廣野由美子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「シラバス読んだらめちゃくちゃ面白そうだったのにいざ取ってみるとそうでもない授業」みたいな感じだった。例えになってないけど。
メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』を題材にして、合計21もの批評理論の立場とその実践例を紹介する本。批評理論を抽象的に羅列されたところで何が何だか分からなかっただろうから、その点では理解の助けになった。
ただほとんどの批評理論が、小説をより深く理解するためのツールではないように思えた。むしろ自分のイデオロギーの正しさを証明するために小説をダシに使っているようで、率直に言えばこんなことをして何になるのか分からない。
今までに提示されていない読み方を提示すること -
Posted by ブクログ
『赤毛のアン』『若草物語』『リンバロストの乙女』『あしながおじさん』などの少女小説に描かれる、強く生きる女性主人公の物語はいつ、どのように生まれ、展開していったのか。英国の古典的名作『ジェイン・エア』が与えた衝撃と、そこから始まる脱シンデレラ物語の作品群を読み解き、現代における物語の意味を問う。
半分くらいは未読だったんですが、気になりすぎて読みたくなっちゃった。子供の頃、こんな難しいことは考えずに読んでいたけれど、確かに女性が立ち上がって羽ばたく小説って海外ものが圧倒的に多かった気がする。海外小説にどっぷり漬かっていて、私があまりディズニーにはまらなかったのは、もしかしたら王子様を待つタイプ -
Posted by ブクログ
本書がどういう本なのかということについては、筆者が書いた紹介があるので、それを引用しておきたい。
【引用】
批評理論についての書物は数多くあるが、読み方の実例をとおして、小説とは何かという問題に迫ったものは少ない。本書ではまず、「小説技法篇」で、小説はいかなるテクニックを使って書かれるのかを明示する。続いて「批評理論篇」では、有力な作品分析の方法論を平易に解説した。技法と理論の双方に通じることによって、作品理解はさらに深まるだろう。多様な問題を含んだ小説「フランケンシュタイン」に議論を絞った。
【引用終わり】
私は小説をよく読む。本書は、その小説をよりよく、より深く味わうために有用ではないか -
Posted by ブクログ
前著『批評理論入門』は主に批評家視点での読み方であったが、本書では批判的な読み方ではあるが一般の読者寄りの視点での読み方の解説になっている。今回は『ミドルマーチ』が題材。具体的な例を挙げながら解説するのは前著と変わらないが、より社会や経済など広い概念からの批評技法となっている。ただ、やはり批評のための読み方であり、素直に小説を読むことを許してはくれない。
前著、本書を通して批評的な読み方をみてきたが、どうも言い訳感が拭えない。世の中にはちゃんとした批評家もいるのかも知れないが、自分が書きたくても書けなかった小説を書いているのが悔しくて、批評家という立場を使っていちゃもんをつけて溜飲を下げて -
Posted by ブクログ
主要人物が登場し、いかなる性格で、どのようなことを考えているのか、どんな社会的地位にあるのか、家族関係や財産の多寡はどうなのかといったことが少しずつ明らかになってくる。
うら若き女性が、かなり年上の学問に打ち込む牧師と短期間で結婚に至るというまとまりが一つ。医学の道に進み、成功を目指して新しい地にやってきた医師を巡るまとまりがもう一つ。
登場人物の性格が会話のやり取りなどからクッキリと浮き彫りになってくるし、夫婦間、親子間、友人間などにおける認識や気持ちのズレなども実に細かく描かれている。
19世紀小説に良く見られる、随所に挟み込まれる"全知の語り手"による考察も、 -
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Posted by ブクログ
チャールズ・ディケンズ、ウィルキー・コリンズ、コナン・ドイル、G・K・チェスタトン、アガサ・クリスティを中心に取り上げ、イギリスのミステリの古典における人間に対するまなざしのありようを論じた本です。
「探偵小説とは人間を描くものであり、とりわけ人間性の暗部を描き出すうえで、特殊な方法論を有するジャンルである」と著者は規定し、こうした側面から、それぞれの作家が作品中でどのようなミステリの手法を用いて、人間についての探究をおこなっているのかを明らかにしています。
ミステリというジャンルが形成されるプロセスとミステリの特徴について一般的に規定した上で、個々の作品に立ち入って議論をおこなっています