平澤朋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ケン・ローチ監督の映画「オールド・オーク」を観てからシリア関係の本を何冊が読んでいる。この本は映画と同じイギリスに来たシリア難民の話である。
主人公のアーヤは才能豊かなバレエダンサー、アレッポでも著名なバレリーナにバレエを習っていた。そして内戦で命からがらシリアから逃げ、途中海で遭難しかかりながらイギリスに着く。ところが父親とは生き別れ、母親も体調が悪く、弟はまだ幼いという頼れる人がいない中、運良くイギリスのバレエスクールに通えることとなり、徐々にアーヤの精神も回復し、未来に向かって力強く歩き始めるという話であった。
たびたび挿入されるバレエの動作、また踊り手の精神がバレエの根幹をなすということ、バレエの先生がユダヤ人でナチの虐殺から亡命したであることなど、ストーリの中に色んな要素が盛り込まれ、厚みのある話となっており、大変良い話だった。
日本人が難民を理解するのに適した本だった。ただしアーヤがもしバレエの才能に恵まれていなかったら、物語は悪い方にしか展開しなさそうで、あくまでお話という感じは否めなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前説で簡単に“ニルスが小さい理由”と“ガチョウに乗って旅をしている”ことが書かれているので、原作を知らなくても楽しめるかと思う。
ある夜ニルスが迷い込んだのは、住民達の傲慢さに天罰がくだり、海底に沈んだ町。
自身の行動の選択によって、その町を助けることができなかったことに、悲しさと口惜しさをにじませるニルスに、成長を感じる(動物いじめてた子なのでね)。
文章だけでも情景が胸の中に広がっていくけれど、はっきりとした色合いなのに柔らかさのある絵が、いっそう物語を引き立てている。
ヨーロッパの風景写真もついた解説で、背景の理解もすすんだ。 -
Posted by ブクログ
すごくよくて、最後は涙をこらえながら読んだ。
たしかに、アーヤにバレエの才能があり、逃れた先でもすばらしい先生と出会い……という展開は、甘いといえば甘いのかもしれないけど、希望がないとなかなか先を読む原動力が生まれない。
でも甘いだけでなく、アーヤの今と、これまでを描くなかから、シリアでバレエ好きのふつうの少女として暮らしていたこと、ある日戦争がどんどん迫ってきて逃げ出すしかなくなったこと、過酷な逃避行とお父さん……、難民キャンプのつらさ、ひたすら希望のない待機を迫られる難民申請の理不尽さなどなど、きびしい現実も描かれていて、日本の入管などのことも頭に浮かび、つらくなる。
そして、そういったもろもろのことを外からの視点じゃなく、ある日突然「難民」にならざるを得なかったアーヤの視点から読むことができるのがいい。周囲の無理解や偏見を受ける心の痛み、失われた人や暮らしへの悲しみ、自分と家族の人生が「申請」と「審理」で決められてしまう絶望感、一縷の希望、そして自分だけがイギリスで踊り続けてもいいのかという罪悪感などがありありと伝わってくる。
かわいいバレリーナの(ちょっと日本人ぽい……というか、ヨーロッパ人ぽい?!)表紙だけど、踊る人にも踊らない人にも、男の子にも女の子にも手にとってほしい本。