飯田亮介のレビュー一覧
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このシリーズの濃密さを食らってしまうと、他の小説が物足りなくなる。土地の特性、生まれの特性、時代の流れを、2人の幼馴染の関係性を語る物語に組み込んだ超大作。とにかくエネルギーがすごくて読むとナポリという混沌に否応なく引き込まれ夢中になってしまう。読むと感情が引っ張られてしまうから、危険。
辛くて、悔しくて、なぜこんなことが起きるのか、なぜ。と思ってしまうこと、自分の思い通りにはならないことばかりが起きる。こんなに小説で揺さぶられるのは、初めての体験かもしれないと思った。
このなぜ。には最後まで安易な答えや理路整然とした説明なんてものはなくて、最後まで混沌としたまま終わる。人生ってカオスだ。
こ -
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まずタイトルがいいです。理系が大好きな素数ですよ。タイトル買いでした。
幼少期のスキー事故で足が不自由になり、拒食症の少女アリーチェと、ある過去の罪を背負い、自傷癖のある数学の天才少年マッティアの幼少期から大人になるまでの物語です。
マッティアが数学専攻なので、双子素数という話がでてきて、間に一つだけ偶数をはさむ素数のペアのことらしいですが、まるで主人公の二人のようでした。
二人を取り巻く周りの人たちも苦しんでいる素数たち。心理描写が美しい。分かり合えない苦悩を数学にかけてるのがおしゃれだなあと思います。
孤独な二人がお互いを必要としながらも、不器用な接し方しかできない、二重螺旋のよう -
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分厚さに最初は怯んだものの、一気に読み終えてしまった。それくらい空気感が自然で、引き込まれる。リラとエレナの女の友情のゆらぎ、地縁や階級に縛られた人間関係。自分とは違う国、時代を生きているのに、自分の小中時代を思い出して重ねてしまった。それくらい感情がリアル。夢想しては現実を見つめて、リラと近づいては遠のいて…相反する感情のせめぎあい。周縁消滅-ズマルジナトゥラ-という感覚も、なんとなくわかる気がする。青春期、今までと見える世界が変わって、家族を全く違う他者として認識する感覚…。2巻以降でもこれについては触れられるのだろうか。まだまだ序盤なので、これからさらにこの世界観にトリップできるのが楽し
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ネタバレエレナはナポリを離れ結婚生活を始めるが、思い描いていた結婚生活を送ることができずにいた。そこで何十年も思い続けているニーノとの再会を果たす。国内の情勢の変化に伴い混沌とした環境で苦しむリラを支え、自らの著作活動も進まず、夫への愛情も見失い、子育てにも苦しむエレナはニーノと愛人関係に落ちてしまう。家族との訣別を決心しニーノと旅行に出かけるシーンで今回は幕を閉じるが、エレナとリラの人生はどのような顛末を迎えるのか。最終巻も楽しみにしたい。
かつて暮らした街から逃れてもなおリラの幻想からは逃れられず、どれだけリラから離れようとしても節目節目でエレナの前に立ちはだかるリラ、死んでくれとまで願うほど憎む -
購入済み
久々に読みごたえのある良作
イタリアベストセラーというのが半分驚き。
というのも中身がけっこう暗めで、マイノリティの話なので、そんな大勢に読まれるのか、と・・・。
しかしながら読書好きは東西問わず、重さ、孤独が好きなのかもしれない。
感情移入しながら読んでしまう。 -
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感染症とは僕らの様々な関係を侵す病だ…
この災いに立ち向かう為に
僕らは何をすべきだったのだろう
何をしてはいけなかったのだろう
そしてこれから何をしたらよいのだろう
コロナ時代を生きる人々へ
イタリアを代表る小説家が送る
痛切で、誠実なエッセイ集
何を守り 何を捨て 僕らはどう生きていくべきか
2020年春ローマにて
非常事態下で綴られたイタリア作家の叫び
今読むべき傑作エッセイ
物理学を専攻した作家パオロ・ジョルダーノ氏は
この危機を「忘れたくない」と繰り返す
ウイルスの不安や驚きに満ちた
緊急事態の今だから
ヒリヒリと感じる事を…
落ち着いた私たちはたちま -
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HBOでドラマ化もされたイタリアのベストセラー、ナポリの物語全4巻。とにかくはちゃめちゃに長い本なのだがあらゆる時間を削っても読ませるドライブがある。貧困と暴力にまみれたナポリのある地区。幼馴染みの女の子二人の幼少期から60年以上に渡る愛憎の物語。
このお話は主人公のレヌーとリラの友情物語として紹介されることが多いようだけど、ただの友情物語では終わらず、猟奇的な「地区」に翻弄され縛り付けられる人間たちを群像劇的に描いた物語として読んだ。
主人公はレヌーでありリラであるけれど、同じ地区に暮らす女たちの物語であり、ソラーラ兄弟の物語でもある。
地区での日常が書かれる中に、イタリアならではの家族 -
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どこかかつて観た記憶のある映画のシーンが、深い水の底から浮き上がってくるような感覚。それが本作のいくつかのページで感じられたものである。語り口や物語の進め方が上手いのは、この作家が初の小説デビューにも関わらず、映画の脚本家としてならした経歴の持ち主だからだろう。
作家が自分の物語として作り上げた「老いた殺し屋」オルソのキャラクター作りだけで既に小説を成功に導いているように思えるが、やはり彼の旅程を彩る派手なバイオレンス、また、彼が救い出す母子との交情の陰と陽のようなものが、この作品に、とても奥行きを与えているように思える。とりわけ少年と孤独な老人の間の不思議な絆ができあがってゆく風景は、 -
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ネタバレなんの話か?と思うような断片的なエピソードが重なり、人物像があらわれてくる。
エピソードの中にはかなり生理的に受け付け難いものもあり、主人公たちが受ける心の傷を理解できる。
理解はできるけれど、なんで、もう、そんなにも不器用なの?なんでそんなに、あちこちつまづくの?さらっと流して行けないの???
と言いたくなるような不器用すぎる人生にイライラしっぱなし。
拒食気味で偏屈なアリーチェと、自閉症気味のマッティア。
他人も巻き込んで、はた迷惑ながんこさ。
拒食で出産を拒否する妻に絶望して去っていく、アリーチェの夫ファビオは被害者とも思う。
その時に、アリーチェは9年ぶりにマッティアに連絡を取る。魂の -
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終わってしまった…読み終わったばかりでまだ咀嚼しきれていないけれど、とりあえず読みながら考えていたのは、これほど女性の友情をリアルに率直に描いた作品を読んだのは初めてかもということ。全く違う個性の他人同士がお互いに惹かれ合い、気が合い、友達になる。相手への共感や憧れ、好意、信頼だけでなく、相手には負けなくないという気持ちや嫉妬、反発もある関係。お互いに相手の全てを受け入れられるわけではなく、嫌悪感を持つところもあったりする。長い人生の中で親密な時もあれば離れる時もある。それでもお互いが唯一無二の存在である。とてもとても複雑な、一筋縄ではいかない関係。ある意味、恋愛関係よりも濃くて深いかもしれな
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