的場昭弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
きっかけ
世界史系の本であったり日常を過ごす中で諸悪の根源が資本主義と感じ、そもそも資本主義について知らないなと思って敵情視察みたいな感じで手に取った本
内容
資本主義が始まってからの近代史の解説
感想
ここ最近の楽しく読める読書傾向の集大成の様な本であった。他の本を読んで生まれた疑問や自分の中の答え、学習の土台が成熟された上で読めたので、思考・知識共に1段階積み上げられた充実感があった。重い本(平均6時間ほど)でありながらも、興味関心成長が実感できて集中して読み進められた。
イギリスとフランスでそれぞれ資本主義が始まっており、各地域の状況が複雑で難しいけどここのこれが起因でこれに繋がっているという物語性があり楽しめた。
資本主義が諸悪の根源なのでは?と疑問を持って読み始めたけど、何事にもメリットデメリットがある事実を突きつけられハッとしたと共に、何事も諸行無常であり感情を含めない本質で見ることが大切なんだなと深い学びにつながった。
ポスト資本主義ではないけど今後はアジア的な調整型経済、朝貢型経済から目が離せないとあってそっちの方が自分的には納得がいくなと腑に落ちた。とはいえそれも良し悪しはあるだろうし、子供が大人になる時にいい世界にしたいなと思った。 -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、資本主義の歴史を辿る一冊。
あるいは資本主義から見た近現代史。
ここで言う資本主義とは、18世紀後半に主にイギリスの産業革命を契機に大きな発展を始めた「あくなき利潤を追及するための社会制度」と定義する。
中央集権的な近代国家の成立、大航海時代を経て蓄積された本源的資産、プロテスタントによってもたらされた"節約と勤勉"の精神をその発展の土壌とし、動力をもった機械の発明(産業革命)及び農民の農地からの切り離し(労働力の確保)を最後のきっかけとして、資本主義の世はイギリスから始まった。
以降、「あくなき利潤を追及する」資本主義が、以下に既存の身分制度を崩し、社会を変革していったか、そして資本主義がどのように世界を飲み込んでいったかが歴史と共に描かれる。
まずイギリス国内で生じた貧富の格差はしかし資本主義の発展により埋められていく。すると資本は新たな利潤を求めて海外へとその領域を広げていく。今度は国家間の貧富の差が生まれてくる。その後、戦争や恐慌等の様々な衝突を経て、第二次世界大戦後、自由主義の下で資本主義は世界の隅々まで行き渡ることになる。
かつてのイギリス同様、先進国国内では中産層を含めて国内に富が分配され豊かになった。その結果、資本は途上国に移っていく。社会主義国家の崩壊を経て、世界中隅々に資本主義のマネーが行き渡り、国内ではこれ以上の投資先を失い低迷を始めた先進国と、力をもって次の主役たらんとするアジアとが拮抗するのが現在の世界だと言える。
世界史で勉強した近現代の西洋史が、資本主義を軸とした社会経済制度を背骨に語られ、非常に明快なストーリーをなしている。ここ200年の歴史は資本主義によって作られてきたのではないかとさえ了解される。
上で"西洋史"と書いたが、資本主義はあくまで西欧の歴史文化のなかで生じた社会制度であるゆえ、本書にはその周辺たるアジアアフリカは殆ど取り上げられない。
しかし、資本が投資先を求めて世界中に行き渡るようになった現在、西欧の停滞・アジアの勃興は誰の目にも明白である。次なる社会はどの地域を中心として回っていくのか。先のことは分からない。
だが、どうなるにせよ、嫌が応にも我々が参加させられている資本主義の本質と来し方を知り、未来を見据える際の基礎知識を概観できる一冊として、お勧めできる。 -
Posted by ブクログ
やはり池上さんは広く民衆的な範囲で物事を話してくれるから分かり易い。
的場さんは専門的で知識がとても深いから時に「それは何だろう」と思うような単語や文が出てくる。
2人のバランスがとても良く、広くも深くも考えられる本だった。
コロナ禍の日本、世界の今後の社会のあり方を見据えていて、モヤのかかった未来に少しずつ道筋を見せてくれるような本。
