飯田亮介のレビュー一覧

  • コロナの時代の僕ら

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    自分の損得勘定だけにもとづいた選択はベストな選択とは言えない。真のベストな選択とは、僕の損得とみんなの損得を同時に計算に入れたものだ。(41ページ)

    感染症の流行に際しては、僕らのすること·しないことが、もはや自分だけの話ではなくなるのだ。(44ページ)

    今回のウイルスを季節性インフルエンザと勘違いして語る者も多かった。感染症流行時は、もっと慎重で、厳しいくらいの言葉選びが必要不可欠だ。なぜなら言葉は人々の行動を条件付け、不正確な言葉は行動を歪めてしまう危険があるからだ。(103ページ)

    僕は忘れたくない。家族をひとつにまとめる役目において自分が英雄的でもなければ、常にどっしりと構えてい

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    2021年07月10日
  • コロナの時代の僕ら

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    昨年4月に緊急出版。2021年7月時点で、日本では、まだコロナ禍のまっただなか。本書あとがきの「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」が、自分にとって何かを考えて、生きていたい。

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    2021年07月04日
  • コロナの時代の僕ら

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    ネタバレ

    この本が、2020年3月26日に原書で刊行されていた、こう事実がお見事だな、と思いました。そして、日本語版は2020年4月24日の刊行。うむ。迅速である。お見事ですね。

    今、この感想を書いているのは、2021年5月24日ですので、自分はほぼ一年遅れでこの作品に出会ったのだ。うーむ。もったいないことしたな。と思うのが正直な感想です。あの、一年前の、新型コロナウイルス禍がまだどれほどのものか分からず、恐れとともにほぼ家から出なかった、あの時期に、読みたかったな。真にリアルタイムで、と思いました。

    一年経つと、状況は、やはり変化しているものです。まさに「あの時」の、あのリアルタイムな雰囲気。あの

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    2021年05月24日
  • 素数たちの孤独

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    ネタバレ

    体に傷を負った少女と心に傷を負った少年の
    孤独な1人と1人の物語。

    2人が出会う前、出会ってから、離れたり
    再会したりする中でそれぞれに「救い」の
    存在を探し求めながら成長していく姿が
    描かれている。

    事故で片足が動かなくなった少女アリーチェと、
    知的障害がある双子の妹を自分の故意による
    行動によって失ったマッティア。
    同じ場所にいてもそれぞれの孤独が明確に
    存在していて特にマッティアの孤独は深くて
    救いはどこにあるのかと感じる。
    たとえ神様が妹を蘇らせてくれても彼は救われ
    ないのかもしれない。

    これだけ孤独を書いているのに物語のそこかしこに
    瑞々しさを感じるのは若い2人が主人公だからか

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    2021年04月28日
  • 老いた殺し屋の祈り

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    還暦を過ぎた殺し屋オルソが40年前に生き別れになった恋人と娘を探しに行くという話。ありきたりな設定ではあるけれど中身は面白い。老いと病があるなかで激しいアクションもある。これが読み応えがある。途中で出会う女性とその息子との交流のホッとする場面と命を狙われている緊張感。殺し屋を引退しようと決意したときに去来する想いが溢れてくるラストもいい。

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    2021年04月08日
  • コロナの時代の僕ら

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    ネタバレ

    イタリア人作家にして、素粒子物理学専攻の博士課程修了という著者による、2020年3-4月頃、つま新型コロナの感染がイタリアでも拡大し始めた頃の病名COVID-19、ウィルス名SARS-CoV-2の感染症に向き合い、コロナ後も忘れたくないことといった視点での科学者・数学者的なエッセイ集。
    CoV-2には、まだ感染させることができる感受性人口が(当時で75億人近くと)大きいことから、感染を避ける生活行動でアールノート(R0:基本生産数)を1より小さくすることが大切であること、そして感受性人口から感染を経ずに(もう感染させることができない)隔離人口に移行させることなど、感染症対策の基本的な精神が伝わ

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    2021年03月25日
  • コロナの時代の僕ら

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    単にコロナ禍でのイタリアの状況を述べたものでなく、コロナ感染拡大の中で、個人の内面と向き合い、そこから人類全体が抱える問題にまで思索を巡らしている点が良かったです。
    また後書きが素晴らしく、コロナ収束後の「忘却」について触れている部分は皆が読むべきでしょう。

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    2021年02月27日
  • コロナの時代の僕ら

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    ネタバレ

    この「まさかの事態」を忘れないために。

    誰が何を言って、誰が何を言わなかったのか。すでにもうかなりのことを忘れかけている。間違いなく世界の歴史に重大な出来事として刻まれるだろう、新型コロナウイルスによる感染症の全世界的な拡大。それぞれが、それぞれの場所で、それぞれの日々を生きている。その、イタリアの一人の作家の声。

    著者の声は極めて冷静で、真面目。楽天的すぎず、悲観的すぎない。わからないことに対して、性急な結論を求めない。書かれた時期もあるのかもしれないが、ひたすら待つ姿勢だ。

    考えよう、家にいよう、自分を見つめよう。この「まさかの事態」に耐え、この経験から学ぶために。それがよりよく生き

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    2021年02月21日
  • コロナの時代の僕ら

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    この本は2020年2月、3月のイタリアで書かれ、4月に日本で出版された本である。
    そこから1年近くが経過し、まだ私たちはコロナの時代の渦中にいる。終息の目処さえ立っていない。

