小山田浩子のレビュー一覧
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身の回りの戦争経験者に聞いた話を作文にまとめるという小学校の宿題から物語が始まる。最初は戦争の悲惨さを作文で感じ、話を聞いたとする祖父との、穏やかでほっこりするエピソードが語られる。庭をいじる主人公の祖父の姿が、亡くなってしまった大好きな祖父とピッタリ重なる部分が多く、思わず涙が溢れた。
このまま、戦争を経験した人たちが後世に遺してくれた平和への希望の話が続くのかと思っていたが、だんだんと様相を変えていく。
子供ならではの素直さや、悪気のない嘘、大人に褒められたい、注目されたいという歪んだ承認欲求、そこから生まれる罪悪感という、大人になった今では心が抉られるように感じるエピソードがありありとえがかれている。
今、世界中で起こっている戦争にも絡めて語られるこの物語で真に描きたいことというのは、戦争の悲惨さなどではなく、それを経験していない外から見た人間の浅はかさなのかなと感じた。
人間の嫌なところが怖さとして残る作品だが、これが人間というものな気もして、皆におすすめしたい作品だと思った。文章量も短いのでさっと読めるのに内容が濃くて重い。 -
Posted by ブクログ
何気ない日常のような文章
ひとつひとつ細かく細かく
描写される
どこか懐かしかったり
どこか自分のことのような
でも
なんだか不気味さが漂っている
何かが起こるわけでもない
ちょっとだけ
なにかが背筋をゾワッとさせる
文章の段落がなく
たたみ込むようにセリフが
連なる
それがまるで本当に自分が
動物園の中で
騒がしい雑踏の中で
途方に暮れている気分に
させてくれている
あるいはオタマジャクシや
カエル、蜘蛛、蟻、草や木の実
すべてが生きている
今、ここで生きている
その中で人々の心の中が
見え隠れして
また日常が過ぎていく
怖い、ホラーだ!
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Posted by ブクログ
街のすべてが工場で
成り立っているような
巨大な工場がある
そこで働くことは誇らしい
ことらしい
いったいなんの工場なのか?
自分の仕事は
なんのためにあるのか
はたして必要なのか?
それぞれが疑問に思いながら
毎日過ごす
工場特有の鳥がいる
工場特有の動物がいる
工場特有のトカゲがいる
謎は深まるばかり
小学生の書いた研究論文が
校正に回されてくる
そしてそれは
シュレッダーに回されるのだろうか
きっとそうだろうな
そして黒いウは‥
いこぼれのむしを読んでから
また工場を読むと
なんだか
はっ!とする言葉があったりする
これは
永遠に読むのを
やめられないのかもしれない!
何かを求めてはいけない
そんな小説かもしれない
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私は不穏な空気を感じながら、読み進んだ。
穴、穴、穴。
先走る私は、主人公が穴に落ちるのはいつなのだ!と思いながら。
ジリジリと暑い真夏の田舎の風景、普段誰も足を踏み入れないような川沿の草むら、見たことのないようなぼうぼうの草の茂み、虫の死骸。それが雨で湿って子供に踏み込まれて、土と混じったような臭いまでして来そうだ。蝉の大きなうるさい声と青い空。
私は昔の田舎の草の臭いと小学生の時、空があまりにも青くてきれいで悲しくなったことを思い出した。
不思議な獣、義兄、義祖父。義兄は本当にいたのだろうか?獣は?
映画を観る時のように、オチはなんなんだろうと考えながら、多分そんなものはないのだろうとわかっていたのだけれど。
やはり不思議な感じで終わってしまう。
でも、最後にはふと涙が出そうになった。
そしてとてもあたたかい気持ちになった。
この余韻は好きだ。
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Posted by ブクログ
表題は芥川賞受賞作品
夫の転勤で、
夫の実家の隣に引っ越す
家賃はなし
非正規の理不尽な仕事も
辞めることができた
隣の姑は何かと世話をやく
そして教えてない携帯に
電話してきて頼み事をする
しかもそれはお金が足りない支払い
舅の父は
毎日同じように水を撒く
雨でも水を撒く
毎日暇になり
変な生き物と出会い
そこから謎だらけ
昼間の田舎の
その場所だけが
なんだか浮いてる感じになる
異世界なのか
誰もがなんだか
ふわふわしていて
実感のない存在?
とにかく戸惑ったまま
本を閉じることになる
他の二篇も同じように
落ち着かない
友人の家はいたちが出る
そして妻の実家もかつて
いたちが出たらしい
夢か幻か
すべて幻覚かと思うような
はじめての感覚の
おかしな小説に出会った
なんだか癖になりそう
ホラ!そこに!
嫌いではないこの感じ
彼岸花好きだし‥
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Posted by ブクログ
ネタバレ「心臓」「ものごころごろ」を読んでいると、自分が小学校に通っていたころには考えなかったが、後から思い返すと様々な家庭環境の子供がいたんだなと感じたことを思い出した。エイジと宏は進む中学校も異なり、すれ違うべくしてすれ違うキャラクターの違いもありそうだけど、それぞれが純粋だった。その二人の母親は、純粋さとは呼べない何かがべたりとくっついているような感じがするが、誇張でも何でもなくそれが大人の嫌なところと言えるものだし、子供との違いなんだろう。
他の短編でも、登場人物が凄くリアルで、夫婦・家族の関係性は短編ごとに異なってはいるものの、全部ものすごく再現性が高いというか、そのまま現実にいるやつでしょこれ、と思えた。「種」で主人公が子供の大便を手づかみするシーンは衝撃だったが、子供との遊びというか自分の趣味に付き合わせ、妻も、そして結局は子供も顧みない能天気な夫も、個人的にはかなり身に覚えがあり、共感性羞恥というか読んでいて逃げ出したくなった。