小山田浩子のレビュー一覧
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小山田浩子さんの短編集「庭」を再読した。はじめて読んだ小山田さんの作品はこの短編集に収録されている「名犬」という短編だった。そのときは話に聞いていた彼女の“文体”が気になっていて手に取ったから、作風やあらすじも全く知らない状態で読みはじめた。
語り手がその場で見たものや聞いたもの、嗅いだ香り、触れた手触り。状況、会話、行動。そこにあった思いや感情。それらが的確でソリッドな短い文章で表され途切れることなく連なっていく。改行が殆ど入らないその文章は頁いっぱいに拡がり、そこに書き出される世界が、文字が詰まっていることで少し黒っぽく感じる頁と一緒に迫ってくるような気がした。世界を出来るだけ削ぎ落とさ -
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ネタバレ2021年4月単行本。
2023年11月文庫化。
「広島カープ三部作」というプチ特集あり。
以下駄文つらつら。
十代の頃、大西巨人のようなロジカルな男性と較べると、女性作家って感性でしか書いていないから読むのが辛い、と思っていたし、標榜していた。
三十前後で文芸誌を漁っていたころは、女性作家ってこんなに妊娠出産生理を題材にすることが多いんだなやっぱり感性的なんだな脳じゃなく身体の一部が優位なんだなと思い、むしろ女性作家ならではの着眼点だよねーとか、わかったつもりになっていた。
四十を越えた今、己の不明を恥じる、とか、その考えを反省している、とか、過去の自分を蔑めるようになった、とか、切り離し -
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ネタバレたとえばマタハラと言ってしまえば簡単に済むが、
(「工場」においては非正規労働の過酷さと済ましてしまう読みもあり得たように)
生理的な居心地悪さを提出する、その手つきゆえに、ホラーであり幻想小説である読後感が生まれる。
人が人としてあるだけで、人が人と関わるそれだけで、必然的に歪みが生じる。
あとは気づくか気づかないかだけで、多くの人は意図的にか無意識には見過ごしている。
それを作者は見る。
カメラでぐいーーっとズームしていくように。(デヴィッド・リンチ「ブルー・ベルベット」の冒頭)
目地も肌理もすべて書き尽くす。
気持ち悪いくらい接写する。
■うらぎゅう★
■彼岸花★
■延長
■動物園の迷 -
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ネタバレ表題作の『穴』が面白すぎる。
世間から張り巡らされた抑圧の描写に胃が痛くなり、散歩道に生えた草木の生々しいにおいを感じ、リアルに次ぐリアルに舗装された物語の道に、突如小さく変な穴が空く。変な奴らが登場する。黒い獣、存在を隠匿された義兄。変だけど、それぞれに生態や道理があって、地に足をつけて生きている。変だし不気味だけど、ユーモラスで憎めない。
誰しも「普通」や「まとも」に息苦しさを感じて、「ここではない世界」を夢見たことはあると思う。『穴』で表現されるのは、あまりにショボくて滑稽で、それなのに泣きたくなるような「ここではない世界」なのである。私も穴に潜り、黒い獣の湿った鼻先を感じたい。 -
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ネタバレ広大な工場は街であり自然でもある
牛山兄妹は、なぜかそれぞれ別にこの工場に非正規社員として勤めるようになる。妹はひたすらシュレッダー作業、兄は内容がよく分からない書類の校正、「この仕事はなんのため?」という疑問のなか黙々と働く、いっぽう大学でコケの研究をしていたのに屋上緑化担当としてかなり良い待遇で雇われる青年もいて広大な敷地では自然が独自に進化している。
「よく分かってないけど淡々と黙々と」というところがJTCっぽいのかな。(フラッシュバックのような)奇妙な時系列、ずっと不穏な雰囲気、作中の言葉遣いもたまに思考にフックがかかる感じがあって面白かったです。
しかし「大便のようなタイトルの -
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ネタバレ工場、、いったい何を作っている所なのか、一人で15年も緑化計画?シュレッダー係?謎の文書の校閲?生物たちは何なのか、訳がわからず頭がおかしくなりそうな所が結構あったり、妙にリアルでクスッと笑える所もあったり、広い工場なのになんか息苦しい感じがあったり、かなり奇妙で不思議な作品でした。
ラストはえ?!となったけど、工場ウがみんな工場の方を見ているのってそういうことなん?と、その光景がちょっと怖くなりました。
教授が梅干し6個食べてるいるところ、適当過ぎる後藤さん、牛山兄が添削のとき眠すぎてどうしようもないところ、ズリパンおじさんは未遂で終わるからそこまで問題視されてないところ、橋を渡りきるの -
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ネタバレすごく現実的なところもあるけど、なんかちょっと変、いややっぱすごく変?その絶妙な加減がすごく好きです。
あさひも何かよくわからないけど、そういうこともあるのか?と思いながら、慣れない田舎生活で感覚がおかしくなってるのか?その感じが大げさになっていなくて面白かったです。
穴に落ちた時、きれいにすっぽりしかも微妙な深さ?!で、何だこれ、、と私も呆然としました、、出れそうでなかなか出れない、、
助けてくれた御婦人も何となく奇妙で。
謎の黒い獣もいなさそうで、いそうな微妙な姿形。
義兄はずっと変わった人だけど身なりは小綺麗でちぐはぐで、義祖父がいったいいつまで水撒きをしてるのかすごく気になったけどあ -
Posted by ブクログ
「この工場何かがおかしい」という帯の煽り文に誘われて書店で購入。
表題作「工場」はどこか異様な巨大すぎる「工場」と、そこで働くやはりどこか変な人々を描き、現代に対する皮肉・批判的な視点がある。
とにかく文にあふれる皮肉や過剰さ、違和感が面白く、ストーリーの引きやキャラ萌えが無くとも、文字を読むこと自体が楽しい場合があると気づかせてくれた小説であった。
この本を買って以来、同じような出会いを求めて書店を彷徨うようになったが、いまだに小説ではこれ以上のものには出会えていない。
表題作以外では、「ディスカス忌」はユーモア控えめでさみしげ、「いこぼれのむし」は文章ににじむ悪意に胃もたれ気味だった。