法条遥のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ映画化に伴って平積みされていたので購入。卵が先か鶏が先か、のタイムパラドックスもの。よくある「タイムリープして〇〇を助ける」系ではなく、「300年後の少年がちょっとした好奇心でタイムリープしたら全部ぐちゃぐちゃになっちゃった!」という取り返しのつかなさが怖面白い作品でした。
「300年前の時代で恋をした少年が、思い出だけは持って帰りたいと願って奮闘する」という要素を抜き出せば可愛らしい恋愛小説なのに、そこに「何を犠牲にしても誰を殺しても彼を自分のモノにする」という狂気が差し込まれたことで一気にハヤカワ文庫になるので凄い。
一番最初の『時を翔る少女』は一体どういう作品だったのか、フィクションだったのかノンフィクションだったのか、"最初にタイムリープした誰か"は存在したのか…。2010年代前半に流行った「世界線」とか「因果律」系の概念が良かったです。ただ構成上どうしても読みづらいのと、個人的にもうちょっと心理描写が入る方が好きなので星4。 -
Posted by ブクログ
リライト、リビジョン、リアクト、リライブ4部作完結編。3週間かけてやっと読破できた。
ただ読み進めるだけなら3週間もかからないと思うが、如何せん、この作品群は少なくともメモを取り、そのメモを読み返し、行きつ戻りつしないと読み進められないブツです。
落としどころは、保彦と小霧との ――― 人類滅亡あるいは人類など最初から存在しなかったとなりかねない ――― 数千年の時空移動を駆けた愛のオマージュ物語でした。
あーしんどかった。
時を、駆ける少女。
時を、書ける少女。
時を、欠ける少女。
時を、欠ける少女。
いずれもが私に当てはまり、同時に、そのすべてに当てはまらない。(「1四季」p17)
私は、国枝小霧。
四季を繰り返す女だ。
(「1四季」p20)
夏に『美雪』が溶けてなくなり、
秋に『霞』時間を覆し、
冬に『蛍』が舞い、
そして・・・・春に『小霧』が光となる。
(「2私記」p56)
駆けた。―小霧として、どういう人生を送ろうが―――。
欠けた。―その人生とは、すなわちもう一度欠ける・・・、死ぬためだけのもの―。
賭けた。―だからもう、賭けるという意味の期待すら、意味がない―。
今回も、私は賭けたのに、この人生もまた失うだけの人生だった。
(「3死期」p59)
「久しぶり」
それが、少年の第一声だった。
国枝小霧と、一条保彦。
その最初の出会いは、夏だった。
(「3死期」p75)
『秋』に消えた母の因果を、
『冬』に姉からもらった力で、
『春』が見えない妹を、
『夏』の物語を導くために・・・。
(「4始期」p94)
私の名は、
冬における『一条保彦』。
春における『国枝保彦』。
夏における『園田保彦』。
秋における『千秋保彦』。
(「6指揮」p131)
晒される夏
繰り返す秋
解明かす冬
回帰する春
春の霞に、生まれた命が、
夏の蛍に、導かれ
秋の小さな霧へと、姿を消し、
冬の、美しい雪と出会う
時に、1992年7月1日
この日
“霞”―すべての始まりとなる『夢』を見る日
“蛍”―すべての始まりとなる『本』を彼女に貸した日
“小霧”―すべての始まりとなる『彼女』の誕生日
“美雪”―すべての始まりとなる『彼』と出会った日
そして
“保彦”―名前のない彼が、『名前』と出会った日
(「時と四季のエピローグ」p231)
(作品紹介)から
未来へ跳んだ夏、過去を変えた秋、時に挑んだ冬。
すべては君の、完璧な春のために――。
2013年春、転生し続ける女、国枝小霧(くにえださぎり)の結婚式に届いた一通の祝辞が、
物語の真実を語り出す――。
未来から来た少年・保彦を救うため、
中学二年の美雪が時を超えた1992年夏『リライト』。
予知能力を持つ千秋霞が、
息子が死ぬ未来を変えた1992年秋『リビジョン』。
タイムパトロールの少女・ホタルが、
ある書籍を持った少年と邂逅した1997年冬『リアクト』。
すべての出来事は、この完璧な春のために……四季を巡る物語、完結篇 -
Posted by ブクログ
1作目の『リライト』、2作目の『リビジョン』でもそうだったが、読書メモしながらでないとついてゆくことができないシリーズの3作目。
「時を駆ける少女」
「時を書ける少女」
「時を欠ける少女」
「時を賭ける少女」
が
「一人は、未来から来た、セーラー服の少女。
一人は、自らの記憶の差異に悩む、女性小説家。
一人は、辛い目に遭って、それでも負けない、強い少女。
そしてもう一人は・・・・。」
と友恵によって収斂されてゆく。
友恵に対して持っていたイメージが激変する第3作であり、3作目までで回収できていない伏線の処理を期待しながら、4作目『リライブ』に臨みたい。
(内容紹介)
プロローグ1『桜井唯の手紙』
プロローグ2 『保彦と蛍』
プロローグ3『遠き夏の日』
プロローグ4『リライト』
1『時を駆ける少女 1』
2『時を書ける少女 1』
