飯田亮介のレビュー一覧

  • 新しい名字 ナポリの物語2

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    2巻も勢いは落ちないどころか、怒涛の。途中で本を置くことなどとてもできず一気読み。すっかり日が暮れた。残りも読ませて…

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    2019年01月15日
  • リラとわたし ナポリの物語1

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    「自分の意見は断固主張しながらも、非の打ち所がない普段の行いによってあらゆるひとたちから信頼を得てバランスを取るのだ。」(376頁)

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    2018年09月18日
  • リラとわたし ナポリの物語1

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    NYTが選ぶ21世紀の100冊で1位。思春期に誰もが通る嫉妬や挫折、広い世界への憧れ。リラの頭脳とカリスマに「成瀬」を重ねて楽しい部分がある一方、子どもではどうしようもない地域や家族のしがらみが苦しい。続刊も積まねば!

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    2025年09月28日
  • タスマニア

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    読み始めたのが偶然にも8月6日だったのは、運命の悪戯だろうか。本との出会いのタイミングは偶然であり必然なのか?作者の自伝的小説。

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    2025年08月15日
  • リラとわたし ナポリの物語1

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    分厚さに最初は怯んだものの、一気に読み終えてしまった。それくらい空気感が自然で、引き込まれる。リラとエレナの女の友情のゆらぎ、地縁や階級に縛られた人間関係。自分とは違う国、時代を生きているのに、自分の小中時代を思い出して重ねてしまった。それくらい感情がリアル。夢想しては現実を見つめて、リラと近づいては遠のいて…相反する感情のせめぎあい。周縁消滅-ズマルジナトゥラ-という感覚も、なんとなくわかる気がする。青春期、今までと見える世界が変わって、家族を全く違う他者として認識する感覚…。2巻以降でもこれについては触れられるのだろうか。まだまだ序盤なので、これからさらにこの世界観にトリップできるのが楽し

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    2025年04月20日
  • 素数たちの孤独

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    高校時代に「孤独」「素数」が何故か自分の中にフィットしてタイトルだけ見て購入。
    孤独を感じながらも不器用に生きて行く少年少女様子が書かれている。高校を卒業して大学に入っても孤独を感じていた時に読んでいた。読んでいると孤独でも別に良いじゃないか、孤独と向き合っていこうと思えた。「人は好きなものに偶然出会い、それにしがみついて人生を築いていく」というフレーズは、学生時代の孤独を感じながらも研究にしがみつく自分と重ねていた。

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    2025年01月10日
  • 素数たちの孤独

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    当然ではあるけれど、陽気な人が多いイメージのイタリアにも内向的な人はいるはずで。
    内向的な二人が出会う恋愛小説。ストレーガ賞受賞作。

    410ページで、全7章の構成。半分の200ページを5章(20歳くらい)までで使い切ってしまう。
    二人の人格がどうやって形作られてきたか、
    それをさっと書いて、その後後半でくっついたりすれ違ったりが、書かれているイメージ。

    アリーチェとマッティアがそれぞれ語り部となって2人の出会いを物語っていく。
    一人称で語って行くから、
    二人それぞれの主観的、独りよがりな感じをを明確に感じさせる構成。
    読者の価値観や年齢によって、感じ方が分かれそうな作品。我儘ねぇ、とか、そ

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    2024年08月26日
  • 狼の幸せ

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    ネタバレ

    ミラノ生まれの作家、パオロ・コニェッティは子どもの頃から夏になると一九〇〇メートル級の山地にあるホテルを拠点にして登山や山歩きを楽しんできた。三十歳を過ぎた今も、モンテ・ローザ山麓にあるフォンターネという村に小屋を借り、その土地で目にした自然と生き物の様子やそこに生きる人々の飾らない暮らしぶりをノートに書き留めては創作の糧にしてきた。デビュー作『帰れない山』以来、作家本人を思わせる一人の男の目を通して、山で生きる厳しさと愉しさを描いてきたが、今回は四人の男女の視点を借り、山で生きる男と女の関係に迫っている。

    小説はフォンターナ・フレッダのほぼ一年を扱っている。四季の移ろいとそこに暮らす人々の

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    2024年03月28日
  • 狼の幸せ

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    ネタバレ

    モンテ・ローザの麓フォンターナ・ブレッダを舞台にミラノから離婚してやってきた作家ファウストと彼を雇ってくれたバベット、元森林警備隊員のサントルソとウェイトレスのシルヴィア。この4人が関係を築き影響を与えあいながら変化していく。自然描写の息を呑むような美しさと綺麗事だけではないトイレ事情などの生活面での厳しさ。一年を山や森林の変化と狼の見え隠れする存在感で満たした文章の美しさ、ディネーセンに捧げられたよう気がしました。また北斎を意識した36章仕立て、富士山ならぬモンテ・ローザを背景に人間たちの営みが描かれユーモアにも優れています。

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    2023年08月23日
  • 素数たちの孤独

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    なかなかおもしろかった

    「素数は1とそれ自身でしか割り切ることができない。自然数の無限の連なりのなかの自分の位置で素数はじっと動かず、他の数と同じくふたつの数の間で押しつぶされてはいるが、その実、みんなよりも一歩前にいる。彼らは疑い深い孤独な数たちなのだ」と本文には書いてある。
    そして、孤独には『積極的な孤独(Solitude)』と『消極的な孤独(Loneliness)』があり、原題では前者が使われている。