ここまで日本や世界の行く末を注視したことが無かったけど、資本主義の限界、社会共通資本のあり方、日本の記録の薄さ、菅政権の現状もよく分かる。
こういう本をどんどん読んで、自分なりに将来を予測出来る人間になりたいと思う。 -
Posted by ブクログ
21世紀におけるマルクス主義。
グローバリズムは「労働者の国際連帯」の契機である。
マルクス主義は「国際的に連帯」することで初めて意味を持つ。逆に一国だけの連帯では、新たな差別を生むだけであるのだ。
「共産主義」とはあらゆる階級が融和した社会である。資本主義は「内部」と「外部」の関係で成り立つのであるが、「共産主義」では外部も内部も存在しない。
今までの「共産主義」という名目で存在した「ソ連型社会主義」は、徹底した「内部」と「外部」が存在した。基本的に国家への忠誠を強いられるからである。
(経営者=共産党幹部、従業員=労働者とみなせば、ソ連型社会主義国家はひとつの大きな企業のようなものであるとみなせるのですがね。)
やはり・・・今のなってやっと資本主義が本気を出してきたのかもしれませんね。
マルクスやレーニンの考えた「資本主義」が今になってやっと現れたのでしょう。 -
Posted by ブクログ
歴史を考える時には、一方通行的に見る側と見られる側が存在しているだけでなく、双方向的に我々が見ているだけでなく相手から見られていると言う感覚を持つことが大事だと改めて気がつくことができました。
歴史は人類が誕生してから続くものである限り、単純に何かの原因があったらある結果になったと言う話ではなく、その原因も何かの結果として積み上がってきたものかと思います。
帝国主義時代の西欧や戦後のアメリカなど、当時の強者が倫理を持って行動してくれたらどれだけ今の世の中が良かったのだろうと思う場面も多くありました。
しかし結局はそう言う考えですら、現代の我々からしたらと言う視点であり、我々が未来の人々のためになる何かを今の自分たちを苦しめてまで行動するのかと言われると、それはそれで微妙だなという感じです。
我々に出来ることは目の前のことを一生懸命に生きていくだけなのですが、やはり過去からの学びと未来への視点は常に持つべきものだなと思いました。 -
Posted by ブクログ
タイトル「今こそ社会主義」からして、ロシアや中国の政治体制を礼賛するのではないかとやや不安に思いながらも本書を手に取った。本書は中国共産党や旧ソビエト連邦を模範とせよ、と言うものではなく、社会主義に対する考え方である資本主義、その中で国民生活を支える経済面の問題提起と、今回のコロナ対策などに見られる、国家が積極的•主導的に役割を果たすべき活動•政策の面から、社会主義的の良し悪しを考えていく内容となっている。社会が未成熟な状態では国家があらゆる国民活動に制約やルールを設けて、国民を纏めて国家全体を計画的に発展させていく、と言うやり方は合理的であり、かつてのソビエト連邦が第一次、第二次5カ年として実践、発展させた事は言うまでもない。国家に必要な要素を完成品から詳細に分析を重ね、部品一つ、ネジ一つに至るまで定量数値化していく事で資源の無駄や労働力の無駄が省かれる。そうした中で、従事する職業によって格差が生まれないよう、成果や利益を国家のものとし、国民に再配分していく考え方、社会主義の一形態として共産主義が生まれてくる。富は国家に帰属すると言う考え方は個人の頑張りや努力の度合いによる格差を生じさせないから、どれだけ頑張ろうがサボろうが同じ賃金になると考えるなら、努力しない方が楽である。そこから共産主義が限界を迎えるのは当然の事のように見える。かつての中国がそれであり、彼らはそこに新たな考え方、余剰利益を個人に帰属させる仕組みを作る。これにより現在の中国社会の様な、共産主義と言いながらも、農村部と都市部の決定的な所得格差や、成功者と失敗者の大きな格差を生んだ。資本主義は国家が国民の生産活動や取引に自由を与え、頑張るものは富を得られる状態にする必要があるため、これを称して自由主義と呼ぶが、現在の中国の在り方はその富の格差が表すように「共産主義的自由主義」と呼ぶ方が合っている。本書はそうした社会主義の形態含め、ソビエト連邦、今は解体されたユーゴスラビア、キューバ、旧東側諸国を例に挙げ、社会主義の問題について触れながらも、良い点についても述べていく。
