マフィア映画の名作『ゴッド・ファーザー』のドン・コルレオーネは、
実在したマフィアのボス何人かのエピソードを寄せ集めて作られた
人物だ。
だからか。マフィアを扱ったノンフィクションにはまるで映画の
筋書きのような作品が多い。だって、マフィア撲滅運動に尽力した
検察官が、高速道路を走行中の
...続きを読む車ごと爆殺されちゃう事件が現実に
起きるのだもの。
本書は伝統的なマフィア組織コーザ・ノストラに家族を虐殺され、
復讐の為にコーザ・ノストラと対峙した信仰犯罪者集団を率いた
男が綴った半生の記である。
シチリア島で生まれた著者は子供の頃から悪さを繰り返し、17歳に
してドイツへの逃亡を余儀なくされる。そこでいかさまギャンブラー
となる。そして、久し振りに帰京した際に遭遇した襲撃事件。
自分の一族とコーザ・ノストラとの間にあった過去の軋轢、次々に
親族の男たちが殺されることへの衝撃、そして芽生えた復讐心。
ドイツに戻り、ギャンブルで儲けた金を惜しげもなく武器の調達に
つぎ込む。コーザ・ノストラに不満を持つ者たちと同盟を結び、
愛する祖父や叔父たちの復讐を果たして行く。
と書くと格好いいのだが、復讐心も勿論あったのだろうが、一番の
動機は自分の身に危険を感じたことなんだろうな。塀の外の世界に
居続けたのなら、常に命を狙われることになるのだから。
27歳で逮捕された著者は死刑制度の廃止されたイタリアでは最高刑
である終身刑を言い渡され、本書も獄中で執筆されている。
自分の人生を振り返って反省している点もあるが、結局は暴力の世界
に身を置くと頃sれるか、逮捕されるかしないと苑からは抜け出せない
のではないのかな。特にマフィアのような犯罪集団に目をつけられれ
ば尚更だろうな。
尚、復讐劇が幕を開けるまでの著者の女たらしぶりには「イタリア男
の本領発揮か」と言う感じ。金も車も女も自由自在の生活からすべて
に厳しい制限のある獄中生活の落差って凄いだろうな。