3『時を欠ける少女 1』
4『時を賭ける少女 1』
5『時を駆ける少女 2』
6『時を書ける少女 2』
7『時を欠ける少女 2』
8『時を賭ける少女 2』
エピローグ1『大槻雪子の手紙』
エピローグ2『蛍と保彦』
エピローグ3『遠き秋の日』
エピローグ4『リアクト』
1992年、N中学校2年4組の美雪は、未来からきたという保彦と出会う。ある小説を探して一夏を過ごした彼は、300年後へ帰ったはずだった。
そして1992年秋、西暦3000年からきたタイムパトロールの少女ホタルは、過去が見える能力者、坂口霞との遭遇をきっかけに岡部蛍の小説『リライト』に疑問を抱く。
作中で2年4組の同級会が開かれたという2002年に向かったホタルは、恐るべき夏の真実に近づいてゆく。
シリーズ第3弾 -
Posted by ブクログ
rewrite
一 〈人が〉〈文などを〉書き直す;〈歴史〉を(都合の)いいように改竄する。
二 〔比喩的に〕・・・を改める、・・・の焼き直しをする。
ジーニアス英和大辞典(2001年発行)
「かなりダークな小説。
過去は変わらないはずだった――1992年夏、未来から来たという保彦と出会った静岡県岡部町の中学2年生・美雪は、旧校舎崩壊事故から彼を救うため10年後へ跳んだ。2002年夏、作家となった美雪はその経験を元に小説を執筆する。彼と過ごした夏、時を超える薬、突然の別れ。しかしタイムリープ当日になっても10年前の自分は現れなかった。」(作品紹介から)
2002年と1992年を章ごとに行き来しながら、時系列に従って話は展開されるが、読み進めていると、かなりの違和感を伴う。
やがて、
「私」はひとりの「私」なのか?
ここでの「私」はいったい誰なのか?
何故、「私」が複数人の女子なのか?
を問いながら読み進める面倒くささに遭遇し、頭が倦んでくる。
そのうちに、タイムリープがもたらす時間パラドクスが、異様なほどの厳格さで展開され、最終的に一気に語りつくされるが、そのパラドクスには終わりがない。
すなわち、非常に面倒な作品であり、読む者の神経だけでなく肉体さえも疲れさせる。
続編もあるようだが、読み進めるかどうかは、ただいま、思案中。 -
Posted by ブクログ
非常に上質なタイムリープもののSF作品。時をかける少女をメタりながらも、しっかりとならではの味を出していく名作でした。特に過去の「私」が入り乱れていく展開は見事で、とにかく怖かったです…!
現在起きている事件は何なのか、過去に起こったことは何が本当なのか。何も分からず、でも引き込まれながら読み進めることで明かされる衝撃の結末はまったく予想外の展開で驚嘆!死角から突然右ストレートぶち込まれたような衝撃に思わず声が出そうになりました。ただ結局鶏が先か卵が先かみたいな話で、いろいろ疑問に残るところは多いので、その辺りに納得できることを期待して続編も読んでみたいですね。 -
Posted by ブクログ
「リライト」から続く、不条理タイムリープシリーズの完結編。前作の「リアクト」もかなり複雑ではあったが、本作もそれに負けるとも劣らない難解さである。前作、前前作を読んでいてもいまいち読解が追いつかず、一読で完全に把握できないのはやや惜しむ部分であるとは言える。ただこの複雑さはある種のメタ的な意味も多分に含まれており、著者の得意とする「不条理さ」を現しているとも言えるので一概には否定出来ない。時のルールは絶対で、一度狂えば全て狂い、無限拡張していくという、ある種の当たり前を煮詰めに煮詰めた作品であるともいえよう。情報の複雑さを除けば、結婚式を間近に控えた、輪廻転生するたびに記憶を保持し続けた盲目の女という設定は非常に上手いと思ったし、あらゆる人間を犠牲にしてでも全ては妹のこの日のために捧げた兄のヤスヒコという関係性もシリーズの総括としては申し分ない。輪廻転生とタイムリープを絡めたアイディアは斬新ではあるし、結局は個人の物語に収束することにより、親しい個人を目的としたタイムリープは、その他大勢の人間の運命を狂わせるという、タイムリープものの負の側面をしっかり断罪しているので個人的にはそこそこお気に入りです。最終章としてのまとまりもいい。
-
Posted by ブクログ
前作『リライト』から続く理不尽SFミステリの本作。同時並行の前作と違い、話そのものは一本筋だが、時の迷宮とでも言うべき複雑な時間軸を舞台に物語は進行する。小気味よいテンポと狂気に満ちた心理描写、日常が知らず知らずのうちに改変されていく恐怖は、ゾクゾクとするホラーに仕上がっている。相変わらず共感に欠ける登場人物ではあるのが難点だが、その登場人物に対する冷徹な視点や、一種の手加減のなさが魅力でもあるのでそこは評価の分かれる所であろう。最後のほうにミステリ的な種明かしもあり、狂った話が綺麗に収束するので、スッキリとした後味の悪さという、相反する読後感がある。四部構成だが、このテンポの良さと、時間SFでありながらパラドックスを描いている話なので、現在進行形の物語として楽しめるのはポイントが高い。