最近アメリカでまたトランプ氏が大統領選で当選した。その背景にはアメリカ社会の中に広がる所得格差への大衆の不満があるのは間違いないし、それを海外からの不法移民に矛先を向け、解りやすい政策を打ち出した事が勝因の一つだろうと思う。資本主義•新自由主義の限界や、サービス産業に富が著しく偏り、日本製鉄の買収に見られる様に、アメリカの製造分野の衰退から生じる失業も背景にある。再び製造業を下地とする強いアメリカを目指して、世界で行きすぎたグローバリズムに楔を打ち込みに行く。世界はまた資本主義の在り方について再考を求められるし、それについての充分な議論が出来ない国は淘汰されていくに違いない。
近年新型コロナの対策が国によって大きく異なった結果、封じ込めの成否がそのまま国と政府の評価につながった。全体主義的な強烈な外出制限を国民に課した国もあれば、日本の様に、人々の自主性に任せた国もある。歴史的に疫病の封じ込めだけでなく医療に関しては国家がある程度の制御を加えない事には、生命の危機に影響を及ぼす事もあり得る。全て合理化を最優先する民間の営利に医療やその他生命に関わることを委ねるのは危険だ。軍事などもその代表格ではあるが、ウクライナ戦争を見てもわかる通り、近年は民間軍事会社が戦場に大量投入される。様々なシーンで社会が、資本主義が変わりつつある現代。本書は今一度、人間らしく平和に安全に安定的な人生を送る為にも、国がどこまで介在するか、体制から考え直してみる良い機会になる。 -
Posted by ブクログ
今年(2024)のGWの大掃除で発掘された本のレビューは大方終わりましたが、その前に娘夫婦が宿泊した時に大慌てでスースケースにしまい込んだ本があり、それらの本のレビュー書きを終了させたく思っています。記録によればコロナ騒動が明けて間もない、ちょうど二年前に読んだ本です。
ウクライナ侵攻が始まった頃に出された本で、なぜウクライナ危機が起きたのか、正しいの私が信じて疑ってこなかった「資本主義」とはどのような歴史で生まれてきたのかが、わかると思って読んだ本です。本の内容は忘れてしまっているので、レビューを書きながら見直していきたいと思います。
以下は気になったポイントです。
・資本主義とは何かという点で一致しているのは、資本主義は飽くなき利益を得るための社会制度であるということ(p20)まとめると、資本主義とは、飽くなき利潤獲得を目的とする制度である。人々は社会の利益のために、利潤獲得という本来の目的を変更することは絶対にあり得ない(p28)常に利潤を獲得するために、休むことなく動き続けるしかない社会である(p56)
・カトリック支配に対する抗議(プロテスト)があった、貧しい生活の中から教会に寄付しようとしても仕事の都合もあり教会に行くことができない人にとっては、仕事をしながら、あるいは仕事をすること自体が神を信仰することになるといった新しい方法が必要になってくる。こうして生まれたのがプロテスタントである、信仰よりも自らの仕事(天職)を大事にするようになり、生産力が上昇することになった(p39)
・マルクスは労働者が生み出されていく過程を、二つの自由、という言葉で表現している。1)土地からの自由、2)封建制からの自由(p53)土地を失った労働者は、仕方なく都市へ行って、工場労働者になるしか選択肢はない。こういう労働条件があって、資本主義が発展することになる。資本主義には、機械の発展・労働者(人間)を農村から追い出す、という二つの「発展」が不可欠である(p54)
・ナポレオンの失脚により1814年に崩壊し、イギリス圏が勝利して大英帝国という一極体制が確立する。これで一番困ったのは、欧州、特にドイツ以東の東欧の人たちである。東欧がフランス圏にあった時、ドイツ、ポーランドの小麦はフランスを中心都市た経済圏の中で動いていた、それがナポレオン体制の崩壊と共に、イギリスが支配していた中南米から安価な作物が入ってくる、すると、ドイツ、オーストリア・ハプスブルク帝国、イタリアの農作物が安く買い叩かれることになり、これに天候不順が追い打ちをかけて、東欧・南欧の人達は生活が立ち行かなくなり、人口が希薄であったアメリカが発展する景気が生まれる(p73)