    主人公はふたり。アリーチェという少女と、マッティアという少年。
    アリーチェは拒食症で、マッティアは数字の天才。
    子どものころ、アリーチェはいじめにあっていた。そしてマッティアは発達障害

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    2023年07月01日
  • 失われた女の子 ナポリの物語4

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    4部作を一気に読んだ。長く濃密な旅路だった。
    世界的ベストセラーになったのは、あらゆる境遇の人の共感を得やすいからだろうか。二人の主人公と言うべきエレナとリラは共にナポリの貧しい地区出身で、中学にすら行く子供が珍しい環境で育つ。しかし、共に素晴らしい頭脳を持ちながら、教育を受ける機会を獲得し都会に出て徐々に知識人・中流階級へ仲間入りしていくエレナとは対照的に、リラは進学を阻まれ10代で商店主と結婚し、以降の人生もナポリの地に根を生やし続ける。しかし2人の友情は、互いへのごく繊細な愛情・羨望・憎悪・嫉妬をない混ぜにしながら、一種の複雑な共依存の様相を呈し、生涯にわたって続くことになる。

    一巻の

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    2023年06月24日
  • 狼の幸せ

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    大きな話ではないんだけれど、読んでいる間この山にいられることが心地よい。

    とにかく出てくるお料理が皆美味しそう。

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    2023年05月13日
  • 狼の幸せ

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    作家のファウストはパートナーと別れ、イタリアンアルプスの集落フォンターナ・フレッダに来た。そこでコックとして働くことに。冬の山はスキー客などで賑わい、冬が終わると人がいなくなる。ファウストはこれまでと、これからを考え始める。集落での出会い、生活、山やその周辺の自然の大きさがファウストを変えていく。作中に葛飾北斎の名前や『富嶽三十六景』などが語られる場面があってそれが与える影響も興味深い。

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    2023年05月03日
  • 老いた殺し屋の祈り

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    オルソ”熊”と呼ばれる男がいる。
    その名の通りの195センチの大男で、鍛えられた肉体を持つ。
    数多くの逸話で語られ、齢60を過ぎても組織のトップ、ロッソの右腕。恐れと尊敬を持って扱われている未だ現役の殺し屋だ。

    物語はそんなオルソが病院で目覚めるところから始まる。
    心臓発作を起こして目覚めたオルソは死を間近に感じて、それまで唯一心から愛した女性アマルの現在を知ろうとする。
    アマルが妊娠したことをきっかけに組織を抜け、2人で生きようと決意したことがある。だが組織内で特に信頼されているオルソのことをロッソは手放そうとはしなかった。逆にアマルと娘のグレタの命を危機に晒すことになる。オルソは2人の安

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    2022年11月24日
  • コロナの時代の僕ら

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    コロナ禍(2020年の流行初期)のイタリアにいる著者のエッセイをまとめたもの。
    大学での専攻は素粒子物理学とのことで、冷静に、数学的に今回のコロナ禍を見つめているような文章。

    このようなウイルスは、人間の行う環境破壊や今までにない生物の乱獲などが原因でまわりまわって出現してきたと書かれていて、そんなことは考えてもみなかったので驚いた。
    自分が生きている間はもう、このような世界的ウイルス流行はないと勝手に思っていたけれど、全くそうではない可能性があると知り危機感を覚えた。あまりに表面的なことしか見ていなかったなぁと反省…

    全ては人間の行いに繋がっているという側面で、コロナ禍が過ぎたあとに、何

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    2022年10月04日
  • コロナの時代の僕ら

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    今から2年も前の出版物とは思えないほど、現在の私たちに当てはまることが多く、この2年で随分変わったように思えても、結局は同じことを繰り返しているのだと気付かされた。

    見えないものとの戦いは私たちを疲弊させる。痺れを切らした私たちは、自粛や感染症対策についての「甘い」情報を理由にして規制を緩めてしまう。一方で「厳しい」情報もあり、なにが正しくてなにを信じたらいいのか定まらない。
    科学は日進月歩だから、情報には新しいものも古いものもある。それを私たちはどう見極めればよいのかというと、なかなか難しい。

    この作品はわかりやすい比喩と、わかりやすい数字を用いて私たちの行動や気持ちに訴えてくる。
    また

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    2022年08月09日
  • 素数たちの孤独

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    心と体に傷を負った少年少女が、苦しみを抱えながらもがきながら成長していく話。
    それぞれの人生が交互に語られ、その孤独の深さにこちらも辛くなるが、微かな光が差し込むラストに心が救われた。人生の様々な局面で選ばなかった答えを、もし、自分が選んでいたら…そんなことを考え余韻に浸っている。

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    2022年04月02日
  • リーマン・トリロジー

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    最初分厚さに怯んだものの、散文詩のような形式と、リズミカルな会話体?のテンポの良さ、それと軽快で妙なユーモアがあってスイスイ読める。読み終わってみれば、これは確かにお芝居やミュージカルっぽいし、映画化もありだなと思う。
    面白かった。

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    2021年12月07日
  • 素数たちの孤独

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    これでいい。終わり方はこれでいいんだと思う。途中でおそらく誰もが想像する終わり方だったら、安っぽいし、だいたいファビオとナディアが「なんだったの」になってしまうではないか。この終わり方だからこそ、いろいろ考えてしまうし、しみじみとした余韻が残る。

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    2021年08月07日
  • コロナの時代の僕ら

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    僕は忘れたくない。今回のパンデミックのそもそもの原因が自然と環境に対する人間の危うい接し方、森林破壊、僕らの軽率な消費行動にこそある事を。

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    2021年08月01日