法条遥のレビュー一覧
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正直、裏表紙のこの解説ではあまり惹かれなかったのですが、長編賞受賞という言葉に惹かれて買ってしまったこの作品。ドッペルゲンガーとは異なる、といっても自分そっくりサンと出会って
ドタバタ騒動が起きるんだろうとなめていました。が、が、が!
あらぬ容疑で警官である加納に突き出された忍は、彼の車で高級レストランへと連れて行かれる。
そこでは、自分とまったく同じ容姿で自分の近くを闊歩する謎の存在、バイロケーションに悩まされる人々が会合を開いていた。そこで彼らが語るのは、とても理解できないようなおかしな話。そして胡散臭い会の名前
もう一人の自分であるバイロケーションをなんとかする会
彼らは本当にその -
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ドッペルゲンガーの小説を読んだことが無かったので、バイロケーションという設定のどこが具体的に新しいのか正直分からないのだが、終盤のに入った段階で、このドラマを作る上でこの設定が無くてはならないものだったと気づく。大きなオチに当る部分(と考えていたもの)が中盤に仄めかされてしまうので、「え、なんで?」と思っていたが、最後の全てが明らかになる所では、緻密に組み立てられた斬新なドラマならではの驚きがてんこ盛りで舌を巻いた。間抜けなほど口をあんぐりと開けていたように思う。とても楽しめた。ただ、ちょっと最後だけに偏りすぎてバタバタした感じはするが…。
20代の新人がこれだけの作品を書いたことに驚く。 -
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バイロケーションという設定があまりにも作りこまれている感が強くまた説明不足かな、と思うところもあったのですが、いろいろと面白味の多い作品でした。
主人公と同じくバイロケーションに悩まされる人が集う会に主人公も参加するわけですが、その会の秘密主義があまりに徹底されていて謎だらけの展開に導入も早くて話に引き込まれました。
伏線の張り方もばっちりで、また主人公の生活や精神が徐々にバイロケーションに侵食されていく様子の描き方もうまく、話の流れはなんとなく読めたものの、伏線が一気につながるラストは圧巻でした。
その場面での主人公の描き方もかなりの迫力で、後味の悪さがいい感じで尾を引きました。
第 -
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タイムリープSF
『時を翔る少女』という名の作中作が登場し、タイムリープするために飲む薬からはラベンダーの香りがする
そんなオマージュのある青春タイムリープ作品
が、ものすごい読後感です
筒井先生の『時をかける少女』とは大違い
これを言うのはネタバレなのでは……とも思うのですが、帯やらあらすじで公式に書かれているので言ってしまいます
バッドエンドです
「史上最悪のパラドックス」
(映画化をふまえてからの)「かなりダークな原作小説」
といった宣伝文句
中身がまたなかなかにややこしいです
過去と現在を行き来する構成、その途中でもまず「んっ!?!?」となり、そしてラストのパラドックス
正直、矛盾 -
Posted by ブクログ
裏表紙の解説を読み、少し迷いながら購入しました。読み終えての率直な感想は「ナニコレ…」。正直なところ、かなり混乱しています。
ストーリー全体をうまく理解できたとは言えず、特にラストはまだ消化しきれていない気がします。それでも最後まで読み切ってしまったのだから、やはり面白い作品なのだと思います。
個人的には、格闘漫画の「フェニックスボール」やバスケ漫画の「スリーポイント」には思わずクスッとしてしまいましたし、全国大会の開催地については「そんなことまで考えるの!?」と突っ込みながら読んでいました。実際、世界観に没頭できる物語は、こういう細部にまで筋が通っているものだと思いますが、この場合がこじ付け -
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ネタバレ映画化に伴って平積みされていたので購入。卵が先か鶏が先か、のタイムパラドックスもの。よくある「タイムリープして〇〇を助ける」系ではなく、「300年後の少年がちょっとした好奇心でタイムリープしたら全部ぐちゃぐちゃになっちゃった!」という取り返しのつかなさが怖面白い作品でした。
「300年前の時代で恋をした少年が、思い出だけは持って帰りたいと願って奮闘する」という要素を抜き出せば可愛らしい恋愛小説なのに、そこに「何を犠牲にしても誰を殺しても彼を自分のモノにする」という狂気が差し込まれたことで一気にハヤカワ文庫になるので凄い。
一番最初の『時を翔る少女』は一体どういう作品だったのか、フィクションだっ