・アメリカの南北戦争によって工業国へ変貌する、奴隷解放戦争ですが、これはアメリカの工業化と関係している、北部は工業が盛ん、南部はイギリスの分業システムに組み込まれていて、イギリスに綿花を売ることで輸出を支えているので黒人奴隷を抱えていたので、南部の経済は綿花無くしてもたないと思われていた。しかし実際には北部の工業製品の輸出でそれを補えることがわかり、北部の工業生産が南部のプランテーションのような植民地的システムを駆逐した(p83)
・明治時代の日本では、官営工場を摂理寿司、それに銀行が融資して民営化した後に、そこに税金を投入する。今でも日本を支配している財閥系の会社はそうしてできている、これが金融資本主義である(p96)
・西洋白人社会は、単なる西洋の支配ではなく、白人内部にもきめ細かい差別構造があった、東欧に対する西欧の優位、アングロサクロンのラテン系・スラブ系に対する優位、プロテスタントのカトリックに対する優位、ユダヤ人を含めた非西洋人、黒人に対する優位、男性の女性に対する優位、WASPという言葉に象徴される、ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタントは、民衆に対する貴族の優位のないアメリカで生まれた新たな貴族であった(p117)
・ロシア革命は、こうした概念の改革を迫る革命であった、労働者が帰属の牙城を侵食することをよく思わない西欧の特権階層は、ロシア革命への干渉を行い、さらに、ハンガrー、ドイツで起こった革命現象に対して厳しい態度で臨んだ、それがドイツに対する第一次世界大戦後の厳しい処置であり、結果的に第二次世界大戦の原因を作ることになった(p117)
・大恐慌の象徴的な出来事は、1929,10,24の株価暴落ですが、実際景気が悪化してどうしようもなくなるのは、その3年後の1932年から、1931年には株価は盛り返している。この恐慌は1937年に再来したが、最終的には第二次世界大戦によって解消された。最初の教皇はバブルによる連鎖的な破綻でかなりの地方銀行が倒産したが、大企業・大銀行は影響を受けていない。それが次第に悪化したのが、独占企業の問題である。業績が悪くなっても大企業はすぐにはリストラ、安売りをしない。しかし最終的には値下げをして安くするから収益が減り、賃金が下がる、そしてものを買わなくなる、こうしてデフレ現象が進んだ(p127)
・1945年から1949年までのドイツは占領下の状態にあった、東ドイツはソ連、北ドイツはイギリス、ライン川沿いの西ドイツはフランス、南ドイツはアメリカで分割し、ベルリンは東はソ連、それ以外の西は北から順に、英仏米が分割統治した。(p155)
・ケインズは、ドルでもポンドでもない「銀行金=バンコール」という新しい通貨の創設を提唱、これは時間によって減価するので受け取ったらすぐに使わなければならない、いずれの国もバンコールを独り占めできないシステム、それは金の自動調整機構にも似ている、一方、ホワイトはドルと中心としたドル基軸体制を主張して、これが採用された(p161)
・ポーランドは大戦後に領土が大きく変化する、東部分をソ連に占領され、その見返りとしてドイツ側の領土(オーデルナイゼせん)国土が大きく西にずれた。この問題が現在のウクライナ問題にも影を落としている、ウクライナには多くのカトリック、ポーランド人がいある(p203)
・ナチス側について戦ったのは、ルーマニア。ブルガリア、クロアチア、そしてハンガリーである。ハンガリー帝国は戦後の選挙では共産党は少数派であったが、ソ連による賠償金免除などにより次第に共産党が力をもち、1947年の選挙で勝利した共産党はやがて他等を解散させて追放し、共産国家が成立した(p205)
・1989年のソ連崩壊に至る流れは、自由を求める声でも、社会主義体制の崩壊でもなく、まさにシャイロック的金融(まずは借金で楽な生活をさせ、やがて身ぐるみはぐ、そのためにレーガンは高金利政策=強いドルの反共政策をとった)によって生まれた。ミサイルではなく、経済で、ソ連・東欧を崩壊させた(p210)
・ソ連、東欧経済は、それぞれの国の物価レベルにおいては、それなりに高いGNPを持っていた、ソ連は第3位の日本とアメリカの間にある、第二位の国でした。その実態は、生産性・技術・品質の低さ・効率の悪さなど、あらゆる点において比較にならないほどの状態であった(p215)国境を西側と接する、東ドイツ、チェコスロバキア、ユーゴスラビア、ハンガリーなどはすぐわかった、ユーゴスラビアは自由に外に出ることができたので、その影響は計り知れなかった(p216)
