小山田浩子のレビュー一覧

  • 庭(新潮文庫)

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    何気ない日常のような文章
    ひとつひとつ細かく細かく
    描写される
    どこか懐かしかったり
    どこか自分のことのような
    でも
    なんだか不気味さが漂っている
    何かが起こるわけでもない
    ちょっとだけ
    なにかが背筋をゾワッとさせる

    文章の段落がなく
    たたみ込むようにセリフが
    連なる
    それがまるで本当に自分が
    動物園の中で
    騒がしい雑踏の中で
    途方に暮れている気分に
    させてくれている
    あるいはオタマジャクシや
    カエル、蜘蛛、蟻、草や木の実
    すべてが生きている
    今、ここで生きている

    その中で人々の心の中が
    見え隠れして
    また日常が過ぎていく

    怖い、ホラーだ!


    0
    2025年11月28日
  • 工場(新潮文庫)

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    街のすべてが工場で
    成り立っているような
    巨大な工場がある
    そこで働くことは誇らしい
    ことらしい
    いったいなんの工場なのか?
    自分の仕事は
    なんのためにあるのか
    はたして必要なのか?

    それぞれが疑問に思いながら
    毎日過ごす

    工場特有の鳥がいる
    工場特有の動物がいる
    工場特有のトカゲがいる
    謎は深まるばかり
    小学生の書いた研究論文が
    校正に回されてくる
    そしてそれは
    シュレッダーに回されるのだろうか
    きっとそうだろうな

    そして黒いウは‥
    いこぼれのむしを読んでから
    また工場を読むと
    なんだか
    はっ!とする言葉があったりする
    これは
    永遠に読むのを
    やめられないのかもしれない!

    何かを求め

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    2025年10月25日
  • 穴

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    私は不穏な空気を感じながら、読み進んだ。
    穴、穴、穴。
    先走る私は、主人公が穴に落ちるのはいつなのだ!と思いながら。
    ジリジリと暑い真夏の田舎の風景、普段誰も足を踏み入れないような川沿の草むら、見たことのないようなぼうぼうの草の茂み、虫の死骸。それが雨で湿って子供に踏み込まれて、土と混じったような臭いまでして来そうだ。蝉の大きなうるさい声と青い空。
    私は昔の田舎の草の臭いと小学生の時、空があまりにも青くてきれいで悲しくなったことを思い出した。
    不思議な獣、義兄、義祖父。義兄は本当にいたのだろうか?獣は?

    映画を観る時のように、オチはなんなんだろうと考えながら、多分そんなものはないのだろうとわ

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    2025年10月20日
  • 穴

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    表題は芥川賞受賞作品

    夫の転勤で、
    夫の実家の隣に引っ越す
    家賃はなし
    非正規の理不尽な仕事も
    辞めることができた
    隣の姑は何かと世話をやく
    そして教えてない携帯に
    電話してきて頼み事をする
    しかもそれはお金が足りない支払い
    舅の父は
    毎日同じように水を撒く
    雨でも水を撒く

    毎日暇になり
    変な生き物と出会い
    そこから謎だらけ

    昼間の田舎の
    その場所だけが
    なんだか浮いてる感じになる
    異世界なのか

    誰もがなんだか
    ふわふわしていて
    実感のない存在?

    とにかく戸惑ったまま
    本を閉じることになる

    他の二篇も同じように
    落ち着かない

    友人の家はいたちが出る
    そして妻の実家もかつて
    いたち

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    2025年10月07日
  • ものごころ

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    何なんだろう。この、明け透けで切なくて優しい感じは。特に「心臓」とその後日譚である「ものごころごろ」。

    0
    2025年06月14日
  • ものごころ

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    いる。こんな子。
    この作品の中で子供が生きている。
    なにより、視点も人物も情景もシームレスに移ろい続ける文体は読んでいて最高に気持ちがいい。
    「小山田さんだー」とゆかいな気持ちになってくる。

    0
    2025年05月11日
  • 最近

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    久々の小山田作品。
    帯文通り顕微鏡で覗き込んだような解像度で日常、さらには人物の内側まで描き出す。
    文体のリズムも相まって無類のドライブを生み出す。

    0
    2025年05月11日
  • ものごころ

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    ネタバレ

    短編集。ひとつひとつ読みおえるごとに、やっと息を吸ってることを思いだす。
    頭の中と外、過去と現在、自分と他人、全部つながってるところを実際こんなふうに書いてみせられて、小山田さんて天才かと思った。


    はね
    心臓
    おおしめり
    絵画教室
    海へ

    ヌートリア過ぎて
    蛍光
    ものごころごろ

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    2025年05月10日
  • ものごころ

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    ネタバレ

    「心臓」「ものごころごろ」を読んでいると、自分が小学校に通っていたころには考えなかったが、後から思い返すと様々な家庭環境の子供がいたんだなと感じたことを思い出した。エイジと宏は進む中学校も異なり、すれ違うべくしてすれ違うキャラクターの違いもありそうだけど、それぞれが純粋だった。その二人の母親は、純粋さとは呼べない何かがべたりとくっついているような感じがするが、誇張でも何でもなくそれが大人の嫌なところと言えるものだし、子供との違いなんだろう。

    他の短編でも、登場人物が凄くリアルで、夫婦・家族の関係性は短編ごとに異なってはいるものの、全部ものすごく再現性が高いというか、そのまま現実にいるやつでし

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    2025年04月12日
  • 工場(新潮文庫)

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    初めて読む作家さんの作品。
    収録されている3遍で、好みは
    いこぼれのむし>工場>>>ディスカス忌

    いこぼれのむしと工場は、この仕事意味あるの?という仕事をただ淡々と行うという点で少し似ている。いこぼれのむしのほうが人物の内面描写が多くて読みやすい(視点変化は多い)。
    工場は読みにくさとそれに伴う意識の分散も魅力のうちだと思った。
    同作者のほかの作品も読みたい。

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    2025年04月01日
  • ものごころ

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    お母さんの存在感、半端ないです。
    子供がスモモの種を飲んじゃった話で、心配してたまでは普通だったのに。

    そうする?!!

