法条遥のレビュー一覧

  • バイロケーション スプリット

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    前作の『バイロケーション』は主にバイロケーションという「現象」に焦点を当てていたのに対して、続編の本作はバイロケーションの人格を重視した物語になっている。記憶の上書きや自律的成長などはどことなく物悲しく悍ましい。その設定は巧みで色々と応用が効くものだと思った。ただ、前作に比べて主人公が殺し屋という設定のせいか、ホラー要素はやや薄く、悲劇性もそこまでではなかった。あくまでこれ単体というよりは前作の続編としての楽しみ方のほうが合っているとは思う。

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    2019年05月27日
  • バイロケーション

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    バイロケーションというドッペルゲンガーの現れる一つの現象を扱ったSFホラーミステリ。特にバイロケーションの設定が面白く、全く同じ記憶を持った自分が現れることの影響や、日常生活に与える不利益などを非常に分かりやすく伝えており、ホラー特有の日常に潜む恐怖という点はクリアしている。記憶が同じ存在の差異を見つけるための策などもよく練られている。可読性も高く、淀みなく読めた。展開の予測のつかなさやテンポなどもよく、結末の理不尽な感覚も作者の持ち味が出ていて素晴らしいが、全体的に細かな設定を積み上げたせいか、やや小ぢんまりと纏まってしまったのが惜しまれる。主人公の独特の境遇も仕掛けを予期はさせるが、真相は

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    2019年05月27日
  • 地獄の門

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    ネタバレ

    殺人事件で殺され、地獄に落ちた男が転生して真犯人を追う傍ら、現世でその恋人も犯人を追うという二重構造のミステリ。地獄の設定やシステムは非常に秀逸でスラップスティック。地獄編の描写は非常に面白かった。現世での女刑事である愛も著者特有の狂気に満ちており、その心理描写は上手い。ただ、地獄編の主人公である良太が一貫して現世に残してきた恋人の名前を出さなかったことと、愛の父親が婿入りという時点で、作品の大掛かりな仕掛けが粗方読めてしまったのは残念極まりない。理不尽を得意とする著者だからこそ、消去法で最も理不尽な可能性を考えたら容易く行き着いてしまう。ホラー寄りのせいか、ラストの悪魔の一人語りも理不尽を通

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    2019年05月27日
  • リアクト

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    前々作『リライト』前作『リビジョン』から続くシリーズ3作目。『リライト』の裏側の真相が明かされており、事態はより複雑化しエントロピーの増大した構成となっている。パラドックスの穴をつきつつ、矛盾を改めて演じ直すというのは分かりにくいものの、その真相は圧巻で非常にロジカルなものとなっている。前2作にあったホラー的な要素はやや薄れているものの、代わりにSF色とミステリ色は濃くなっている。理不尽を結末に置くことの多い著者ではあるが、今回はその理不尽さは動機になっている趣が強く、理不尽に演じ直す(リアクト)していく様は非常に面白かった。余談だが、文章は個人的にはかなり好みで複雑な構成ながら分かりやすく感

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    2019年05月27日
  • 忘却のレーテ(新潮文庫nex)

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    両親を事故で亡くして以来死に激しい拒絶反応を示すようになった女子大生の唯が、記憶消去薬の臨床実験に参加させられる。科学者の監視のもと死体を発見したり記憶が断絶したりの七日間は、曖昧さにややこしさも凌駕する妙な勢いがある。性別不詳で唯に滅茶苦茶好みだと思わせる美形の謎めいた殺し屋の南にも引き込まれた。

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    2018年10月10日
  • バイロケーション スプリット

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    二度目ましての作家さん。
    前作バイロケーションの続編なんだけど、前回とは主人公が違う。
    ザックリ言うと、料理人で殺し屋の佐和が主人公で
    バイロケーションともよい関係を築いていたはずなのに
    そこに考え方の違いが出て来てハプニング発生
    更に、新たな現象が起こって・・・という感じ。
    前作ほどの驚きはなかったけれど、面白かったです。
    カバーイラストが残念。ホラーですってば。
    ホラー読まない人は絶対に手に取らないと思ったら勿体ないです。

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    2018年09月17日
  • リライブ

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    ネタバレ

    冒頭。今回の主人公がさぎりさんというそうですが、正直どちらさまですかね、という状態。
    4冊目の今回でフィナーレを迎えるのですが、一番最初にリライトを読んだ時の衝撃が一番すごくかったので、最終話まで読んでは見たけど後付け感がぬぐえなくて、ああうんよかったねえ、しか感想が残らなかったです。
    ただ4冊かけた春夏秋冬や名前の使い方の表現なんかは詩的ですごく好みです。

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    2018年04月29日
  • リアクト

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    ネタバレ

    やっぱり一度読んだだけでは理解が追い付かない。
    未来のタイムパトロールが繰り返す7月に巻き込まれる話。
    冒頭でミステリーかと思わせておいてただのラストへの繋ぎ回のイメージ。

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    2018年04月29日
  • リビジョン

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    ネタバレ

    前作の保彦の出生の話。
    現在から分岐している仮定未来の同じ人物が交錯して、正直なところ一度読み通したときは理解しきれませんでした。
    作者さんがわかりやすいように書いてくださっているのはわかるんです。私の理解が追い付いてないだけで。
    後日シリーズ通して読み直してふんふんなるほどと理解できたので満足。

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    2018年04月29日
  • バイロケーション

