系譜、作品の魅力などを読み解く。
[ 目次 ]
序章 探偵小説の誕生
第1章 心の闇を探る―チャールズ・ディケンズ
第2章 被害者はこうしてつくられる―ウィルキー・コリンズ
第3章 世界一有名な探偵の登場―アーサー・コナン・ドイル
第4章 トリックと人間性―G.K.チェスタトン
第5章 暴かれる