【感想・ネタバレ】落語で資本論 世知辛い資本主義社会のいなし方のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ


資本論の大事な要素と落語の話を合わせたいままで見たことない本になってます。
落語の話と資本論の話がわかって一石二鳥であることがよくわかります。
また、所々に談志師匠の話が非常に的を射てて改めて、談志師匠凄さ実感しました。
マルクスの資本論は大変難しい本なので、それをうまくまとめた談慶師匠にも改めて敬意を示したいです。
#読書
#読書記録
#読書好きな人と繋がりたい
#立川談慶師匠

0
2023年10月19日

Posted by ブクログ

資本主義には"オチ"がある

■概要
資本論を解説するのではなく、「落語と結びつけるとこう理解できるのでは、現代社会に活かせるのでは?」という落語家の筆者からの提言。

・人間の業を肯定する資本主義と落語
>そんな談志の理念の一つが、「落語とは人間の業の肯定である」 という歴史的な落語の定義であり、 これをはじめとするいくつもの落語の理論化を打ち出しました。 マルクスと談志、落語と『資本論』。 まったく異質なものですが、あえて無理やり共通項を見出そうとすると、「人間のシステム エラー大全」ではないかと思います

・資本主義のオチ (解釈の解釈)
まず資本主義社会は、産業革命初期から格段に良くなっており、ましてや封建主義や奴隷制に戻りたいわけではない。ただ良くなっているから、資本主義を全肯定していいのかという前提がある。
資本主義の弊害、労働疎外〜これは個人の労働力を商品として売買するから?〜や環境、自然への影響が挙げられる。これらはまさに人間の業であり、個別事象をみると「いやいやそんなアホな」という"オチ"がある。ところが"全体最適?"という社会全体を元に話が進むと、"アホな"みたいなトホホなオチが落語の様に資本主義にも待っている、すでにそんな話がいくつもある...

■感想
イノベーションの扱いが雑だし、考察が甘い点が気になったけど、それ以外は良かった。
○マルクスと資本主義
マルクスは社会主義者で古い、というのが誤った考えであるが、学生時代の教科書の浅はかな理解だとそうなりがち。あくまで資本主義の不完全さを解いたのが資本論であり、社会主義革命に影響を与えたのは共産党宣言なのでは?
○資本主義の捉え方
そうすると資本論とは社会主義マンセーではなく、資本主義をみなおす上で大変示唆に富むはずだし、資本主義か社会主義かの二項対立はおかしい。"社会主義が失敗したから現代資本主義は正しい"ということはなく、資本主義の先にある我々人間の活動、業との向き合いを考えなければならない。そういう意味では本書も哲学書である。その哲学の部分を落語噺や談志師匠の言葉でイメージをつけてくれた。
○資本は虚数iの様に抽象概念で実態がない
特定の資本家、金持ちが搾取するというフランス革命前の様な封建主義と違い、資本は実態がない。なのに全てを、特に人の労働力を「商品」にするし、労働者からは搾取する。※これもブラック企業の様な明らかな悪ではなく、目に見えない抽象概念。最終的には我々を「包摂」していく。フランス革命と異なり倒すべき相手が居ないからこそ余計にタチが悪い
○敵はわが内にあり!?
やはり自らを「商品」ではなく、資本を活かす「生産者」であると捉えるしかないのか。山口さんのいう「コンサマトリー」、内なる心の声に従い何かを成そうとする、その過程において資本をうまく使えるのか、やはり資本に包摂されるてしまうのか。そこがポスト資本主義への分水嶺だと思う

0
2023年11月06日

「ビジネス・経済」ランキング