・過剰な公的債務に対する解決策はこれまで8つ存在する、そして現在もその8つが存在する。増税・歳出削減・経済成長・低金利・インフレ・戦争・外貨導入・デフォルトである。これ以外には解決手段はない(p275)
・今や中国を代表として、第二の資本主義という形で出現している、中国はすでに50近い国が参加している、建設投資銀行と、一帯一路という大きな建設計画を立ち上げた。これはある意味、アメリカ的自由主義経済への大きな挑戦である、国家が大規模インフラ計画を行うが、それを支えるのは各国が拠出する建設投資銀行である。アメリカと日本は参加しなかったが、欧州は参加したのは当然であった。貿易黒字を続ける国家をバックにした信用システムは極めて強い、中国の場合はリーマン時のように最終的に国が助け舟を出したのに対して、最初から国家が全面に出ている(p291)
2022年7月13日読破
2024年7月23日作成 -
Posted by ブクログ
最近改めてマルクスの「資本論」が話題になっているのはなぜだろうかと気になり手にした一冊。
資本主義とは、その課題は
資本主義の根底には収奪と侵略の正当化がある
利潤の追求においては互恵はあり得ない
=win winはない
資本主義は私的所有を前提としているため労働によって生み出される富が私的分配されてしまう
=格差が生まれ、拡がる
マルクスの資本論の本質は
資本主義が追求する目的や発展過程の運動法則を網羅したもの
資本主義の矛盾を指摘しいずれ限界がくることを示す
=共産主義、社会主義を推奨した訳ではない
有名な「共産党宣言」は資本の性質から労働者にもグローバル化への覚悟を示したもの
今後どこへ向かうのか
貨幣のあり方により米ドルを基軸通貨とする世界が終わり米中露のパワーバランスが崩れる
SDGsはじめ環境保護へ取組むのであれば経済成長は諦め脱成長へ
生産手段を私有から社会化することで慈しみを持って自分事と捉えて足るを知る社会へ
景気が悪くなる、社会不安が高まると資本論は多く読まれる傾向にあるらしい。
マルクスの資本論は実は資本主義の目的や法則、そして矛盾を示したもので共産主義、社会主義を賞賛するものではない。
資本主義は資源に乏しいヨーロッパで収奪と侵略を是として発展した。あくなき利潤追求が世界規模まで侵食しいよいよ飽和状態となり様々な不都合が出てきたのが現在であろう。
その一つがSDGs。一つの解決策が脱成長。
私的所有から公共財の社会化により慈しむ気持ちと足るを知る社会が新しい資本主義となるのではないか。
知り合いの中国の方からデジタル人民元について教えてもらったが、大いにゲームチェンジする要素を持っているようだった。ウクライナ問題よりもイスラエル問題が深刻で、正に資本主義の転換点にいるのではないかと感じている。 -
Posted by ブクログ
資本主義には"オチ"がある
■概要
資本論を解説するのではなく、「落語と結びつけるとこう理解できるのでは、現代社会に活かせるのでは?」という落語家の筆者からの提言。
・人間の業を肯定する資本主義と落語
>そんな談志の理念の一つが、「落語とは人間の業の肯定である」 という歴史的な落語の定義であり、 これをはじめとするいくつもの落語の理論化を打ち出しました。 マルクスと談志、落語と『資本論』。 まったく異質なものですが、あえて無理やり共通項を見出そうとすると、「人間のシステム エラー大全」ではないかと思います
・資本主義のオチ (解釈の解釈)
まず資本主義社会は、産業革命初期から格段に良くなっており、ましてや封建主義や奴隷制に戻りたいわけではない。ただ良くなっているから、資本主義を全肯定していいのかという前提がある。
資本主義の弊害、労働疎外〜これは個人の労働力を商品として売買するから?〜や環境、自然への影響が挙げられる。これらはまさに人間の業であり、個別事象をみると「いやいやそんなアホな」という"オチ"がある。ところが"全体最適?"という社会全体を元に話が進むと、"アホな"みたいなトホホなオチが落語の様に資本主義にも待っている、すでにそんな話がいくつもある...
