法条遥のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リライト、リビジョン、リアクト、リライブ4部作完結編。3週間かけてやっと読破できた。
ただ読み進めるだけなら3週間もかからないと思うが、如何せん、この作品群は少なくともメモを取り、そのメモを読み返し、行きつ戻りつしないと読み進められないブツです。
落としどころは、保彦と小霧との ――― 人類滅亡あるいは人類など最初から存在しなかったとなりかねない ――― 数千年の時空移動を駆けた愛のオマージュ物語でした。
あーしんどかった。
時を、駆ける少女。
時を、書ける少女。
時を、欠ける少女。
時を、欠ける少女。
いずれもが私に当てはまり、同時に、そのすべてに当てはまらない。(「1四季」p -
Posted by ブクログ
1作目の『リライト』、2作目の『リビジョン』でもそうだったが、読書メモしながらでないとついてゆくことができないシリーズの3作目。
「時を駆ける少女」
「時を書ける少女」
「時を欠ける少女」
「時を賭ける少女」
が
「一人は、未来から来た、セーラー服の少女。
一人は、自らの記憶の差異に悩む、女性小説家。
一人は、辛い目に遭って、それでも負けない、強い少女。
そしてもう一人は・・・・。」
と友恵によって収斂されてゆく。
友恵に対して持っていたイメージが激変する第3作であり、3作目までで回収できていない伏線の処理を期待しながら、4作目『リライブ』に臨みたい。
(内容紹介)
プロ -
Posted by ブクログ
rewrite
一 〈人が〉〈文などを〉書き直す;〈歴史〉を(都合の)いいように改竄する。
二 〔比喩的に〕・・・を改める、・・・の焼き直しをする。
ジーニアス英和大辞典(2001年発行)
「かなりダークな小説。
過去は変わらないはずだった――1992年夏、未来から来たという保彦と出会った静岡県岡部町の中学2年生・美雪は、旧校舎崩壊事故から彼を救うため10年後へ跳んだ。2002年夏、作家となった美雪はその経験を元に小説を執筆する。彼と過ごした夏、時を超える薬、突然の別れ。しかしタイムリープ当日になっても10年前の自分は現れなかった。」(作品紹介から)
2002年と19 -
Posted by ブクログ
非常に上質なタイムリープもののSF作品。時をかける少女をメタりながらも、しっかりとならではの味を出していく名作でした。特に過去の「私」が入り乱れていく展開は見事で、とにかく怖かったです…!
現在起きている事件は何なのか、過去に起こったことは何が本当なのか。何も分からず、でも引き込まれながら読み進めることで明かされる衝撃の結末はまったく予想外の展開で驚嘆!死角から突然右ストレートぶち込まれたような衝撃に思わず声が出そうになりました。ただ結局鶏が先か卵が先かみたいな話で、いろいろ疑問に残るところは多いので、その辺りに納得できることを期待して続編も読んでみたいですね。 -
Posted by ブクログ
「リライト」から続く、不条理タイムリープシリーズの完結編。前作の「リアクト」もかなり複雑ではあったが、本作もそれに負けるとも劣らない難解さである。前作、前前作を読んでいてもいまいち読解が追いつかず、一読で完全に把握できないのはやや惜しむ部分であるとは言える。ただこの複雑さはある種のメタ的な意味も多分に含まれており、著者の得意とする「不条理さ」を現しているとも言えるので一概には否定出来ない。時のルールは絶対で、一度狂えば全て狂い、無限拡張していくという、ある種の当たり前を煮詰めに煮詰めた作品であるともいえよう。情報の複雑さを除けば、結婚式を間近に控えた、輪廻転生するたびに記憶を保持し続けた盲目の
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Posted by ブクログ
前作『リライト』から続く理不尽SFミステリの本作。同時並行の前作と違い、話そのものは一本筋だが、時の迷宮とでも言うべき複雑な時間軸を舞台に物語は進行する。小気味よいテンポと狂気に満ちた心理描写、日常が知らず知らずのうちに改変されていく恐怖は、ゾクゾクとするホラーに仕上がっている。相変わらず共感に欠ける登場人物ではあるのが難点だが、その登場人物に対する冷徹な視点や、一種の手加減のなさが魅力でもあるのでそこは評価の分かれる所であろう。最後のほうにミステリ的な種明かしもあり、狂った話が綺麗に収束するので、スッキリとした後味の悪さという、相反する読後感がある。四部構成だが、このテンポの良さと、時間SF