    忘れたくない、とコロナ禍の初期段階で終息後の私たちに投げかける言葉を記した著者。
    コロナ疲れなんていう言葉が生まれる私たち、にだ。

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    2021年02月08日
  • 素数たちの孤独

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    イタリアの物理学者が描く恋愛小説。繊細過ぎる二人のすれ違いが、もどかしくて仕方がなかった。最後は、二人ともがそれぞれの道に進んでいくことになり、残念だけど、ひとまず安心すべきなのかもとも感じた。二人はまさに素数に象徴されるような孤独を生きている。スクールカーストのような関係や親子関係とか、万国共通だなと思った。
    もっと他の作品も読んでみたい。

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    2021年01月26日
  • コロナの時代の僕ら

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    不謹慎かもしれないが、人類史の中でこういった特殊な出来事に遭遇できたことはある意味貴重な経験だと思っている。この騒動が収まったあとに、渦中の出来事を記しているものは自分にとっても、家族にとっても価値が出るだろと思って購入。
    公的なデータを引用していたり、事実と推測はある程度分かるように明言されていたり、印税の一部を医療従事者に寄付することが明言されていたり、随所で作者の思慮深さを感じることができた一冊だった。

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    2021年01月03日
  • リラとわたし ナポリの物語1

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    孤高のリラと、そんな彼女をいつも追いかけてしまうエレナの友情の物語。4部作の1冊目。
    ただただ周りに翻弄される幼少期から、諦めも含めて道を選択していく思春期までを描いている。
    評判の割にどこから面白くなってくるんだろう、、と諦めそうになりつつも読んでいると、主人公達の不器用(でも、どこか自分にも経験があるよう)な毎日が、どう変化していくのか、段々のめり込んでしまった。
    残り3冊を読み進めるには少し腰が重たいが、これからの展開が気になる。

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    2020年12月12日
  • コロナの時代の僕ら

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    冷静な科学の視点と、小説家らしい感性に訴える文章で、今の状況とどう振る舞うかを分かりやすく分析している。良い本だった。

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    2020年11月21日
  • コロナの時代の僕ら

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    いろいろあってあんまり読書が進まずで感想文もサボってました。ということで話題になったこれ、読んでみました。作者は素粒子物理学の博士課程をでているイタリアを代表する作家さんだそうな。コロナがかなりきついタイミングのイタリアで書かれたエッセイだけどページ数も少なくてさらっと読めてしまう。内容に特に目新しい言説もなくだいたい世間で言われている内容のど真ん中、という感じではあった。ではどこが優れているのかというと日本語版に特に収録されたという「あとがき」が良かった。noteの早川書房のサイトでまだ公開されているみたいだから興味持たれた方は一読されても良いかもしれない。(リンクつけときました)特に自分が

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    2020年11月16日
  • コロナの時代の僕ら

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    これが書かれた2020年4月から11月の今までの間に、それでも、かなりの進展があったのだなあと思いながら読んだ。イタリア的なものと、科学への揺るぎない信頼と。

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    2020年11月02日
  • 素数たちの孤独

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    素数とは1とその数字以外に約数を持たない数字。つまり他の数字と共通点がないということになるだろうか。
    アリーチェは幼い頃に習っていたスキーの練習中の事故で足に傷を負い、引き摺って歩かなければならなった少女。
    マッティアは幼い頃に双子の妹を亡くしてしまった事に責任を感じている自閉症気味の少年。しかし、数学については天才的な才能がある。
    この一見、何の共通点もない二人が出会い、お互いに強く惹かれだす。しかし、反発も生まれる。

    双子素数というものがある。一つの偶数を挟んで隣り合う素数だ。11と13とか。
    隣り合い、同じ素数という惹かれ合う関係でありながら、素数であるが故にそれ以外に共通項がない二人

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    2020年07月13日
  • 素数たちの孤独

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    1と自分の数字以外では割ることができない素数になぞらえた、それぞれが深い闇を抱えた男女の、運命的な出会いから、時に交わりながら歩んでいく孤独な人生譚。
    独特なトーンで進んでいく物語は、不思議な吸引力を放ち、決してハッピーではないのに、なんともスッキリとした読後感を与えてくれる。

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    2020年06月21日
  • コロナの時代の僕ら

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    ネタバレ

    免疫が必要なのは身体システムだけじゃない。社会システムも、感染症に対する免疫が必要だ。
    リモートワークが定着し、業務システムが急速にDXを推し進め、世界は
    狭くなったと感じる人も多いだろう。しかし、僕は全く逆の視点から、世界は狭くなったと感じる。(対面営業じゃないと成約率が悪いと危惧する部長、オンライン会議だと議論が活発化しないと危惧する部署が例)コロナ化を通じて、逆に人は目の前の人や物事にしか本当に向き合うことはできないのだと感じた。家族との時間が増え、自宅の環境が整い、休日はいつもは通り過ぎていた公園に本とコーヒーを持って出かけるようになり、近場の飲食店で食事を済ませるようになった。公園の

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    2020年11月26日
  • 新しい名字 ナポリの物語2

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    すごい。地域柄なのか、みんなすごく気性が激しいんだなと思うけれど、人間関係の機微や人の複雑さが微妙なところまでうまく描かれていて、本当に面白いし、読み応えがある。彼らはもう私の中で生きている。

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    2020年03月03日
  • 素数たちの孤独

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    最初の数章は、独立した短編小説のよう。物語が繋がっていくのが謎解きみたいで、知らず知らず引き込まれる。

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    2019年11月16日