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    2025年03月11日
  • 庭(新潮文庫)

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    じわじわと張り付くような不気味さ、これもっと読みたい!と思いながらページを捲ると終わってしまう手軽さ、たまらないです。

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    2025年03月05日
  • ものごころ

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    帯には子供の世界と書いてあるけど、違う。子供と大人の境目のような。前作の最近では、隠れていたものが、よく見えて来た。好きなのはおおしめり。現実と夢が行ったり来たりする。心臓は、入試に出して欲しい。メタ入試か。ラストホントに感動した。

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    2025年02月13日
  • 工場(新潮文庫)

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    頭に浮かんだのは富山県にある工場
    地元の人にとっては有名で近所の誰かはそこで働いている
    しかしその工場で生産性の無い仕事をしているやる気のない人達
    自分が何を作って何をチェックしているのか知らずにただ言われたことだけを黙々とやるだけの仕事...
    意味あるのか?
    とても不思議だけど、田舎の腐った大企業なんてこんな感じだよねと腑に落ちた
    世にも奇妙な物語のような結末にゾゾゾ...となる

    高瀬隼子さんの本が好きな人は好きだと思う

    3つの短編集で、中でも『いこぼれのむし』が特にすきだった
    小山田浩子さんにハマりそう

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    2025年02月12日
  • 最近

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    「最近」(小山田浩子)を読んだ。

    ワーオ!
    このスキマのない濃密な描写は小山田浩子さんの素晴らしい技であるのだな。

    コロナ禍真只中の市井の人々のリアルここに極まれり。
    少しずつ絡まり合う連作短編集。

    最高に面白かったよ。

    蛇足
    コロナ禍の時期って私がショッピングセンターの支配人をやっていた時期と重なっていて、感染拡大防止のためのあれこれで精神的消耗が激しく、今思えば支配人を辞める一番の要因だったかもしれない。

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    2025年01月09日
  • 最近

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    自分が小山田さんの作品に魅かれ続ける最大の要因は、良い意味での薄気味の悪さです。お化けや超常現象が出てくるわけでもないのに、なんというか背中に一筋冷たいものが走り続ける感じ。それはデビュー作の「工場」から一貫しています

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    2025年01月07日
  • 庭(新潮文庫)

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    小山田浩子さんの短編集「庭」を再読した。はじめて読んだ小山田さんの作品はこの短編集に収録されている「名犬」という短編だった。そのときは話に聞いていた彼女の“文体”が気になっていて手に取ったから、作風やあらすじも全く知らない状態で読みはじめた。

    語り手がその場で見たものや聞いたもの、嗅いだ香り、触れた手触り。状況、会話、行動。そこにあった思いや感情。それらが的確でソリッドな短い文章で表され途切れることなく連なっていく。改行が殆ど入らないその文章は頁いっぱいに拡がり、そこに書き出される世界が、文字が詰まっていることで少し黒っぽく感じる頁と一緒に迫ってくるような気がした。世界を出来るだけ削ぎ落とさ

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    2024年12月13日
  • 穴

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    終始感じる不穏な空気が純文学好きにはたまらない作品。主人公が初めてその存在を知った引きこもりの義兄とともに自分が落ちた穴を探しに行く川原でまるで昼休みの校庭のようにたくさんの子どもたちが遊んでるシーンが圧巻。

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    2024年11月14日
  • 小島(新潮文庫)

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    ネタバレ

    2021年4月単行本。
    2023年11月文庫化。
    「広島カープ三部作」というプチ特集あり。

    以下駄文つらつら。
    十代の頃、大西巨人のようなロジカルな男性と較べると、女性作家って感性でしか書いていないから読むのが辛い、と思っていたし、標榜していた。
    三十前後で文芸誌を漁っていたころは、女性作家ってこんなに妊娠出産生理を題材にすることが多いんだなやっぱり感性的なんだな脳じゃなく身体の一部が優位なんだなと思い、むしろ女性作家ならではの着眼点だよねーとか、わかったつもりになっていた。
    四十を越えた今、己の不明を恥じる、とか、その考えを反省している、とか、過去の自分を蔑めるようになった、とか、切り離し

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    2024年08月01日
  • 穴

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    ネタバレ

    表題作の「穴」だけ読んだ。
    このホラー感は何?
    小学生の夏休みの不思議な体験の大人版という印象。
    読んでいてずっと気持ち悪さがまとわりついてくる感覚がかなり良かったですね。


    (追記)
    「いたちなく」「ゆきの宿」の二作もかなり良かった。こちらのほうがまだ怖くなくて良かったかな
    なかなか読み解けていない部分もあるが、面白かったですね

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    2023年08月27日