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    ネタバレ

    ジャンルはミステリ寄りのホラーだけど別に怖くはない。実際にバイロケーションが出たら恐ろしいとは思うが、うまく共生できれば二馬力になるかも…と思ったり。
    結局バイロケってなんなのかとか、警察はどうなったのかとか、飯塚の立場とかよくわからないまま終わった部分も多い。オチの展開も早々に読めてしまう。加納が殺された辺りが盛り上がりのピークだった。飯塚に護衛をつけられた辺りの忍は、見張られているというストレスはわかるものの、守ってもらって?もいるのに不満ばかりで、自分ではなにもしないくせに当たり散らして見ていていらっとしてしまった。最後まで本物の忍はいいとこなしだったし。

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    2017年09月08日
  • バイロケーション

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    オリジナルである自分、バイロケーションと呼ばれる自分。
    自分ではあっても自分ではない存在。
    もしもその姿を目の当たりにしてしまったら、精神的に受けるダメージは想像もできない。
    自分だったら・・・そう考えると、見なかったことにしてしまいそうだ。
    それでも実際に被害が及ぶようになったら、どんな解決方法がベストだと言えるのだろう。

    幸せな新婚生活。
    突然現れたもうひとりの自分。
    そして、少しずつ蝕まれていく精神。
    崩壊していく幸せな生活と、転落していくだけの人生。

    人生なんてちょっとした出会いや機会から変わっていくものなのかもしれない。
    そのときは気がつかなくても、人生の分岐点に立っていることが

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    2017年06月05日
  • リライブ

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    リ、シリーズ4作通して一気読みし、タイムパラドクスもののSFとして楽しかったが、シリーズが進むにつれて次々と真相が新しい様相を見せる上に、時間軸が過去-現在-未来にぽんぽんと跳ぶので、最終的なオチが理解できていないのが残念…作者が作ったという時間旅行のチャート表を付録でつけてくれたら良かったと思う。

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    2017年05月13日
  • リアクト

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    「時を翔る少女」と「リライト」という酷似した二冊が存在した理由の解答編。
    保彦からさらに700年経た未来人のタイムパトロールの少女ホタルの物語。
    解答編ではあるのだが、さらに話がこんがらかる。
    リライトと比べて世界線?が変わってる?
    大震災は起こったの?起こってないの?
    ホタルが坂口穂足として存在していたのも無理があるような気がするが、突っ込んではダメなのだろうか。
    全体的に面白く感じるのに細かな部分がよく分からない感じがすごいモヤモヤする。
    この一連のシリーズが最終的にはどう落ち着くのだろうか。

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    2017年03月16日
  • 忘却のレーテ(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    おもしろかったけど、ところどころのチープさが目立つ。
    顔がめちゃめちゃ好みの性別不明って、性別不明なこと役にたった?
    24時間の記憶を消すのと、”死”という概念を消すのと、”自分が死産をしたこと”の記憶が同列っていうのも、SFとしては物足りない。
    そう、なんか物足りない。

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    2016年09月26日
  • リライブ

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    リライトシリーズ最終巻!
    リライトを読んだ時の衝撃は凄かった。
    リビジョンは理解できたけど、リアクトからリライブの流れは正直よく分からなかった。
    連続して読めば理解できるのかもしれないけど、かなり疲れるからやだなー笑

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    2016年09月23日
  • 忘却のレーテ(新潮文庫nex)

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    記憶喪失ミステリー。
    綺麗にまとまってる感じがする。
    裏表紙の”驚愕のエンディングに戦慄必至”というほどのインパクトはない。

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    2016年08月19日
  • 忘却のレーテ(新潮文庫nex)

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    高額の報酬を代償に、記憶を消す新薬「レーテ」の実験台となった笹木唯が中心に描かれる。毎日眠ると記憶が消される。きちんと記憶が消ええているかを実験するべく、科学者監視の下で外出の出来ぬ7日間を過ごす。
    この7日間に起こる殺人事件。犯人は誰なのか。そして、なぜ科学者は、記憶を消す新薬を作ったのかーー。

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    2015年10月10日
  • リアクト

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    「リライト 」「リビジョン」に続く三作目は、
    西暦3000年からやってきた
    タイムパトロールの少女が、
    「リライト」の謎に迫る物語。

    もう、タイムパラドックスのパラダイス・・・
    時系列も、登場人物も、ストーリーも、
    複雑きわまりなくて。
    相関図を書きながら 、
    前作も読み返しつつ、
    何度もページを戻り。
    やっと物語に追いついた〜
    と思ったら、ひっくり返る展開がお待ちかね

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    2015年09月24日
  • 忘却のレーテ(新潮文庫nex)

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    やっぱり途中で気づいてしまうのですね。
    まさか。このトリックは。
    でも気づかないフリして。
    もしかして自分の読みは違うかもしれない。
    そう思いながら読み進める。
    それで違った場合はヤラレタゼー!
    って感じるのですが。まぁそのままでしたね。
    そう!つまり!比較的分かりやすいトリックとアレ?と感じさせる不気味さがウリかもしれません。自分も1度『忘れ』て再読したいな。

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    2015年07月08日
  • リビジョン

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    時をかける少女オマージュの「四季」シリーズ二巻目。
    息子の「ヤスヒコ」を死の運命から救うため、未来を見られる手鏡を駆使する主人公。しかし思いもよらない人物達が立ちはだかる!という内容。
    1巻は「続きが気になる!」って感じだったけど2巻にして漂う「大丈夫かこれ」感……笑 1巻時点ではこのややこしすぎるパラドックスがどういう解決を見せていくのかなぁ!っていう期待があったのだけど。今はこれ解決しないパターンもあるな。っていう心境。
    帯とかかっこいいんだけどなぁ。分かりやすくしようという気が文章にないからきっと現代では流行らないと思う。あと主人公の行動原理が謎。というかすでに「時」に操られている感が。

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    2015年07月01日