小山田浩子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何気ない日常のような文章
ひとつひとつ細かく細かく
描写される
どこか懐かしかったり
どこか自分のことのような
でも
なんだか不気味さが漂っている
何かが起こるわけでもない
ちょっとだけ
なにかが背筋をゾワッとさせる
文章の段落がなく
たたみ込むようにセリフが
連なる
それがまるで本当に自分が
動物園の中で
騒がしい雑踏の中で
途方に暮れている気分に
させてくれている
あるいはオタマジャクシや
カエル、蜘蛛、蟻、草や木の実
すべてが生きている
今、ここで生きている
その中で人々の心の中が
見え隠れして
また日常が過ぎていく
怖い、ホラーだ!
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Posted by ブクログ
街のすべてが工場で
成り立っているような
巨大な工場がある
そこで働くことは誇らしい
ことらしい
いったいなんの工場なのか?
自分の仕事は
なんのためにあるのか
はたして必要なのか?
それぞれが疑問に思いながら
毎日過ごす
工場特有の鳥がいる
工場特有の動物がいる
工場特有のトカゲがいる
謎は深まるばかり
小学生の書いた研究論文が
校正に回されてくる
そしてそれは
シュレッダーに回されるのだろうか
きっとそうだろうな
そして黒いウは‥
いこぼれのむしを読んでから
また工場を読むと
なんだか
はっ!とする言葉があったりする
これは
永遠に読むのを
やめられないのかもしれない!
何かを求め -
Posted by ブクログ
私は不穏な空気を感じながら、読み進んだ。
穴、穴、穴。
先走る私は、主人公が穴に落ちるのはいつなのだ!と思いながら。
ジリジリと暑い真夏の田舎の風景、普段誰も足を踏み入れないような川沿の草むら、見たことのないようなぼうぼうの草の茂み、虫の死骸。それが雨で湿って子供に踏み込まれて、土と混じったような臭いまでして来そうだ。蝉の大きなうるさい声と青い空。
私は昔の田舎の草の臭いと小学生の時、空があまりにも青くてきれいで悲しくなったことを思い出した。
不思議な獣、義兄、義祖父。義兄は本当にいたのだろうか?獣は?
映画を観る時のように、オチはなんなんだろうと考えながら、多分そんなものはないのだろうとわ -
Posted by ブクログ
表題は芥川賞受賞作品
夫の転勤で、
夫の実家の隣に引っ越す
家賃はなし
非正規の理不尽な仕事も
辞めることができた
隣の姑は何かと世話をやく
そして教えてない携帯に
電話してきて頼み事をする
しかもそれはお金が足りない支払い
舅の父は
毎日同じように水を撒く
雨でも水を撒く
毎日暇になり
変な生き物と出会い
そこから謎だらけ
昼間の田舎の
その場所だけが
なんだか浮いてる感じになる
異世界なのか
誰もがなんだか
ふわふわしていて
実感のない存在?
とにかく戸惑ったまま
本を閉じることになる
他の二篇も同じように
落ち着かない
友人の家はいたちが出る
そして妻の実家もかつて
いたち -
Posted by ブクログ
ネタバレ「心臓」「ものごころごろ」を読んでいると、自分が小学校に通っていたころには考えなかったが、後から思い返すと様々な家庭環境の子供がいたんだなと感じたことを思い出した。エイジと宏は進む中学校も異なり、すれ違うべくしてすれ違うキャラクターの違いもありそうだけど、それぞれが純粋だった。その二人の母親は、純粋さとは呼べない何かがべたりとくっついているような感じがするが、誇張でも何でもなくそれが大人の嫌なところと言えるものだし、子供との違いなんだろう。
他の短編でも、登場人物が凄くリアルで、夫婦・家族の関係性は短編ごとに異なってはいるものの、全部ものすごく再現性が高いというか、そのまま現実にいるやつでし -
Posted by ブクログ
小山田浩子さんの短編集「庭」を再読した。はじめて読んだ小山田さんの作品はこの短編集に収録されている「名犬」という短編だった。そのときは話に聞いていた彼女の“文体”が気になっていて手に取ったから、作風やあらすじも全く知らない状態で読みはじめた。
語り手がその場で見たものや聞いたもの、嗅いだ香り、触れた手触り。状況、会話、行動。そこにあった思いや感情。それらが的確でソリッドな短い文章で表され途切れることなく連なっていく。改行が殆ど入らないその文章は頁いっぱいに拡がり、そこに書き出される世界が、文字が詰まっていることで少し黒っぽく感じる頁と一緒に迫ってくるような気がした。世界を出来るだけ削ぎ落とさ -
Posted by ブクログ
ネタバレ2021年4月単行本。
2023年11月文庫化。
「広島カープ三部作」というプチ特集あり。
以下駄文つらつら。
十代の頃、大西巨人のようなロジカルな男性と較べると、女性作家って感性でしか書いていないから読むのが辛い、と思っていたし、標榜していた。
三十前後で文芸誌を漁っていたころは、女性作家ってこんなに妊娠出産生理を題材にすることが多いんだなやっぱり感性的なんだな脳じゃなく身体の一部が優位なんだなと思い、むしろ女性作家ならではの着眼点だよねーとか、わかったつもりになっていた。
四十を越えた今、己の不明を恥じる、とか、その考えを反省している、とか、過去の自分を蔑めるようになった、とか、切り離し