■感想
イノベーションの扱いが雑だし、考察が甘い点が気になったけど、それ以外は良かった。
○マルクスと資本主義
マルクスは社会主義者で古い、というのが誤った考えであるが、学生時代の教科書の浅はかな理解だとそうなりがち。あくまで資本主義の不完全さを解いたのが資本論であり、社会主義革命に影響を与えたのは共産党宣言なのでは?
○資本主義の捉え方
そうすると資本論とは社会主義マンセーではなく、資本主義をみなおす上で大変示唆に富むはずだし、資本主義か社会主義かの二項対立はおかしい。"社会主義が失敗したから現代資本主義は正しい"ということはなく、資本主義の先にある我々人間の活動、業との向き合いを考えなければならない。そういう意味では本書も哲学書である。その哲学の部分を落語噺や談志師匠の言葉でイメージをつけてくれた。
○資本は虚数iの様に抽象概念で実態がない
特定の資本家、金持ちが搾取するというフランス革命前の様な封建主義と違い、資本は実態がない。なのに全てを、特に人の労働力を「商品」にするし、労働者からは搾取する。※これもブラック企業の様な明らかな悪ではなく、目に見えない抽象概念。最終的には我々を「包摂」していく。フランス革命と異なり倒すべき相手が居ないからこそ余計にタチが悪い
○敵はわが内にあり!?
やはり自らを「商品」ではなく、資本を活かす「生産者」であると捉えるしかないのか。山口さんのいう「コンサマトリー」、内なる心の声に従い何かを成そうとする、その過程において資本をうまく使えるのか、やはり資本に包摂されるてしまうのか。そこがポスト資本主義への分水嶺だと思う -
Posted by ブクログ
冷戦の終戦を機に、マルクス主義の影響力は弱まった。これで、マルクスの思想は過去の遺物だと、そう思われた。しかし、21世紀アメリカ一強の時代となった矢先に、イスラム勢力が台頭し、その象徴たる同時多発テロ事件は世界を震撼させた。これ以降、世界情勢は混乱を極める。そのような時代だからこそ、マルクスの書物に目を向けるべきだと著者は説く。たしかに、社会主義や革命の必然性は誤りであったが、それでもなお、マルクスが現存する資本主義システムの見方は今も色あせない。このように、本書は『資本論』を含むマルクスの著書を、改めて読み直し、今後の社会の動向、システムにどのように向き合うべきかを考えさせてくれる。
本書を読むと、現代人はどれほど近代的価値観に刷り込まれているのかを思い知らされる。著者によると、近代とは、人間が頭の中で思い浮かんだことを、現実へと移行させようと邁進した時代であったという。そのため、資本主義とは、人間の潜在的な欲望を具現化させるための社会システムだといえる。また、近代以降に誕生した国家とは本質的に装置であり、その中核である国家権力を奪おうと革命を起こしたところで、微動だにしない。ゆえに、資本主義社会とは、均衡のあるシステムである。これら以外にも、従来とは違う解釈で、マルクスの思想に迫るが、いずれにせよ、現代人に何らかの意義を与えてくれる。 -
Posted by ブクログ
著者はマルクス経済学が専門なので、特に19世紀は経済の記述が多い。
19世紀に、歴史学は王朝の正当性を語る宮廷史に代わって、客観的な史料史学、実証史学が出現したが、解釈の問題が残った。シュペングラーは、「西洋の没落」で世界史=西洋史であることに疑問を提示した。アーノルド・トインビーは、アマチュア歴史家だが、あらゆる国について網羅する世界史「歴史の研究」を書き上げた。
資本主義は国民国家の市場の枠内で成長し、資本が蓄積すると近隣諸国へ資本を輸出して、国外市場の獲得に手を付け始めた。西欧では、それぞれの市場が閉鎖的だったため、アジアやアフリカ、南アメリカが狙われることになった。安価な工業製品を生産するためには、安い原材料を仕入れなければならないため、他国を植民地にするか不平等な条約を締結させて強奪する帝国主義政策が生まれた。自由資本主義時代に恐慌が頻発した結果、弱い企業が駆逐され、独占的企業が生み出された。1860~70年代になると、企業は競争しなくなって寡占化し、カルテルやトラストを結ぶようになった。これを銀行が主導し、帝国主義国を支える大きな存在になった。